NVIDIAが最新のハイエンドGPU「RTX 5090」の供給量を大幅に増やす計画を進めているとの情報が浮上した。RTX 5090は発売直後から在庫不足に陥り、多くの消費者が購入を逃してきた。特に転売業者による買い占めが問題視されており、NVIDIAはこれに対抗する狙いもあると見られる。
この動きの背景には、同社が大量に確保していたTSMC B200ウェハーの余剰在庫がある。もともとAI向けのBlackwell B200 GPUのために確保されたが、市場の需要低下により用途を再検討する必要が生じた。その結果、余剰分をRTX 5090の生産に振り向けることで、供給の大幅な増加を実現する可能性が高まっている。
さらに、今後発売予定のRTX 5070 TiやRTX 5070にもB200ウェハーが活用される可能性があり、50シリーズ全体の在庫状況が改善する可能性がある。ただし、供給が増えたとしても依然として需要は高く、品薄状態が続く可能性も否定できない。消費者にとっては、迅速な購入判断が求められる状況となりそうだ。
TSMC B200ウェハーの余剰が生まれた背景とNVIDIAの対応策

NVIDIAが大量に確保していたTSMC B200ウェハーの余剰問題は、AI市場の急速な変化によって引き起こされた。元々、B200ウェハーはNVIDIAのBlackwell B200 AI GPU向けに調達されたが、企業が独自のカスタムASIC(特定用途向け集積回路)を採用する動きが加速したため、需要が低迷した。特に大規模言語モデル(LLM)の開発において、ASICを活用する企業が増加し、GPU市場の需要構造が変化している。
この状況を受け、NVIDIAは余剰となったB200ウェハーを再活用する必要に迫られた。通常、半導体の生産は長期的な計画のもとで進められるため、一度確保したウェハーを即座に転用するのは容易ではない。しかし、NVIDIAは迅速に方針を転換し、B200ウェハーをRTX 5090や他のRTX 50シリーズのGPU生産に振り向けることを決定したとみられる。これにより、ハイエンドGPU市場の供給不足が緩和される可能性が高まっている。
TSMCとの契約上、余剰ウェハーのキャンセルは難しく、余剰分の活用はコスト削減の観点からも合理的である。特に、RTX 5090は高価格帯の製品であり、NVIDIAにとって利益率の高い市場を維持することが可能だ。この動きは、同社が急成長するAI市場の変化に柔軟に対応する姿勢を示すものであり、今後の戦略にも影響を与えると考えられる。
転売業者による買い占めとNVIDIAの対策 供給増で価格安定へ
RTX 5090の供給不足は、転売業者(スカルパー)による買い占めが一因となっている。高性能なグラフィックスカードは、特に発売直後に需要が集中し、品薄となることが多い。これを利用し、一部の業者が大量に購入し、市場価格を吊り上げる構図が繰り返されている。
NVIDIAは、この問題を認識しており、一部の小売業者と連携して対策を講じている。例えば、Zotacは大量購入を防ぐため、購入制限を導入している。しかし、こうした措置にもかかわらず、転売市場での価格高騰は続いており、消費者にとっては依然として入手が困難な状況が続いている。
今回の供給増によって、市場に流通するRTX 5090の数量が増えれば、価格の安定化が期待される。転売業者が買い占めた在庫の価値が低下すれば、今後の投機的な購入も抑制される可能性がある。これは、過去のGPU市場でも見られた傾向であり、十分な供給が確保されれば、転売業者の影響力は弱まると考えられる。ただし、供給が増加したとしても、根本的な需要が高いため、完全に問題が解決されるわけではない。消費者は、供給の推移を注視しながら、適切なタイミングでの購入が求められるだろう。
RTX 50シリーズの今後の展開とミドルレンジモデルの可能性
現在、RTX 50シリーズの市場にはRTX 5090とRTX 5080が存在するが、今後登場するRTX 5070 TiやRTX 5070も注目されている。これらのミドルレンジモデルは、ハイエンド製品に比べて生産量が多く、供給も安定しやすい傾向にある。特に、B200ウェハーの余剰を活用することで、初期出荷数が増加する可能性が指摘されている。
RTX 5070 Tiは今月末、RTX 5070は3月初旬の発売が予定されており、これらのモデルが市場に投入されることで、RTX 50シリーズ全体の流通量が増える見通しだ。価格面でも、RTX 5070シリーズは多くのユーザーにとって手が届きやすいモデルであり、ゲーミングPCやクリエイティブ用途の需要が見込まれる。
一方で、これらのモデルも供給が逼迫する可能性がある。特に、初期需要が高まり、転売市場のターゲットになる可能性があるため、発売直後の状況は慎重に見極める必要がある。過去のRTXシリーズと同様に、供給が安定するまで数カ月を要するケースも考えられる。
総じて、NVIDIAの供給拡大は市場にとって好材料であるものの、需要の高さを考慮すると、一時的な品薄は避けられないだろう。ユーザーは、購入機会を逃さないように情報を注視しながら、適切なタイミングでの購入を検討することが求められる。
Source:Android Headlines