ウォーレン・バフェットは、バークシャー・ハサウェイの年次書簡において、同社の株主資金の大部分が依然として株式に投じられていると強調した。これは、同社の現金および現金同等物の保有額が過去最高の3342億ドルに達したにもかかわらず、株式投資の方針が変わらないことを示すものだ。
2024年第4四半期、バークシャーの営業利益は前年同期比で70%以上増加し、145.3億ドルに達した。一方で、市場で取引される株式の保有額は3540億ドルから2720億ドルに減少したが、非公開企業の支配株式の価値は増加しているという。バフェットは、同社が依然として株式投資を重視し、良質な企業の所有を最優先していることを改めて表明した。
バークシャーの現金保有額が過去最高に その背景とは

バークシャー・ハサウェイの現金および現金同等物の保有額が、2024年末時点で過去最高の3342億ドルに達した。これは米国財務省短期証券などの安全資産を中心に蓄積されているが、なぜこれほどの現金を保持するに至ったのか。その背景には、同社の投資方針と市場環境の変化がある。
ウォーレン・バフェットは長年、魅力的な投資機会が見つからない場合、無理に資金を投じるのではなく、慎重に市場を見極めるスタンスを取ってきた。特に、現在の市場では企業価値に対して株価が高騰している銘柄も多く、慎重な姿勢を崩さない方針が現金保有額の増加につながったと考えられる。
また、金利の上昇により、バークシャーの現金資産が収益を生む環境が整っていることも一因だ。米国財務省短期証券などの安全資産の利回りが向上したことで、単に現金を保有するだけでも一定の利益を確保できる。こうした状況が続く限り、バークシャーが急いで新たな投資先を探す可能性は低いかもしれない。
非公開株の価値増加 株式投資戦略の変化か
バークシャー・ハサウェイは市場で取引される株式の保有額を2023年の3540億ドルから2720億ドルへと減少させたが、その一方で、非公開企業の支配株式の価値が増加したと報告された。この変化は、同社の投資戦略の一環として注目に値する。
バフェットは、単なる市場株の売買だけでなく、長期的な成長が見込める企業の一部または全体を所有することに重きを置いてきた。アップルやバンク・オブ・アメリカなどの有力企業への投資を維持しつつ、非公開の企業への出資を増やすことで、より安定した収益基盤を確保しようとしていると考えられる。
非公開株の保有は、短期的な市場の変動に影響されにくいメリットがある。一方で、流動性が低いため、現金化しにくいリスクも伴う。バークシャーが今後もこの戦略を拡大するかは市場の動向次第だが、現在の方針を維持する限り、非公開企業の比重がさらに高まる可能性はある。
バフェットの投資哲学と株主へのメッセージ
バフェットは年次書簡の中で、バークシャーの投資方針が今後も変わらないことを強調した。彼は株主に対し「資金の大部分は株式に投資されている」と明言し、特に米国企業の株式を中心に投資を続ける方針を示した。
同社のポートフォリオには、アップル、バンク・オブ・アメリカ、コカ・コーラ、シェブロン、アメリカン・エキスプレスといった企業が名を連ねている。これらの企業は国際的にも事業を展開しており、バークシャーが実質的に世界市場へ投資していることがわかる。
バフェットはまた、株式投資の重要性を改めて訴え、現金同等資産の保有を増やすことよりも、良質な企業への投資を優先する姿勢を示した。長期的な成長を重視するこの戦略が、バークシャーの株主にとってどのような影響を及ぼすのか、今後も注目される。
Source:Investopedia