AMDの次世代GPU「Navi 48」の詳細が明らかになった。リーク情報によると、Navi 48は53.9億個のトランジスタを搭載し、NVIDIAのGB203(45.6億個)を上回る。

ダイサイズは約350 mm²と、事前の予想よりも小型化されており、NVIDIAのAD103(379 mm²)やGB203(378 mm²)と比較してもコンパクトな設計となっている。さらに、トランジスタ密度は138~154 MTr/mm²と見積もられ、NVIDIA Blackwellシリーズの117~122 MTr/mm²を超える可能性がある。

AMDはこのNavi 48を搭載した「Radeon RX 9070シリーズ」がRTX 4080/4070クラスの競合製品になると示唆しており、サイズと密度のバランスを考えると十分な競争力を持つと考えられる。今後、消費電力やクロック周波数などのさらなる詳細が明らかになることで、実際のパフォーマンスがどうなるのか注目が集まる。

Navi 48のトランジスタ密度がもたらす性能への影響

Navi 48は53.9億個のトランジスタを搭載し、350 mm²のダイサイズに収められている。この結果、トランジスタ密度は138~154 MTr/mm²となり、NVIDIAのGB203(120.6 MTr/mm²)を大きく上回る。この密度の向上により、同じ面積でより多くの演算ユニットや制御回路を配置できるため、消費電力あたりの性能が向上する可能性がある。

特に、RDNA3世代のNavi 31と比較してもトランジスタ密度が約25%向上しており、同じアーキテクチャをベースにした場合でも効率的なパフォーマンス向上が期待できる。これにより、エネルギー効率の向上や、より高クロックでの動作が可能になるかもしれない。さらに、小型化されたダイは製造コストの低下にも寄与し、競争力のある価格設定につながる可能性がある。

一方で、高密度化は熱管理の課題も生じる。密度が高くなるほど、特定の領域に熱が集中しやすくなるため、冷却性能がボトルネックになる可能性がある。そのため、AMDがどのような冷却設計や電力管理技術を導入するかが、Navi 48の実際のパフォーマンスに大きく影響するだろう。

RDNA4の特徴とNVIDIA Blackwellとの設計思想の違い

RDNA4世代のNavi 48は、従来のRDNA3と比較して、明確な進化を遂げている。特に、Navi 48はシングルダイ設計を採用しており、RDNA3のNavi 31のようなマルチチップレットデザインではない点が特徴だ。これに対し、NVIDIAのBlackwell世代では、GB202などの上位モデルでチップレット技術の採用が噂されているが、GB203は単一ダイの設計となっている。

シングルダイの利点は、メモリ帯域の一貫性や遅延の低減にある。チップレット設計では複数のダイ間の通信が発生するため、帯域の分割やレイテンシの増加といった課題があるが、Navi 48はこれを回避できる。また、製造コストも抑えられるため、ミドルハイクラスの製品としてコストパフォーマンスの向上が期待される。

一方で、NVIDIAのBlackwell世代では、AI処理向けの強化が進んでいるとされ、特にGB202などのハイエンドモデルでは新しいAIアクセラレーション技術の搭載が見込まれている。この点で、Navi 48がどの程度のAI処理性能を持つのかは、今後の発表を待つ必要があるだろう。RDNA4の設計が、純粋なゲーム向けパフォーマンスに重点を置いたものであるならば、AIワークロードにおいてはNVIDIAのBlackwellシリーズが優位に立つ可能性もある。

Navi 48がRX 9070シリーズにもたらす可能性と市場の期待

AMDは、Navi 48を搭載した「Radeon RX 9070シリーズ」がNVIDIAのRTX 4080や4070と競合すると示唆している。Navi 48のスペックを見る限り、トランジスタ密度の向上やダイサイズの最適化により、消費電力あたりのパフォーマンスが向上する可能性がある。特に、350 mm²というサイズは、過去のミドルハイクラスGPUと比較しても効率的な設計といえる。

また、RX 9070シリーズの価格設定が競争力のあるものになれば、多くのユーザーにとって魅力的な選択肢となるだろう。特に、NVIDIAのRTX 40シリーズは発売当初の価格が高騰した経緯があり、AMDが適正な価格設定を行えば、市場でのシェア拡大が期待できる。しかし、Navi 48のメモリ仕様やクロック速度、実際のゲーム性能などが未公開であるため、最終的な評価は今後の正式発表を待つ必要がある。

加えて、DLSSやFrame GenerationといったNVIDIAの技術に対抗する形で、AMDがFSRの進化版を投入するのかも注目される。RX 9070シリーズが、価格だけでなく、ゲームプレイの快適さでもNVIDIAと肩を並べる存在となれるのか、今後の発表に期待したい。

Source:VideoCardz.com