Windows 11 24H2は最新の機能強化が施されたバージョンだが、インストール直後の状態では不要なアプリや強制的な設定が多く、ユーザーの利便性を損ねている。特にMicrosoftアカウントの必須化、プリインストールアプリの増加、広告の多さが課題として挙げられる。
本記事では、Windows 11 24H2のクリーンインストール後に不要な機能を削除し、Edgeの設定を最適化する方法を紹介する。適切な初期設定を施すことで、シンプルで快適なWindows環境を実現できる。Microsoftアカウントの回避方法、不要なアプリの削除、Edgeのカスタマイズ、Copilotや広告の無効化など、実用的な手順を解説する。
Microsoftアカウントの回避方法

Windows 11では、セットアップ時にMicrosoftアカウントでのサインインが強制されるが、以下の方法で回避可能である。
1. コマンドラインを使用する方法
セットアップ中にネットワーク接続前に Shift + F10 を押し、コマンドプロンプトを開く。OOBE\BYPASSNROを入力し、Enterを押す。
PCが再起動し、ネットワーク設定画面に戻ったら「インターネットがありません」を選択することで、ローカルアカウントを作成できる。
2. Windows 11 Proの回避方法
- セットアップを進め、ネットワークに接続。
- 「個人用」ではなく「職場または学校用」を選択。
- 「サインインオプション」から「ドメインに参加」を選択。
- その後、ローカルアカウントを作成する通常の手順が表示される。
3. Rufusを使用して回避
- Rufus をダウンロードし、最新のWindows 11 ISOを入手。
- RufusでインストールUSBを作成する際、「Microsoftアカウント要件を削除」にチェックを入れる。
- 作成したUSBでWindows 11をクリーンインストールすれば、ローカルアカウントでのセットアップが可能となる。
不要なアプリの削除
Windows 11には不要なプリインストールアプリが多く含まれている。以下の手順で削除できる。
1. 手動でアンインストール
- スタートメニュー を開き、不要なアプリを右クリックし アンインストール を選択。
- 設定 → アプリ → インストールされているアプリ へ移動し、不要なものを削除。
削除可能なアプリの例:
- Copilot
- Microsoft Teams
- OneDrive(使用しない場合)
- ソリティア、Clipchamp、To Do、天気、フィードバックハブ
- Xbox アプリ
- Outlook(新)
- Microsoft 365の試用版
2. Microsoft Storeのプリインストールアプリを無効化
設定 → アプリ → インストールされているアプリ で「Microsoft Store」を無効化すると、一部のプリインストールアプリの自動インストールを防げる。
Microsoft Edgeのカスタマイズ
EdgeはデフォルトでMicrosoftサービスを強く推奨してくるが、以下の方法でカスタマイズ可能である。
1. Edgeの初期設定を変更
- Edgeを開く → 右上の「…」メニュー → 設定。
- 「プライバシー、検索、サービス」 で以下をオフにする:
- 「オプションの診断データ」
- 「検索とサービスの改善」
- 「パーソナライズと広告」
- 「プロファイル」 で「Microsoft Rewards」をオフにする。
- 「アドレスバーと検索」 で検索エンジンを GoogleやDuckDuckGo に変更する。
- 「Copilotとサイドバー」 で Copilotのボタンを無効化 する。
2. Edgeの新規タブページを整理
- 新しいタブを開く → 右上の設定ギアアイコン をクリック。
- 「コンテンツの表示」 を「オフ」にする。
- 「スポンサーリンクの表示」 をオフにする。
Copilotや広告の無効化
Copilotや広告を無効にし、より快適なWindows環境を構築する。
1. Copilotの無効化
- 設定 → 個人用設定 → タスクバー へ移動。
- 「Copilot(プレビュー)」をオフにする。
- 設定 → アプリ → インストールされているアプリ から「Copilot」を削除。
また、グループポリシーエディター(Pro版のみ)を使用して完全に無効化できる:
- Win + R を押して
gpedit.msc
を開く。 - 「コンピュータの構成」 → 「管理用テンプレート」 → 「Windows コンポーネント」 → 「Copilot」 へ移動。
- 「Copilotを無効にする」を「有効」に設定。
2. Windows広告の無効化
- 設定 → プライバシーとセキュリティ → 全般 で以下をオフにする:
- 「アプリの起動に基づいて提案を表示」
- 「おすすめのコンテンツを表示」
- 設定 → システム → 通知 で「おすすめ通知」をオフにする。
- 設定 → 個人用設定 → スタートメニュー で「ヒントやおすすめを表示」をオフにする。
- 設定 → ロック画面 で「Windowsスポットライト」を「画像」に変更する。
3. Windows Searchの広告を無効化
- 設定 → プライバシーとセキュリティ → 検索の許可 へ移動。
- 「検索のハイライトを表示」をオフにする。
4. ロック画面の整理
- 設定 → 個人用設定 → ロック画面 で「ロック画面の状態」を「なし」に設定する。
- 「Windowsスポットライト」を「画像」に変更する。
Windows 11 24H2の隠れた問題点とユーザーへの影響

