2024年の銅価格は年初から上昇し、5月には1ポンドあたり5.1990ドルの史上最高値を記録した。その後、年末にかけて調整局面を迎えたものの、2025年1月には再び上昇基調に転じ、2月14日には1ポンド4.8365ドルの高値を付けた。これにより、2024年5月の最高値を再び試す展開となる可能性が浮上している。

銅市場の強気基調は20年以上にわたり続いており、再生可能エネルギーやインフラ需要の増加が価格を押し上げる要因となっている。一方で、LME在庫の変動や米国の対中関税政策が市場の不確実性を高めており、中国の経済成長と銅需要の動向が今後の価格を大きく左右することになる。

米国の関税政策による影響や、CPER(United States Copper Index Fund)などの銅ETFの動向も、市場の先行きを占う重要な指標となる。2025年の銅価格が再び最高値を更新するかどうかは、中国の景気刺激策が需要をどこまで押し上げるかにかかっている。

2025年の銅市場のカギを握る供給と在庫の変動

銅価格の推移を考える上で、供給と在庫の動向は欠かせない要素である。2024年末のLME(ロンドン金属取引所)の銅在庫は271,400メトリックトンまで増加したが、その後2025年2月14日には5.95%減少し255,225トンとなった。この在庫減少は需給の逼迫を示唆する可能性があり、市場では今後の在庫の動きに注目が集まっている。

また、欧州市場の銅が米国へと流入していることも、市場環境を変える要因となっている。背景には米国の関税政策があり、特にトランプ政権の関税施策が復活する可能性が示唆される中、貿易環境の変化が在庫の偏在を引き起こしている。関税の影響で地域ごとの供給が不均衡になり、一部の市場では供給過多、他の市場では供給不足が発生するリスクがある。

こうした状況を受け、銅の供給面でのリスクが高まることは否定できない。銅は再生可能エネルギーや電気自動車の普及に欠かせない金属であり、今後も構造的な需要増が続くと見られる。もし供給がそれに追いつかない場合、2025年中に価格が再び急騰する可能性も考えられる。

中国の経済政策が銅価格の行方を左右する

銅市場の最大の需要国である中国の経済動向は、価格形成に大きな影響を及ぼす。2024年末、中国政府は景気刺激策を実施し、金融緩和を進めた。利下げや銀行規制の緩和により、国内の経済活動が活性化することで、銅の需要が増加する可能性が指摘されている。この景気対策が功を奏せば、銅価格の上昇を後押しする要因となるだろう。

しかし一方で、米国の対中関税が強化されれば、中国経済の回復が鈍化する懸念もある。米国市場は中国の輸出産業にとって不可欠な存在であり、貿易摩擦が激化すれば、中国の製造業は打撃を受ける。結果として、銅の消費量も伸び悩む可能性がある。特に、銅を多用する電気自動車やインフラプロジェクトが停滞すれば、市場全体の需要減速につながる。

今後の銅価格が2024年5月の最高値を再び試すかどうかは、中国の需要次第と言える。もし景気刺激策が効果を発揮し、需要が持続的に増加すれば、銅価格は再び高値を目指す展開になるだろう。一方で、貿易政策の影響で中国経済が減速すれば、銅価格の上昇は限定的になる可能性がある。

銅ETFの動向と投資家の視点

銅に対する投資手段として、ETF(上場投資信託)市場の動向も注目される。2025年1月2日から2月14日にかけて、COMEX銅価格は20.76%上昇し、それに連動する銅ETF「CPER(United States Copper Index Fund)」も20.24%上昇した。CPERはCOMEX銅先物価格を反映する金融商品であり、投資家にとって手軽な銅市場へのアクセス手段となっている。

ただし、CPERには特有のリスクも存在する。銅先物市場は24時間取引されるのに対し、CPERは米国株式市場の取引時間に限定されるため、価格変動の一部を捉えきれない可能性がある。そのため、短期的な価格変動を狙う投資家にとっては、先物市場を直接取引するほうが優位性があるとも考えられる。

2025年の銅市場は、引き続き価格の上昇基調が続く可能性があるが、需給や貿易政策の影響で変動幅が大きくなることも想定される。投資家にとっては、市場の不確実性を見極め、長期的な視点でのポジション管理が求められる。銅ETFの活用も選択肢の一つとなるが、その特性を理解しながら慎重な投資判断が必要となるだろう。

Source:Barchart.com