Appleが開発を進める次世代のMacBook Proに関する情報が徐々に明らかになってきた。現在の噂では、2025年に登場する新型MacBook Proは、新たに開発されたM5チップを搭載する可能性が高い。Appleは例年、10月にMacBook Proの新モデルを発表しているが、今回もその流れを踏襲すると見られる。

M5チップは、TSMCの最新プロセス「N3P」を採用し、M4チップ比で15〜25%の性能向上が期待されている。また、Appleがアメリカ・アリゾナ州の工場で一部のチップ生産を開始するとの報道もあり、米中関係の影響を受ける可能性も指摘されている。

デザイン面での大幅な変更は2026年まで待たなければならないと考えられており、次期モデルは小規模なアップデートに留まる見込みだ。新色の追加やカメラ性能の向上、Thunderbolt 5対応などの改良が予想されるが、OLEDディスプレイの採用は2026年以降になると見られる。今後、さらなる情報の公開が待たれる。

M5チップの革新性と性能向上の可能性

Appleが開発を進めるM5チップは、M4チップの進化版として大幅な性能向上を実現すると予想されている。特に注目されるのが、TSMCの「N3P」プロセスを採用する点である。これは、M4チップが採用した「N3E」プロセスよりもさらに微細化された3nmプロセスであり、電力効率の向上や発熱の抑制が期待される。

これにより、バッテリー駆動時間の延長と、長時間の高負荷作業時におけるパフォーマンスの安定性が向上すると考えられる。さらに、M5チップはAI処理能力の強化にも重点を置くとみられる。M4チップですでにAI専用のNeural Engineが強化されていることから、M5チップではさらに処理速度が向上し、機械学習を活用するアプリケーションやクリエイティブワークにおける生産性向上が期待される。

特に動画編集や3Dモデリング、ソフトウェア開発の分野では、MacBook Proの強みがより一層際立つことになるだろう。ただし、性能の向上は必ずしも全てのユーザーにとって恩恵があるとは限らない。M1やM2チップを搭載したMacBook Proユーザーにとっては、大幅な処理速度向上を体感できる可能性があるが、M4チップ搭載モデルとの比較では劇的な変化は見られないかもしれない。

そのため、M5チップへの移行がどの程度の価値を持つのかは、今後の具体的なベンチマークデータを待つ必要がある。

MacBook Proのデザインは進化するのか

Appleが2025年に投入するとみられるMacBook Pro M5モデルでは、大幅なデザイン変更は見込まれていない。その理由として、2026年のOLEDディスプレイ搭載モデルの登場が噂されていることが挙げられる。これにより、Appleは現行のデザインを維持しながら、内部スペックの向上に重点を置く可能性が高い。しかし、小規模なアップデートがいくつか加えられることは十分考えられる。

たとえば、新色の追加やカメラ性能の向上が挙げられる。Appleは近年、MacBookのカメラ性能を改善するための技術開発を進めており、「CCM(コンパクトカメラモード)」と呼ばれる小型カメラシステムの導入が検討されている。これにより、よりスリムなディスプレイ設計が可能になり、今後のノッチ廃止やベゼルのさらなる縮小へとつながるかもしれない。

また、Thunderbolt 5の対応が期待される点も重要だ。現行のThunderbolt 4よりもデータ転送速度が向上し、高解像度ディスプレイや外付けストレージとの接続性が強化される可能性がある。プロフェッショナル用途では、こうした周辺機器の接続性能向上が作業効率を大きく左右するため、この進化は歓迎されるだろう。

ただし、2026年にはOLEDディスプレイの搭載に加え、ノッチの廃止やM6チップへの移行が噂されているため、デザインの進化を待つかどうかの判断は慎重に行う必要がある。MacBook Pro M5は確実に性能向上を遂げるが、デザインの変化を期待するなら、次世代モデルまで待つという選択肢もあるだろう。

価格上昇の可能性と市場への影響

MacBook Pro M5の価格について、現時点では公式な発表はない。しかし、いくつかの要因から価格上昇の可能性が指摘されている。その一つが、米国政府による対中関税の影響である。現在、Appleの製品の多くは中国で製造されているが、10%の関税が課されることで、米国市場における販売価格が上昇する可能性がある。

これが他の市場にも波及すれば、世界的に価格の上昇を招くことも考えられる。また、TSMCのN3Pプロセスは最新の製造技術を要するため、製造コストが上昇することが予想される。特に、M5チップの性能向上に伴い、プロセッサの製造難易度が上がれば、コスト増加分が販売価格に転嫁される可能性がある。

さらに、米国のアリゾナ州で一部のチップ生産を開始する計画も、製造コストの上昇要因となる。アメリカ国内での製造は輸送コストを抑えるメリットがあるものの、中国工場に比べて人件費が高いため、価格上昇の一因となる可能性がある。

価格上昇が現実となった場合、消費者の購買意欲にどのような影響を与えるかが注目される。特にM4チップ搭載のMacBook Proが依然として市場に残る場合、価格と性能のバランスを考慮し、あえてM4モデルを選ぶユーザーが増える可能性もある。

また、Windows PCとの競争も激化しており、特にAIを活用した高性能ノートPCの台頭によって、Appleが価格戦略をどのように調整するかが今後の焦点となるだろう。今後、Appleが価格をどの程度維持できるのか、あるいは市場の反応を見ながら段階的な値上げを行うのかは不透明だ。

M5チップの登場により性能が向上することは確実だが、価格がどこまで高騰するのかによって、ユーザーの選択肢も大きく変わることになるだろう。

Source:Tom’s Guide