過去6か月で急騰したフィンテック企業SoFiとUpstartが、2025年に向けて引き続き注目されている。SoFiは会員数の急増と手数料収入型モデルへの移行が成長の軸となり、UpstartはAIを活用した信用審査と資産負担の軽減により競争力を高めている。

両社ともに米連邦準備制度の利下げを追い風に成長を加速させているが、投資家の評価には差がある。アナリストは慎重な姿勢を崩さず、「ホールド」の評価を維持。最も強気な目標株価を見る限り、Upstartの方がやや上昇余地が大きいとみられる。

SoFiの拡大戦略とキャピタルライトモデルへの移行

SoFiは急成長を遂げる中で、単なる融資企業から多角的な金融サービスプロバイダーへと変貌を遂げている。その中核をなすのが、手数料収入型のキャピタルライトモデルへの移行である。この戦略は、同社の安定的な収益基盤を強化する要素となっている。

SoFiの成長を支えているのは、会員数と製品数の増加である。最新の決算では、会員数が前年比34%増の1,000万人を突破し、過去5年間で10倍に拡大。さらに、第4四半期には110万の新製品を追加し、総製品数は1,470万件を超えた。これにより、金融サービスの包括的なエコシステムを構築し、ユーザーの生涯価値を高める戦略を推進している。

また、SoFiは預金基盤の拡大にも注力しており、低コストの資金調達手段を確保している。銀行ライセンスの取得以降、預金残高は260億ドルに達し、直接預金を利用する顧客が増加。これにより、自己資本を用いた貸付を強化しながら、調達コストを抑えた融資が可能となっている。この安定した財務基盤が、キャピタルライトモデルへの転換を後押しする要因となっている。

この戦略のメリットは、貸倒リスクの軽減と収益の安定化にある。融資事業は景気変動の影響を受けやすいが、手数料収入型ビジネスは市場の変動に対して強い耐性を持つ。事実、第4四半期には金融サービスおよびテクノロジープラットフォーム事業が調整後純収益の49%を占め、前年の40%から大きく伸びた。この流れが継続すれば、SoFiは将来的にさらに安定した収益モデルを確立することが可能となるだろう。

UpstartのAI信用審査とリスク軽減の取り組み

一方、UpstartはAIを活用した信用審査の精度向上と、リスク管理の最適化を進めることで、成長の加速を図っている。従来のFICOスコアに依存しない審査モデルを導入し、多様な属性の借り手に対する与信を拡大。これがローン発行額の増加につながっている。

特に、Upstartは資産負担の少ないアセットライト戦略を強化しており、2024年末時点で自社のバランスシート上のローン残高を7億3,000万ドルに抑え、前年比28%の削減を達成した。これにより、信用リスクの軽減と資本効率の向上を実現し、収益性を確保している。

さらに、同社は資金調達基盤の強化にも取り組んでおり、第4四半期には新たに13億ドルの資金調達契約を締結した。この契約により、貸付業者との提携が拡大し、プラットフォーム上でのローン供給量の増加が見込まれる。これにより、信用市場の変動に対する耐性が向上し、さらなる成長の基盤を築くことができる。

加えて、Upstartは固定費の削減やコンバージョン率の最適化にも注力しており、事業の効率化を推進している。特に、AIモデルの継続的な改善により、与信プロセスの自動化が進み、審査コストの削減が実現されている。これらの取り組みが実を結べば、将来的にさらなる収益の拡大と利益率の向上が期待される。

株価の評価と今後の成長見通し

SoFiとUpstartはともに、2025年に向けた成長が期待されるが、市場の評価には違いがある。SoFiは手数料収入型のビジネスモデルへの転換による安定性を武器にしており、一方でUpstartはAIを活用した信用審査の精度向上とアセットライト戦略の推進に注力している。

株価の見通しについては、アナリストの評価が分かれている。SoFiのコンセンサス評価は「ホールド」であり、目標株価は現在の水準より低いものの、最も強気な予測では20ドルとされ、17%の上昇余地があると見られている。一方、Upstartも「ホールド」との評価だが、最も強気な目標株価は108ドルで、約20%の上昇余地がある。

低金利環境は両社にとって追い風となる可能性があるが、今後の成長はそれぞれの事業戦略の成否にかかっている。SoFiは会員数と製品の拡大を軸に手数料収入を強化し、安定した収益モデルを確立しようとしている。一方、UpstartはAIを活用した信用リスクの管理と資産負担の削減により、効率的な貸付モデルを構築している。このため、投資家にとっては、それぞれの成長戦略と市場環境を見極めた上での判断が求められる。

Source: Barchart.com