ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが2024年第4四半期の決算を発表し、営業利益が前年同期比で70%以上増加したことが明らかになった。四半期の営業利益は145.3億ドルに達し、通年では474.4億ドルと前年比27%の成長を遂げた。

この成長を牽引したのは保険引受部門で、同部門の営業利益は300%以上増加し、34.1億ドルに達した。バフェットは年次株主書簡の中で「業績は予想を上回ったが、189の事業部門のうち53%が利益の減少を報告した」と述べている。

また、同社の現金および短期証券の保有額は3,342億ドルと過去最高水準に達し、バンク・オブ・アメリカ株の追加売却やウルタ・ビューティー株の完全売却が行われたことも注目される。

保険事業の爆発的成長が業績を押し上げた背景

バークシャー・ハサウェイの2024年第4四半期における営業利益の急増は、保険引受部門の成長が大きく寄与している。同部門の営業利益は前年同期比300%以上増加し、34.1億ドルに達した。この結果、バークシャー全体の利益成長を支える最も重要な要素となった。

この業績向上の要因の一つとして、同社の保険契約の引受精度向上とリスク管理の強化が挙げられる。バークシャーは長年にわたり、保険業界におけるリスク評価の精度を高め、収益の安定性を確保してきた。2023年から2024年にかけての経済環境では、インフレや金利上昇の影響が一部の保険会社にとって逆風となる一方で、バークシャーは適切な価格設定とリスク調整を行うことで競争力を維持した。

さらに、再保険市場の動向も影響を与えた。自然災害の増加や経済不安定が続く中、多くの企業がより安全な再保険契約を求める傾向にある。バークシャーは資本力を背景に、この需要を積極的に取り込み、利益を大きく伸ばした。これにより、同社は保険部門の収益をさらに拡大する基盤を築いている。

このように、戦略的な価格設定とリスク分散、そして市場の動向を的確に捉えた柔軟な対応が、今回の営業利益増加を支える要因となった。特に、不透明な経済環境においても安定した収益を確保できるバークシャーのビジネスモデルは、今後も市場の変動に強いことを示している。

過去最高の現金保有が示すバークシャーの投資戦略

バークシャー・ハサウェイの2024年末時点の現金および短期証券の保有額は3,342億ドルと過去最高を記録した。同社は2023年第3四半期にも3,200億ドル超の現金を保有しており、これは短期間でさらなる増加を遂げたことを意味する。

この膨大な現金保有は、保守的な資金運用方針の結果といえる。ウォーレン・バフェットは、リスクの高い投資を控え、流動性の高い資産を優先することで、市場の変動に柔軟に対応する戦略を取っている。特に、2023年から2024年にかけての金利上昇を背景に、米国財務省短期証券(Tビル)の保有を増やし、その利回り上昇による利益を享受している点が特徴的だ。

一方で、現金保有額の増加は、魅力的な投資先が限られている可能性を示唆している。バークシャーは大規模な買収を慎重に判断する姿勢を崩しておらず、短期間での積極的なM&Aは行われていない。この戦略は、市場が適正な評価に戻るまで待ち、投資機会を見極めるというバフェット流の手法に基づいている。

また、同社はアップル株の持ち株比率を維持しながら、バンク・オブ・アメリカ株の追加売却を実施。これにより、ポートフォリオの再構築を進めつつ、保有現金の活用について慎重な判断を続けている。市場環境が変化すれば、今後この巨額の現金がどのように活用されるのかが注目される。

Source:Investopedia