NvidiaがRTX 50シリーズGPUで32ビット版PhysXのサポートを終了したことで、一部のクラシックゲームのエフェクトが失われる問題が発生した。しかし、Redditユーザー「jerubedo」は、PhysX専用にRTX 3050を追加することで、この問題を回避しつつパフォーマンスを向上させる方法を実践した。
彼はRTX 5090をメインのGPUとし、RTX 3050をPhysX処理専用に設定。結果、『Mafia II Classic』では28.8 FPSから157.1 FPSへ、『Batman: Arkham Asylum』では390 FPSに向上するなど、大幅なパフォーマンス改善を達成した。Nvidiaコントロールパネルを用いたPhysX専用GPUの設定方法も明らかになり、今後同様のアプローチを試みるユーザーが増える可能性がある。
32ビットPhysXの終了がもたらす影響とは

NvidiaがRTX 50シリーズGPUで32ビット版PhysXのサポートを打ち切ったことで、過去にPhysXを活用していた多くのクラシックゲームに影響が出ている。PhysXは、リアルタイムの物理シミュレーションを可能にし、爆発時の破片や煙の動き、布の挙動などをよりリアルに演出する重要な技術だった。しかし、Nvidiaは32ビットCUDAアプリケーションのサポート終了を決定し、それに伴いPhysXの32ビット版も利用できなくなった。
これにより、『Mafia II Classic』や『Batman: Arkham Asylum』のようなタイトルでは、PhysXを有効にできない、またはフレームレートが著しく低下するという問題が発生している。特に、GPUでの物理演算ができない環境では、CPUがこれを肩代わりする形となるため、パフォーマンスの大幅な低下が避けられない。そのため、PhysX対応タイトルを快適にプレイするためには、別の方法を検討する必要がある。
こうした状況の中、Redditユーザー「jerubedo」が選んだ解決策が、前世代のGPUをPhysX専用に割り当てる方法だった。彼はRTX 3050をPhysX専用カードとして設定し、最新のRTX 5090と組み合わせることで、従来のPhysXエフェクトを維持しつつ、高いフレームレートを実現した。この方法は、新旧のGPUをうまく活用する手法として、クラシックゲームのファンにとって注目すべきものとなっている。
RTX 3050をPhysX専用に使うメリットとその実用性
PhysX専用のGPUを導入することで、クラシックゲームの演出が向上するだけでなく、CPU負荷の軽減によって全体的なパフォーマンス向上も期待できる。特に、Redditユーザー「jerubedo」が試した環境では、RTX 3050をPhysX専用にすることで『Mafia II Classic』が28.8 FPSから157.1 FPSに向上するなど、劇的な変化が見られた。
RTX 3050がPhysX用に適している理由は複数ある。まず、省電力で動作するモデルが多く、PCIeスロットからの電力供給だけで使用できる点が挙げられる。これにより、追加の電源ケーブルを必要とせず、省スペースな構成が可能となる。また、比較的低価格で入手しやすく、新品・中古市場ともに流通量が多いため、導入のハードルが低いことも魅力の一つだ。
しかし、PhysX専用カードとしての効果はゲームごとに異なる。例えば、『Assassin’s Creed IV: Black Flag』ではPhysXエフェクトがCPUで処理される設計となっており、RTX 3050を追加してもパフォーマンスへの影響はほぼなかった。一方、『Borderlands 2』のようにPhysXがゲーム体験に大きく関わるタイトルでは、専用GPUを導入することでエフェクトの完全動作が可能となる。このように、PhysX専用GPUの有効性は、ゲームの設計や最適化の状況によって左右されるため、事前にタイトルごとの動作環境を確認することが重要である。
これからのPhysXとクラシックゲームの未来
Nvidiaが32ビット版PhysXのサポートを終了したことで、今後クラシックゲームのPhysXエフェクトを維持することはますます難しくなる可能性がある。現時点では、旧世代のGPUをPhysX専用にすることで対応できるが、将来的にドライバの互換性やゲーム側のサポート終了などの要因によって、この方法が使えなくなる可能性も考えられる。
一方で、クラシックゲームの保存と改良を目的としたコミュニティの活動も活発化しており、MODやパッチを活用することでPhysXを維持する取り組みも進んでいる。過去には、ファンが独自に作成したパッチによって古い技術を新環境で再現する事例もあり、今後もこのような動きが続く可能性がある。
また、RTX 50シリーズ以降のGPUでは、NvidiaがAIを活用した最適化を進めていることから、将来的には物理演算もAIが処理する新たな技術が登場するかもしれない。これにより、クラシックゲームのエフェクトを新しいGPU環境で再現する手法が確立される可能性もある。PhysXという技術が過去のものとなるのか、それとも新しい形で進化するのか、今後の動向に注目したい。
Source:Neowin