Windows 11 24H2は、多くの新機能を備えたアップデートであるが、同時にいくつかの問題も内包している。特に、プリインストールアプリの増加、Microsoftアカウントの強制、Edgeの広告機能が目立ち、これらはユーザーの自由な選択を妨げる要因となっている。
まず、プリインストールアプリの問題であるが、Windows 10の頃と比較して、Windows 11では削除しにくいアプリが増えている。特にCopilotやXbox関連アプリ、Microsoft Teamsなどが強制的にインストールされる点は、ビジネス用途で使用するユーザーにとって不要な要素となる。
また、スタートメニューの「おすすめ」欄では、不要なアプリや広告が表示される仕様となっており、これをオフにする設定がデフォルトで提供されていない点も懸念点である。さらに、Microsoftアカウントの強制は、Windows 11を使う上で大きな障壁となる。以前のバージョンではローカルアカウントの作成が可能だったが、最新のアップデートでは標準の手順では選択できない。
特にHomeエディションでは完全にMicrosoftアカウントが必須となり、Proエディションでも特定の方法を使わない限り回避できない仕様になっている。最後に、Edgeの広告機能と追跡設定の問題も看過できない。MicrosoftはEdgeの利用促進を目的に、強制的にEdgeを既定のブラウザとして設定し、Bingの検索エンジンを標準にする仕様を維持している。
さらに、タスクバーや検索メニュー内にもBingの検索機能が組み込まれており、ユーザーが意図せずMicrosoftのサービスを利用するよう誘導されている。これらの問題は、ユーザーの選択肢を制限する要素として認識されるべきである。
Windows 11の設定変更が快適な使用環境を生み出す理由
Windows 11 24H2は、多くの不要な要素が初期設定で有効になっているが、適切なカスタマイズを施すことで快適な使用環境を構築できる。Microsoftアカウントの強制回避や不要アプリの削除、Edgeの設定変更を行うことで、パフォーマンスの向上と作業効率の最大化が期待できる。
まず、Microsoftアカウントの強制を回避することの利点は、プライバシーの確保と管理の容易さにある。Microsoftアカウントを使用すると、Windowsの設定やアクティビティがクラウドと同期されるため、利便性が向上する一方で、ユーザーの個人データがMicrosoftのサーバーに保存されることになる。
これを回避し、ローカルアカウントを使用すれば、インターネットに依存せずにPCを管理できるため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができる。次に、不要アプリの削除は、ストレージの節約とシステムの軽量化に寄与する。
特に、CopilotやTeams、Clipchampなどのアプリは、一般的なPC作業には不要なことが多く、削除することでバックグラウンドプロセスの負荷を軽減できる。Windows 11では、プリインストールアプリの削除が難しくなっているが、設定画面やPowerShellを活用すれば大部分のアプリを削除可能である。
さらに、Edgeの設定変更による快適性の向上も重要である。標準設定のままではBingが検索エンジンとして強制されるほか、サイドバーやCopilotが不要なスペースを占拠する。しかし、検索エンジンをGoogleやDuckDuckGoに変更し、サイドバーや広告機能を無効化することで、よりスムーズなブラウジングが可能となる。
特に、追跡防止機能を「厳重」に設定することで、不要なデータ収集を防ぐことができる。このように、Windows 11 24H2は初期状態では不要な機能が多く含まれているが、適切な設定変更を行えば、ユーザーのニーズに最適化されたPC環境を実現することができる。
Windows 11 24H2の今後の展望と課題
Windows 11 24H2は、新機能の追加とパフォーマンスの改善が図られているが、依然としてユーザーの自由度を制限する要素が多く残っている。今後のアップデートでは、こうした問題がどのように解消されるのかが重要な焦点となる。
特に、Microsoftアカウントの強制に関しては、多くのユーザーから反発の声が上がっている。Windows 10まではローカルアカウントが基本的に選択可能だったが、Windows 11では意図的にその選択肢が隠されている。
企業ユーザー向けのProエディションでは回避手段が残されているものの、一般ユーザー向けのHomeエディションでは事実上Microsoftアカウントの使用が必須となっており、今後もこの方針が続くのかが注目される。
また、Edgeの標準化戦略についても課題が残る。MicrosoftはEdgeをOSに深く統合し、ユーザーが他のブラウザを利用することを難しくしているが、これに対する反発は根強い。特に、Windows UpdateのたびにEdgeの設定がリセットされる問題や、デフォルトの検索エンジンがBingに戻る仕様は、ユーザーの利便性を損ねる要因となっている。
さらに、Copilot+ PCの導入により、Windows 11はAI機能を強化しているが、この機能がユーザーにとってどこまで有益なのかは未知数である。Copilotは生産性向上を目的としたツールだが、現時点では対応アプリが限られており、実用性に課題がある。
今後、Copilotがより幅広いアプリと統合され、ユーザーにとって実用的な機能として進化するのか、それとも不要なバンドルソフトとして認識されるのかが、重要なポイントとなるだろう。Windows 11 24H2は、利便性と制約の両面を持つアップデートであり、Microsoftが今後どのような方向性を打ち出すのかが、ユーザーの満足度を左右する鍵となる。
Source:Ars Technica