Appleが2025年に新モデル「iPhone Air」を発表するとの噂が浮上している。このモデルは、厚さ5.5mmとされ、シリーズ史上最も薄いiPhoneとなる可能性がある。しかし、2014年の「Bendgate」問題を想起させるこの超薄型デザインには、再び耐久性への懸念が高まっている。

当時、iPhone 6は薄型化とアルミ製シャーシの影響で、ポケットに入れたまま座るだけで曲がるとの報告が相次いだ。今回の「iPhone Air」も同様の問題を抱える可能性が指摘されており、Appleがどのような対策を講じるのか注目が集まる。

Appleの「iPhone Air」構想と過去のBendgate問題の教訓

Appleが新たに投入を検討しているとされる「iPhone Air」は、同社の歴代スマートフォンの中で最も薄いデザインになる可能性が高い。この新モデルは、iPad AirやMacBook Airと同様に、軽量かつ洗練された外観を持つことが予想される。しかし、この方向性は2014年の「Bendgate」問題を想起させる。

iPhone 6が薄型化を追求した結果、アルミ製のシャーシが十分な剛性を持たず、ポケットに入れたまま座るだけで端末が曲がるケースが相次いだ。当時、Appleは「通常の使用では問題ない」としたが、消費者の間では批判が広がり、最終的にはフレーム補強を施したiPhone 6sを投入することで事態を収束させた。

この経験から、Appleは軽量化と強度確保のバランスを慎重に取る必要がある。特に、5mm台の極薄デザインが採用されるとすれば、筐体素材や構造に革新が求められる。アルミ合金の改良や新たな補強技術の導入が想定されるが、それでも従来のモデルと同程度の耐久性を維持できるかは未知数である。

さらに、折りたたみスマートフォンの普及が進む中で、Appleが「薄さ」だけにこだわる理由にも疑問が残る。Bendgateの教訓を生かし、実用性とデザインの両立を実現できるかが、iPhone Airの成否を分ける鍵となるだろう。

薄型化競争と耐久性のジレンマ スマートフォン業界の次なる挑戦

Appleの「iPhone Air」は、単なるデザインの刷新ではなく、スマートフォン市場における「薄型化競争」の延長線上にある。各メーカーはディスプレイ技術やバッテリーの改良を進めながら、端末のスリム化を図ってきた。特にSamsungは、Galaxy S25 Edgeにおいて極薄のエッジディスプレイを採用すると噂され、Appleと同様にデザインの進化を重視している。

しかし、スマートフォンの薄型化には、耐久性やバッテリー容量の制約が伴う。実際に、過去の極薄スマートフォンでは、剛性不足による破損リスクが問題視されてきた。加えて、バッテリーの小型化により、充電回数の増加や発熱問題が発生する可能性もある。近年のiPhoneは、バッテリー寿命の向上を重視しており、「Air」モデルにおいても同様のアプローチが求められるだろう。

一方で、Appleが薄型化を進める背景には、折りたたみスマートフォン市場への布石という見方もある。現在の折りたたみ端末は、展開時の薄さが重要視されるため、AppleがiPhone Airを通じて極薄ディスプレイや強化シャーシの耐久テストを行う可能性は十分に考えられる。

iPhone Airの登場は折りたたみiPhoneへの布石か

Appleが「iPhone Air」を投入する狙いの一つとして、将来的な折りたたみスマートフォンの市場参入が挙げられる。現在、SamsungやGoogleが折りたたみモデルを展開しているが、Appleは未だにこの分野に本格参入していない。しかし、折りたたみスマートフォンは展開時に極薄化が求められるため、iPhone Airを開発することで、折りたたみモデルに必要な技術の蓄積を進めている可能性がある。

特に、ディスプレイの柔軟性や耐久性は折りたたみ端末の課題となる。現行の折りたたみスマートフォンは、ヒンジ部分の耐久性や折り目の目立ちにくさが求められるが、Appleは既存のiPadやMacBookで培った技術を応用することで、他社との差別化を図る可能性がある。

iPhone Airの設計が折りたたみiPhoneの前哨戦であるとすれば、Appleはまず極薄デザインの耐久性を検証し、それを基盤に折りたたみモデルを完成させる戦略を描いているのかもしれない。折りたたみiPhoneが登場する時期については不明だが、iPhone Airが成功すれば、その技術が次世代デバイスに活かされる可能性は高い。

Appleが市場のトレンドをどのように取り入れ、独自の進化を遂げるのか、今後の展開に注目が集まる。

Source:Yanko Design