Nvidiaの最新GPU「RTX 5070 Ti」が発売と同時に完売し、入手困難な状況が続いている。英国の大手販売店Overclockers UK(OCUK)によれば、次回の入荷は2~6週間後とされ、現在も予約注文は受け付けているが、供給が安定する見通しは立っていない。

この供給不足は、過去のRTX 5090やRTX 5080と同様の事態であり、人気の高さを示す一方、転売市場では価格が定価を大きく上回る状況となっている。RTX 5070 Tiは前世代比で4Kゲーム性能が25%向上しているが、劇的な性能向上とは言えない。

さらに、来月にはAMDの新GPU「Radeon RX 9070 XT」が登場予定であり、Nvidiaが供給問題を解決できなければ、競争が激化する可能性がある。市場では今後の在庫状況が注目される。

RTX 5070 Tiの供給不足と転売市場の実態

RTX 5070 Tiは発売と同時に完売し、現在市場では入手困難な状況が続いている。英国の大手販売店Overclockers UK(OCUK)によれば、次回の入荷は2〜6週間後となる見込みであり、予約注文は受け付けているものの即座に手に入れることは難しい。特に、推奨小売価格(MSRP)での購入はほぼ不可能となっている。

こうした状況を背景に、eBayなどの転売市場では定価749ドルのRTX 5070 Tiが1000ドル以上で取引されるケースが相次いでいる。過去のRTX 5090やRTX 5080でも同様の転売が発生しており、今回も例外ではない。高性能なGPUを求めるPCゲーマーやクリエイターにとって、この供給不足は大きな問題となっている。

一方で、転売価格が高騰することで、Nvidiaの販売戦略や供給体制に対する批判も強まっている。このような転売の横行は、Nvidiaの供給管理だけでなく、小売業者の販売方法にも影響を与えている。近年では、転売対策として購入制限を設ける店舗も増えているが、それでも発売初日での完売を防ぐには至っていない。

転売市場が形成される背景には、需要と供給のバランスの問題だけでなく、希少性が購買意欲を刺激するという消費者心理も影響している。

RTX 5070 Tiの性能向上とその評価

RTX 5070 Tiは、前世代のRTX 4070 Tiと比較して約25%の4Kゲーム性能向上を果たしている。この数字は決して小さくはないが、RTX 4070 TiがRTX 3070 Tiと比較して60%以上の性能向上を見せたことを考慮すると、今回のアップグレードはそれほど劇的なものではないといえる。

特に、最新のゲームタイトルでは4K解像度でのプレイが標準化しつつあり、グラフィックボードの性能向上はプレイヤーにとって不可欠な要素となっている。しかし、今回のRTX 5070 Tiの進化幅が限定的であることから、既にRTX 40シリーズを使用しているユーザーにとっては、買い替えの決定的な理由にはなりにくい。

一方で、RTX 30シリーズ以前のモデルを使用しているユーザーにとっては、一定の魅力がある。特に、レイトレーシングやDLSS 3.0といった技術を活用することで、より高品質なグラフィック表現が可能となる。RTX 5070 Tiの性能向上がどこまで実用的なものとなるのか、実際のゲームプレイ環境での評価が今後の鍵となるだろう。

AMDの新GPU登場が競争を激化させる可能性

RTX 5070 Tiの供給不足が続く中、来月初旬にはAMDの新GPU「Radeon RX 9070 XT」が登場予定となっている。これはRTX 5070 Tiの直接的なライバルとなる製品であり、Nvidiaにとって供給問題の解決が急務となる理由の一つでもある。

もしAMDが競争力のある価格設定を行えば、RTX 5070 Tiの市場シェアに影響を与える可能性がある。特に、AMDのRDNA 4アーキテクチャが期待通りの性能を発揮すれば、Nvidiaの供給不足が続く間にシェアを奪われることも考えられる。ただし、AMDも過去には供給不足に直面したことがあり、安定供給が可能かどうかは不透明な部分がある。

Nvidiaがこの競争にどう対応するのかは注目される。短期間での供給問題の解決は難しいが、価格戦略や新たなプロモーションを打ち出すことで、一定の需要を維持する可能性はある。今後の動向次第では、PC市場全体の勢力図が変わるかもしれない。

Source:Tom’s Hardware