ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2024年第4四半期においても株式の売却を継続し、9四半期連続の純売却を記録した。しかし、その中でもバフェットは6銘柄を新規または追加で取得しており、その選択が市場で注目されている。
特に目を引くのは、オキシデンタル・ペトロリアムの追加購入である。近年、バフェットはこの石油・ガス企業への投資を増やし続けており、長期保有を前提とした戦略がうかがえる。一方、唯一の新規購入銘柄であるコンステレーション・ブランズは、プレミアムビールブランドを展開し、割安な評価が投資妙味を高めている。
バフェットが第4四半期に選んだ銘柄の中で、最も魅力的な投資先はどれか。数値上ではシリウスXMの割安なPERと高配当が光るが、バフェット自身が「無期限に保有する」と語ったオキシデンタル・ペトロリアムこそが、長期的に最も有望な銘柄といえるだろう。
バフェットが選んだ6銘柄の特徴と戦略的意図

ウォーレン・バフェットが2024年第4四半期に選んだ6銘柄には、それぞれ異なる特徴があり、その選定にはバークシャー・ハサウェイの長期戦略が反映されている。最大の注目を集めたのはオキシデンタル・ペトロリアム(OXY)の追加購入だが、それ以外の銘柄にも戦略的な意図が見て取れる。
まず、唯一の新規購入銘柄であるコンステレーション・ブランズ(STZ)は、ビールやスピリッツ市場における確固たるブランド力を持ち、収益基盤が安定している。プレミアムビールの需要拡大や、カナダの大麻市場との関連性を考慮すれば、今後の成長が期待できる銘柄といえる。
また、シリウスXMホールディングス(SIRI)の追加購入も特徴的だ。同社は衛星ラジオ市場で圧倒的なシェアを誇るが、近年のストリーミングサービスの台頭により競争環境は厳しくなっている。しかし、予想PERが8.9倍と割安であり、高配当利回りを考慮すると、バフェット流の「割安株投資」の基準に適合している。
さらに、ベリサイン(VRSN)やドミノ・ピザ(DPZ)の追加購入は、持続的な収益モデルとブランド力の強さを評価した結果と考えられる。特にベリサインは、インターネットインフラを支える企業として、高い参入障壁を有しており、安定したキャッシュフローを生み出し続けている。
これらの銘柄選定を見ると、バフェットの投資スタイルは変わらないように見えるが、近年のポートフォリオの変化には新たな視点も含まれている。それは、バリュー投資の伝統を守りつつも、時代の変化に適応する柔軟性を持つことである。
オキシデンタル・ペトロリアムが「最も優れた銘柄」とされる理由
オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)は、バフェットが2024年第4四半期に購入した銘柄の中で最も注目すべき存在である。その理由は、単なる割安性だけではなく、同社の事業特性や市場環境がバフェットの投資哲学に適合している点にある。
まず、OXYはエネルギー業界の中でも特に安定した収益基盤を持ち、米国内のシェールオイル開発に強みを持つ企業である。原油価格の変動は同社の収益に影響を与えるものの、近年のエネルギー市場の動向を踏まえると、長期的な成長ポテンシャルは依然として高い。さらに、OXYの予想PERは13.1倍と、エネルギーセクター全体の平均を下回っており、S&P 500の平均よりも割安である。
加えて、バフェット自身がOXYの将来性を高く評価している点も見逃せない。2024年の株主向け書簡では、OXYを「無期限に保有する予定」と明言しており、これは他の5銘柄には言及されていない。この発言からも、バークシャーがOXYを特別視していることが分かる。
一方で、OXYへの投資はリスクを伴う。原油価格の下落が続けば、同社の収益は大きく落ち込む可能性がある。しかし、バフェットは市場の短期的な変動ではなく、長期的な競争力と価値に焦点を当てており、OXYの資産価値と経営の安定性を重視している。
このように、OXYはバフェットが掲げる「長期的視点での価値投資」に完全に合致する銘柄である。市場の動向を超えた視野での投資が、最終的に大きな成果を生む可能性を秘めている。
Source:The Motley Fool