著名投資家マイケル・バーリーの最大保有銘柄であるアリババ・グループ(NYSE: BABA)の株価が、2025年に入り急騰を続けている。直近の取引で143.75ドルに到達し、年初来で70%もの上昇を記録。この急速な値動きにより、相対力指数(RSI)は86.52と過去最高水準に達し、「買われ過ぎ」の状態となっている。

こうした状況を受け、バーリー自身も2024年第4四半期にBABA株の保有比率を25%削減。投資家の間ではこの動きを警戒する声が上がり、現在の水準での売却を検討する動きも見られる。一方で、アリババの最新決算は市場予想を大幅に上回っており、ファンダメンタルズは依然として堅調。規制環境の改善やAI分野への積極投資なども、今後の成長を支える要因となる可能性がある。

ウォール街のアナリストは総じて強気な見解を維持しているが、一部では利益率への懸念から目標株価の引き下げも見られる。短期的な調整の可能性と長期的な成長期待のバランスをどう捉えるか、投資家は慎重な判断を迫られる局面となっている。

RSIの過熱感が示唆する市場の動きとリスク

アリババ株(NYSE: BABA)の急上昇により、相対力指数(RSI)は86.52に達した。この指標は一般的に70を超えると買われ過ぎとされるが、今回の水準は過去最高であり、市場の過熱感を強く示している。これまでの歴史を振り返ると、RSIが極端な高値を示した際には株価の調整が起こるケースが多い。短期トレーダーの利益確定売りが加速する可能性があるため、慎重な動きが求められる。

また、BABA株の上昇は市場の楽観的な見方と連動しているが、過去のデータではRSIが80を超えた後に一時的な下落を見せるケースもある。このため、短期のボラティリティが高まることが予想され、リスク管理が重要となるだろう。特に、アルゴリズム取引が活発な市場では、売りシグナルが発動すると急激な調整が発生する可能性がある。

しかし、一方でRSIが高値圏にあっても、そのまま上昇を続けるケースも存在する。アリババのようにファンダメンタルズが強固な企業では、過去のトレンドに当てはめるだけでは正確な判断は難しい。投資家は短期的なテクニカル指標に振り回されず、企業の成長性や市場環境を総合的に判断する必要があるだろう。

バーリーの売却が示す投資戦略の変化

2024年第4四半期にマイケル・バーリーはBABA株の保有比率を25%削減した。これは単なるポートフォリオ調整ではなく、今後の市場環境やリスクを意識した戦略的な動きと考えられる。バーリーは歴史的に逆張りの投資スタイルを持ち、市場が過熱した際には売却を進める傾向がある。今回の売却も、BABA株の急騰を受けた利益確定の一環である可能性が高い。

特に、アリババは中国市場の規制や地政学リスクの影響を受けやすい銘柄であり、バーリーの判断にはこれらの要因も含まれているだろう。過去には中国政府の規制強化でアリババ株が急落したケースもあり、長期投資家にとっては依然として不確定要素が残る。一方で、バーリーは25%を売却したものの、依然としてポートフォリオ全体の16.43%をBABAが占めている点は重要である。

この動きは、完全な撤退ではなく、一定の利益確定とリスク調整を意味している可能性がある。投資家がバーリーの行動を参考にする場合、単なる売却の事実だけでなく、どの程度の比率を維持しているのかを分析することが重要だろう。市場が加熱する中でも、バーリーはアリババの成長性を見込んでいると考えることもできる。

BABA株の今後を左右する成長要因

アリババの急上昇は、単なる投機的な買いだけでなく、強固なファンダメンタルズによって支えられている。特に、2024年12月期の決算では売上高が2801.54億人民元、純利益が489.45億人民元と市場予想を大きく上回った。この結果は、アリババが引き続き成長軌道にあることを示しており、株価の上昇にも合理的な根拠があるといえる。

また、中国政府の規制緩和の兆しもプラス要因となっている。2025年2月17日には、アリババ創業者のジャック・マー氏が習近平国家主席と面会し、企業家支援の方針が示された。この動きは、中国のテック企業に対する市場の懸念を和らげる材料となり、BABA株の強気な展開を支える可能性がある。

さらに、アリババはAIやクラウド分野への投資を加速しており、新たな収益源の確立が期待される。クラウド部門の成長は直近6四半期で三桁成長を続けており、今後も競争力を高める要素となる。特に、テック分野に関心を持つ投資家にとって、アリババの技術戦略は注目に値するポイントとなるだろう。

Source:Finbold