Nianticが35億ドルで自社の全ゲームカタログを売却する可能性が浮上している。同社はARゲーム市場における戦略的転換を図るものとみられ、「ポケモンGO」を含むすべてのタイトルの行方に注目が集まっている。

「ポケモンGO」はリリース以来、圧倒的な人気を誇るが、Nianticは運営の不安定さや過度なマネタイズ施策により、プレイヤーとの軋轢を生んできた。また、同社の他のARゲームは成功を収められず、収益の大部分を「ポケモンGO」に依存する形となっていた。

買収交渉の相手とされるScopelyは、高額なアプリ内課金を特徴とするゲーム企業であり、「ポケモンGO」の運営方針がさらに収益重視に傾く懸念も指摘されている。NianticはAR開発プラットフォーム「Lightship SDK」に注力する意向ともされるが、AR市場の停滞を踏まえた今回の売却検討は、業界全体に大きな影響を与えることは間違いない。

Nianticのゲーム売却が示すAR市場の限界と課題

Nianticは「ポケモンGO」を含む全ゲームカタログを35億ドルで売却する計画を進めている。この決断の背景には、ARゲーム市場の成長鈍化がある。Nianticはこれまで、AR技術を活用した位置情報ゲームを次々と開発してきたが、「ポケモンGO」以外のタイトルは期待を大きく下回る結果となった。

ARゲームは一時的なブームを巻き起こしたものの、長期的なプレイヤーの定着には課題があった。位置情報を活用するゲームは、特定の場所でのプレイを前提とするため、継続的にプレイするには高いモチベーションが求められる。また、技術的な問題や端末の性能に左右されやすく、開発コストに対して市場の拡大が進んでいない。

Nianticは自社のAR開発プラットフォーム「Lightship SDK」の提供にも力を入れてきたが、これも市場に十分な影響を与えるには至らなかった。大規模なAR技術の普及には、ゲーム単体ではなく、より広範なエコシステムの構築が求められる。今回の売却計画は、Nianticが自社の戦略を根本的に見直す必要に迫られていることを示している。

Scopelyの買収でポケモンGOの収益モデルはどう変化するのか

Nianticのゲームカタログの売却先として交渉が進められているのはScopelyである。Scopelyはモバイルゲーム「Monopoly GO!」の開発元であり、アプリ内課金を重視したビジネスモデルを展開している。もしこの買収が成立すれば、「ポケモンGO」の収益モデルに大きな影響を及ぼす可能性がある。

現在の「ポケモンGO」は、基本プレイ無料でありながら、アイテム課金やイベントチケット販売によって収益を上げている。しかし、Scopelyの方針を踏まえると、より高額な課金要素が導入されることも考えられる。同社のタイトルでは、一部のアイテムが199.99ドル(約3万円)に設定されることもあり、課金圧力が強まる可能性がある。

プレイヤーの反応次第では、ゲームの方向性が変わることもあり得る。Nianticが運営していた時期にも、課金施策に対する批判は少なくなかったが、買収後にさらに収益重視の運営が行われれば、ユーザー離れが進むことも否定できない。Scopelyによる買収がゲーム体験の向上につながるのか、それとも収益最優先の施策へと傾くのか、今後の動向が注目される。

Nianticがポケモンブランドに依存した理由と失敗の本質

Nianticは「ポケモンGO」の成功により、一躍業界の注目を集めた。しかし、それ以降にリリースされた「ハリー・ポッター:魔法同盟」や「トランスフォーマー:ヘビーメタル」などのタイトルは軒並み失敗に終わった。結果として、Nianticのビジネスモデルは「ポケモンGO」への依存を深めることになった。

「ポケモンGO」が成功した要因の一つは、ポケモンというIPの強さにある。ポケモンは世界的に人気があり、既存のファン層を取り込むことで急成長を遂げた。一方、Nianticの他のタイトルは、IPの知名度やゲームシステムの完成度が「ポケモンGO」に及ばなかった。新作タイトルを開発しても、ユーザーの関心を引くことができず、結果として撤退を余儀なくされた。

また、Nianticのゲーム運営には、技術的な問題やプレイヤーとのコミュニケーション不足が指摘されていた。イベントの不具合、バグの放置、仕様変更によるプレイヤーの不満が積み重なり、「ポケモンGO」ですら安定した運営とは言えなかった。

これらの課題が解決されないまま、ゲームカタログ全体の売却という決断に至ったことは、Nianticが新たな市場を開拓することができなかったことを示している。

Source:Android Police