データ分析とAI技術を強みに持つパランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が2月19日に10%以上急落し、翌日も6%の下落を記録した。背景には、米国防総省の予算削減方針があるとされ、政府契約に依存する同社の収益に不確実性が生じている。2024年の売上高29億ドルのうち55%が政府クライアントによるものであり、今後の国防支出の動向が同社の成長を左右する可能性がある。

一方で、商業部門の急成長が注目される。2024年第4四半期に米国商業部門の売上は前年同期比64%増となり、企業向けAIプラットフォーム「AIP」への需要が拡大している。同部門の契約総額は134%増と急伸し、2025年には売上が10億ドルを超える見通しだ。商業ビジネスの成長が続けば、政府契約への依存度を低減し、収益の安定化につながる可能性がある。

パランティア株の下落要因と市場の反応

パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価は2月19日に10%以上の急落を記録し、翌20日も6%下落した。この売り圧力の背景には、米国防長官ピート・ヘグセスによる国防総省の予算削減指示がある。パランティアは政府向けビジネスに大きく依存しており、売上の55%が政府契約によるものだ。そのため、国防支出の減少が同社の収益構造に影響を及ぼすとの懸念が高まった。

投資家の不安は、パランティアの株価評価がすでに割高であることにも起因する。同社の株価売上高倍率(P/Sレシオ)は99.07倍、予想株価収益率(P/Eレシオ)は384.39倍と、業界平均を大幅に上回る水準にある。この高評価が維持されるには、今後の成長が市場の期待を上回る必要がある。国防支出削減の可能性が浮上したことで、政府向けビジネスの安定性に疑問符がついた形だ。

加えて、パランティアの株価は過去1年間で365%上昇し、年初来でも44%の上昇を維持していた。急騰した株価は、短期的な利益確定売りを誘発しやすい状況にあった。こうした市場心理が、今回の急落をさらに加速させたと考えられる。パランティアの成長見通しに対する期待と警戒のバランスが、今後の株価動向を左右することになりそうだ。

商業ビジネスの成長とその戦略

政府向けビジネスの不確実性が増す中、パランティアは商業部門の成長を加速させている。特に注目されるのが、同社の「Artificial Intelligence Platform(AIP)」の導入拡大だ。2024年第4四半期に米国商業部門の売上は前年同期比64%増の2億1400万ドルを記録し、年間を通じても54%の成長を遂げた。さらに、契約総額(TCV)は前年同期比134%増加し、商業部門の収益基盤が強化されていることが明らかとなった。

この成長を支える要因の一つは、AI技術への需要拡大である。パランティアのAIPは、企業のデータ活用を最適化するソリューションとして注目され、多くの業界で採用が進んでいる。特に金融、ヘルスケア、エネルギー分野では、リアルタイム分析やリスク管理においてAIPの導入が増加している。パランティアの技術力と実績が、新規顧客の獲得を後押ししているのは間違いない。

ただし、商業部門の成長が政府向けビジネスの縮小を完全に補えるかは不透明だ。2025年には米国商業部門の売上が10億7900万ドルに達すると見込まれるが、これは依然として政府向け売上を下回る水準である。パランティアが持続的な成長を遂げるには、商業部門のさらなる拡大と、収益源の多様化が不可欠となる。

株価評価の妥当性と今後の展開

パランティアの株価は依然として高い評価を受けており、投資家の期待が強く反映されている。しかし、現行のバリュエーションが正当化されるには、今後の成長が市場の予想を上回る必要がある。特に、政府向けビジネスのリスクが増す中で、商業部門の成長がどこまで加速するかが焦点となる。

2024年第4四半期の売上成長率は前年同期比36%と堅調だったが、これが今後も継続する保証はない。特にAI技術の競争が激化する中で、パランティアが他の企業との差別化をどこまで維持できるかが問われる。また、政府契約の縮小が続けば、同社の利益率やキャッシュフローにも影響が及ぶ可能性がある。

一方で、パランティアはAI技術の市場リーダーとしての地位を築いており、今後も企業向けソリューションの需要が拡大する余地はある。特に、AIの高度化が進む中で、データ解析能力を持つ企業へのニーズは引き続き高いと考えられる。最終的に、パランティアの株価が現在の水準を維持できるかは、商業ビジネスの成長スピードと、市場の期待とのバランスにかかっている。

Source:Barchart.com