パランティア・テクノロジーズ(PLTR)の株価が急落している。2025年2月20日には5%以上の下落を記録し、前日には10%もの急落を経験した。この動きは、CEOアレックス・カープが今後1000万株を売却する計画を発表したこと、さらに米国防予算の削減の可能性が報じられたことに起因する。
パランティアの株価は過去1年間で急騰し、2024年には340%の上昇を記録したが、現在の株価収益率(PER)は361倍と極めて高い水準にある。ウォール街のアナリストはこの評価に懐疑的な見方を示し、一部の投資家による強い支持がその価格を支えていると指摘する。一方で、2024年第4四半期の決算は好調で、売上高は前年同期比36%増の8億2800万ドルに達し、米国商業部門の売上も64%増を記録した。
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CEOの株式売却と市場の反応:パランティア株価の急落を引き起こした要因
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パランティア・テクノロジーズの株価は、2025年2月20日に5%以上の下落を記録し、その前日には10%もの急落を見せた。この動きの背景には、CEOアレックス・カープによる1000万株の売却計画が影響している。
カープの売却は、経営幹部が株式売却を計画的に実行する「10b5-1取引計画」に基づくものだ。この制度はインサイダー取引のリスクを避けるための仕組みであり、売却の意思決定が事前に定められたスケジュールに従う。しかし、市場はこの情報にネガティブな反応を示し、大規模な売りが発生した。
さらに、米国防総省の予算削減報道が投資家心理を冷やした。国防長官ピート・ヘグセスは、今後5年間で年間8%の国防予算削減を検討するよう指示したとされる。パランティアは政府向けビジネスが主要な収益源の一つであるため、この報道が売り圧力を増幅させたと考えられる。
一方、小売投資家の影響力が強いことも、株価の急激な変動につながっている。D.A. Davidsonのテクノロジー調査責任者ギル・ルリアは、「パランティアは小売投資家の関心を強く引く企業であり、他のどの企業よりも彼らの動向に左右される」と指摘する。Vanda Researchのデータによると、パランティアは2025年2月初旬までの純流入額で、エヌビディア、テスラ、S&P 500 ETFに次ぐ4位にランクインしていた。
パランティアの株価評価:ウォール街の懐疑と小売投資家の熱狂
パランティアの株価は、過去1年間で驚異的な上昇を見せた。2024年には340%もの上昇を記録し、2025年に入ってからも年初来で30%以上の上昇を維持している。この背景には、人工知能(AI)技術への高い期待や、ドナルド・トランプ前大統領の再選が同社に有利に働くとの思惑がある。
しかし、ウォール街のアナリストはこの株価の水準に慎重な姿勢を崩していない。現在の株価収益率(PER)は361倍と、S&P 500の平均である22倍を大幅に上回る。これは、将来の成長を大きく織り込んだ水準であり、過大評価の懸念を強める要因となっている。
実際、パランティアの株価評価に対する意見は分かれている。ウォール街のアナリスト19人のうち、「強い買い」と評価するのは3人にとどまり、「ホールド」評価が10人、「強い売り」が5人となっている。平均目標株価は81.82ドルで、現在の株価よりも約25%低い水準が示されている。
一方、小売投資家の支持は依然として強く、短期的な下落があっても買いが入りやすい傾向にある。特にAI分野での成長期待が根強く、政府や大企業向けのデータ分析プラットフォームとしての需要は今後も拡大が見込まれる。ただし、現在の株価水準が妥当かどうかは、業績の継続的な成長と収益性の向上が鍵を握ることになる。
パランティアの実績と成長戦略:AI分野での優位性は持続するのか
株価の急落とは裏腹に、パランティアの業績は力強い成長を示している。2024年第4四半期の決算では、売上高が前年同期比36%増の8億2800万ドルに達し、市場予想を上回った。特に米国商業部門の売上が64%増、政府向け売上が45%増となるなど、堅調な成長を遂げた。
この成長を支えているのが、同社の人工知能プラットフォーム(AIP)である。パランティアのCROライアン・テイラーは、「AI革命の中で、実際に機能するソリューションを求める企業がパランティアを選択している」と述べ、エンタープライズ向けAI市場での競争力を強調した。
また、同社は第4四半期に総額18億ドルの契約を獲得し、前年同期比56%の増加を達成した。主な契約として、米国の大手薬局チェーンとの6700万ドル規模の処方箋自動化契約や、通信会社との4000万ドルの契約拡張が含まれる。
パランティアの2025年売上予測は37億5000万ドルで、前年比31%増を見込んでいる。米国商業部門の売上は54%以上増加し、10億7900万ドルに達すると予測されている。また、調整後営業利益率は45%と過去最高水準を記録する見込みである。
こうした業績を踏まえれば、長期的な成長余地は依然として存在すると考えられる。ただし、PERの高さはリスク要因であり、投資家は今後の成長が期待どおりに進むかどうかを慎重に見極める必要がある。特に、小売投資家の影響が強い銘柄であることを考えると、市場のセンチメントが急変した際のボラティリティにも注意が必要だろう。
Source: Barchart.com