Nvidia(NVDA)は、ゲーム用GPUからAI分野へと進出し、わずか3年で株価を477%上昇させるなど市場の中心的存在となった。同社のH100チップは深層学習や自律技術の基盤となり、データセンター事業の急成長を後押ししている。
しかし、2025年に入ってからのNvidia株は不安定な動きを見せ、高値から9.3%下落。特に中国のAI企業DeepSeekの台頭が市場を揺るがし、一時17%の急落を招いた。にもかかわらず、過去1年で92%の上昇を記録しており、AI分野の成長が引き続き支えとなっている。
注目されるのは、2月26日の第4四半期決算だ。市場予想を上回る決算が発表されれば、株価は再び上昇する可能性がある。一方、成長鈍化が示されれば、AIブームのピーク感が意識される展開も想定される。果たして、Nvidia株は今なお「買い」なのか、それとも見直しの時期が来たのか。
Nvidiaの成長を支えるAI需要と次世代チップへの期待

Nvidiaは、AI市場の急成長とともに企業価値を飛躍的に向上させてきた。その中心にあるのが、同社のH100チップである。ディープラーニングや高性能コンピューティングを支えるこの半導体は、データセンターや自動運転技術、医療分野にまで広く浸透しており、需要が拡大し続けている。2023年の第3四半期には、データセンター部門の売上高が前年比112%増の308億ドルに達し、同社の収益成長を強力に牽引した。
加えて、次世代チップ「Blackwell」への関心も高まっている。2025年から2026年にかけての市場投入が予想されており、クラウド事業者やスーパーコンピュータセンターがすでに在庫の確保を進めている。AI計算能力の向上と電力効率の最適化が図られたこのチップは、Nvidiaの優位性をさらに強固なものにする可能性がある。
こうした動向を踏まえると、Nvidiaは今後もAI市場の成長を享受し続けると考えられる。しかし、競争環境の変化やコスト圧力といったリスクも無視できない。特に、AI向けの小型・低コストチップが台頭する中で、Nvidiaがどのように戦略を展開するかが注目される。
株価の変動と市場の懸念材料
Nvidiaの株価は、2023年から2024年初頭にかけて急騰したが、2025年に入ってからはやや不安定な動きを見せている。年初来の高値から9.3%下落し、1月27日には中国のAI企業DeepSeekの影響を受け、17%の急落を記録した。これは、DeepSeekが低コストで高性能なAIチップを開発し、投資家の間でNvidiaの市場独占が崩れる可能性が意識されたためである。
しかし、Nvidiaの事業基盤は依然として強固である。過去52週間の株価は92%上昇しており、長期的な視点で見れば依然として成長軌道にあるといえる。また、ウォール街のアナリストの多くは、2月26日の決算が株価回復の起爆剤となる可能性を指摘しており、業績が市場予想を超えれば再び上昇トレンドに入ることが期待される。
一方で、現在の株価は調整後利益の34.03倍という高い評価を受けており、業界平均を上回る水準にある。これが投資家にとって割高と映るか、それともNvidiaの成長力を考慮した妥当なプレミアム評価と捉えられるかが、市場の判断を左右する要因となる。
アナリストの評価と今後の見通し
市場の見方は概ね強気であり、UBSやエバコアISIなどの大手アナリストはNvidia株の目標価格を現在価格よりも大幅に高い水準に設定している。UBSは第4四半期の売上高を約420億ドルと見積もり、Blackwellチップの売上を90億ドルと予測するなど、今後の成長に対する期待を強調している。
また、43人のアナリストのうち37人が「強い買い」と評価し、最高目標株価はTigress Financialの220ドルとされている。これは現在の水準から58.4%の上昇余地を示唆しており、依然として強気の見方が支配的であることがわかる。
ただし、楽観視は禁物である。AIブームの持続性には疑問の声もあり、競争環境の変化がNvidiaの成長速度を鈍化させる可能性もある。特に、米国の輸出規制や競合他社の技術革新が、Nvidiaの市場シェアに影響を与えるリスクは無視できない。今後の動向は、第4四半期決算の内容次第で大きく変わることになりそうだ。
Source:Barchart