Nvidiaの2025年度第4四半期決算発表が2月26日に予定される中、市場の期待と警戒感が交錯している。AI分野のリーダー企業として急成長を遂げるNvidiaは、過去1年間で驚異的な株価上昇を記録したが、年初来のパフォーマンスは落ち着きを見せている。
Mizuhoのアナリストは、新型Blackwell GPUの発表が短期的にはサプライチェーンの制約や収益の不安定要因となる可能性を指摘。一方、AIとデータセンター分野の需要が引き続き旺盛であることから、長期的な成長余地は依然大きいとする見方も強い。
決算発表では、前年同期比で大幅な増益が見込まれるものの、Nvidiaの競争環境や市場の不確実性が投資家心理に与える影響も無視できない。株価の行方を左右する重要な節目となる決算発表に向け、リスクと機会を整理する。
AI需要の拡大が業績を支えるも、市場は成長鈍化を警戒
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Nvidiaは、人工知能(AI)分野の急成長を背景に、圧倒的な市場シェアを確立してきた。データセンター向けGPUの需要は依然として高く、特にH100 GPUの売上は前年比40%以上の成長を記録している。さらに、AI開発企業やクラウドサービスプロバイダーの需要が拡大し、同社の業績を押し上げている。
しかし、Nvidiaの成長を支えてきたAIブームに対し、一部の市場関係者は持続性を疑問視している。特に、競争の激化が長期的な収益成長に影響を与える可能性がある。新興企業がコスト効率の高いAIモデルを開発し、NvidiaのGPUを必要としない技術が進化することで、収益構造の変化が生じる可能性も指摘されている。
さらに、中国市場における規制強化や地政学リスクも、短期的な懸念材料となる。Nvidiaは米国の輸出規制の影響を受け、中国向けの高性能GPUの販売に制約が生じている。このような外部環境の変化は、同社の成長戦略に新たな調整を求める要因となり得る。
Blackwell GPUの導入がもたらす短期的な課題と長期的な成長機会
Nvidiaが発表を予定している次世代Blackwell GPUは、長期的な成長の鍵を握るが、短期的にはリスク要因ともなり得る。MizuhoのVijay Rakeshは、この新型GPUの「複雑な接続性と電力アップグレード」が導入時の課題になる可能性を指摘している。特に、データセンター向けのハードウェアアップグレードが進む中で、供給網の混乱やコスト増加が短期的な利益を圧迫する可能性がある。
また、Nvidiaの顧客企業がBlackwell GPUへの移行をどの程度のスピードで進めるかも重要なポイントとなる。ハードウェアの世代交代が進むことで、一時的な需要の停滞が発生する可能性があり、収益成長が一時的に鈍化する可能性も排除できない。
一方で、Blackwell GPUの技術的進化は、長期的にNvidiaの競争力を強化することが期待されている。AI計算の処理能力が向上することで、より高度なモデルの開発が可能となり、新たな需要を生み出す可能性がある。特に、企業のAI活用が進む中で、高性能GPUのニーズは依然として拡大すると考えられる。
株価の評価と市場の見解 今後の展開をどう読むか
Nvidiaの株価は、過去1年間で大幅な上昇を遂げたが、最近の動きはやや落ち着きを見せている。年初来の上昇率は4.5%にとどまり、直近ではDeepSeek関連のニュースを受けて一時的に17%下落した。現在の株価収益率(P/E)は53倍で、過去5年平均の63倍を下回っており、バリュエーション面では割安感があるとの見方もある。
ウォール街のアナリストは、依然としてNvidiaの成長ポテンシャルに強気の見解を示している。Morgan StanleyのJoseph Mooreは、競争の激化にもかかわらず、Nvidiaが市場シェアを維持すると確信している。また、EvercoreのMark Lipacisは、最近の株価調整を「買い場」と捉え、CUDAエコシステムの強みを評価している。
短期的な市場の変動は続く可能性があるものの、Nvidiaが持つ技術力とAI分野での支配的地位は、今後も企業価値を支える要因となるだろう。2月26日の決算発表では、成長持続のシグナルが示されるかが注目されている。
Source: Barchart.com