データ分析企業パランティア(PLTR)の株価が急落した。2月20日、同社の株価は最大14%下落し、一部アナリストは今後20%の下落余地があると警鐘を鳴らす。背景には、米国防総省の予算削減計画があるが、AI対応ソリューションへの予算配分が追い風となる可能性も指摘されている。

それでも、パランティアの株価は過去12か月で300%以上上昇し、直近ではPERが1,000倍を超えるなど、極端な割高感が際立つ。こうした評価の高さを警戒し、著名投資家キャシー・ウッドも同社株を売却した。一方で、ループ・キャピタルは「買い」評価を付与し、今後40%以上の上昇を見込むなど、見解は分かれている。

国防総省の予算削減がもたらす影響とAI投資の可能性

パランティアの株価が急落した要因の一つに、米国防総省の予算削減計画がある。トランプ政権の方針として、今後5年間で防衛費を圧縮する動きが報じられた。この影響で、国防関連の契約に依存する企業は投資家の警戒を集め、パランティアの株価も2月20日に最大14%下落した。

一方で、この予算削減が同社にとって逆風とは限らないとする見方もある。Wedbush証券のアナリスト、ダン・アイブスは、国防予算の削減により、従来のハードウェア依存型システムからAIを活用した効率的なソリューションへの移行が加速する可能性を指摘する。パランティアは、政府向けのAIソリューションを提供する企業として強みを持ち、国防総省のデジタル化の流れに適応できる立場にある。

しかし、市場の懸念は依然として根強い。防衛支出の方向性が完全に明確になるには時間を要するため、短期的には不透明感が続くだろう。また、AI技術の導入が予算の削減を補うほどの規模となるかは不確定要素が多い。こうした要因が複雑に絡み合い、パランティア株の評価は二極化している。

PER1,000倍の高評価は妥当か 成長とリスクのバランス

パランティアの株価は過去1年間で300%以上の急騰を見せた。その結果、同社のPER(株価収益率)は2月19日時点で1,000倍を超え、業界平均の35倍と比べても異常な水準に達している。この高い評価が、現在の下落圧力の一因とされている。

市場では、株価上昇の背景としてAI技術の成長性が期待されている。しかし、これほど高いPERは、将来の利益成長が極めて楽観的な水準でなければ正当化できない。実際に、パランティアは2025年の売上予測を37.4億ドルとし、市場予想を上回る見通しを示したが、この成長ペースが維持される保証はない。また、企業の収益力を測るうえでPERは重要な指標だが、利益が急成長しなければ、過剰評価と見なされるリスクがある。

こうした懸念を受け、ウォール街のアナリストの多くは「ホールド(保持)」の評価を維持し、パランティアの平均目標株価を82ドルに設定している。これは現在の水準から約20%の下落を示唆するものであり、市場が株価調整を警戒していることを表している。一方で、ループ・キャピタルのように、同社の市場支配力を評価し、「買い」を推奨する声もある。株価の上昇を支える要因として、パランティアの技術がAI時代の基盤として確立されるかどうかが今後の鍵となる。

著名投資家キャシー・ウッドの動向と市場心理への影響

パランティア株の評価が分かれる中で、著名投資家キャシー・ウッドの動向も市場に影響を与えている。アーク・インベストメント・マネジメントの創業者兼CEOであるウッドは、同社株を積極的に保有していたが、直近で4,700万ドル相当の株を売却した。この動きは、一部の投資家にとって警戒信号となり、株価の下落圧力を強めた。

ウッドはこれまで成長株への強気な投資姿勢で知られ、特にテクノロジー企業への投資で市場の注目を集めてきた。彼女のポートフォリオ変更は、特定の銘柄の先行きに対する市場のセンチメントを左右する要因となりやすい。今回の売却は、パランティア株の割高感を反映した動きと見られるが、必ずしも同社の成長性に対する評価が変わったわけではない。

実際、ウッドの投資戦略は短期的な利益確定やポートフォリオのリバランスを含むものであり、完全な撤退とは異なる。したがって、彼女の売却がパランティアの将来性そのものを否定するものではないが、過熱感のある株価が調整局面を迎えたことは明らかだ。市場心理としては、大口投資家の動きに敏感に反応しやすいため、今後の機関投資家の動向がさらなる変動要因となるだろう。

Source:Barchart