2024年、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイのリターンを超えたパッシブ運用ETFが存在する。特に、テクノロジー企業への投資に重点を置いたETFは、高い収益率を記録した。
代表的なETFとして、ナスダック100指数に連動する「インベスコQQQトラスト(QQQ)」や半導体株に特化した「iシェアーズ半導体ETF(SOXX)」がある。さらに、テクノロジー全般に分散投資する「テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLK)」、成長株中心の「バンガード・グロース・インデックス・ファンドETF(VUG)」も高いパフォーマンスを示した。
これらのETFはいずれも「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるハイテク大手企業への投資比率が高く、ボラティリティはあるものの、過去数年にわたりバフェットの運用成績を凌駕する結果を残している。
テクノロジー株集中のETFが市場で優位性を持つ理由

2024年にウォーレン・バフェットを上回るリターンを記録したETFの多くは、テクノロジーセクターに投資を集中させている。特に、「マグニフィセント・セブン」と称される米国の主要ハイテク企業がポートフォリオの中核を占める点が共通している。
インベスコQQQトラスト(QQQ)は、ナスダック100指数を追随し、上位10銘柄がファンド全体の51%を占める。これにより、アップルやマイクロソフトといった市場の主力企業の成長が、ETF全体のリターンに大きく寄与する仕組みとなる。また、iシェアーズ半導体ETF(SOXX)は、半導体企業に特化しており、ブロードコムやエヌビディアが大きな割合を占める。このように、成長力の高いセクターに集中することで、市場全体の変動を上回るリターンを生む構造となっている。
こうしたETFの強みは、個別企業の株式投資よりもリスクを分散しながらも、特定セクターの成長性を最大限享受できる点にある。しかし、一方で過度な集中は市場環境の変化による影響を受けやすく、ハイテク株が下落すればETF全体のパフォーマンスも低迷する可能性がある。このように、特定セクターへの集中投資はリスクとリターンのバランスが重要となる。
パッシブ運用のETFがバフェットの戦略を上回った背景
バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、堅実な長期投資戦略で知られる。しかし、過去数年間においては、一部のパッシブ運用ETFがバークシャーのリターンを上回る成果を出している。その背景には、成長株と成熟株のパフォーマンス格差が影響している。
バークシャーはコカ・コーラやバンク・オブ・アメリカといった伝統的な優良企業への投資を重視しており、安定したキャッシュフローと配当をもたらす銘柄に重点を置いている。一方、2024年に好成績を収めたETFは、成長株であるテクノロジー企業への投資比率が高かった。例えば、XLKはマイクロソフトやアップルなどを主要構成銘柄としており、VUGも成長株中心の運用方針を取っている。このように、短期的な市場の成長トレンドが、ETFの優位性を生み出したと考えられる。
ただし、バフェットの投資哲学が揺らぐわけではない。彼の戦略は短期的な市場のトレンドを追うのではなく、企業の本質的な価値に基づいた投資であり、数十年単位で安定したリターンを提供するものである。したがって、ETFが一時的に優れたパフォーマンスを示しても、それが長期的に持続するかは別の問題となる。
今後の市場環境とETFのリスク要因
これらのETFが2024年に高いパフォーマンスを記録したものの、今後も同じようなリターンを維持できるかは不透明である。その理由の一つが、金利環境の変化と市場のサイクルによる影響である。
現在、多くのハイテク株は低金利環境の恩恵を受けており、特に成長企業は資金調達コストの低さを活かして事業拡大を進めている。しかし、今後の金融政策によって金利が上昇すれば、成長企業のバリュエーションは下がる可能性がある。これにより、QQQやVUGといった成長株中心のETFは、大きな調整を強いられるかもしれない。また、半導体セクターは需要の変動が激しく、SOXXのようなETFは市場サイクルの影響を受けやすい。
一方で、これらのETFが引き続き強みを発揮する可能性もある。特に、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングといった成長分野が引き続き拡大すれば、ハイテク株への需要は持続し、ETFのリターンを下支えする要因となる。つまり、短期的な市場の変動に影響を受けやすいものの、長期的に見れば依然として魅力的な選択肢となる可能性がある。
したがって、今後の市場環境に応じて、投資家はハイテクETFの組み入れ比率を慎重に見極める必要がある。バフェットのような長期投資の視点を持ちつつ、パッシブ運用ETFの優位性をどう活用するかが鍵となるだろう。
Source:24/7 Wall St.