Nvidiaの最新GPU「GeForce RTX 5070 Ti」の初期ベンチマーク結果が明らかになった。期待された性能向上は限定的で、RTX 4070 Tiを超えることができず、前世代のRTX 4070との差もわずかにとどまっている。PassMarkのスコアでは、RTX 5070 Tiは平均30,728ポイントを記録したが、RTX 4070 Tiには約3%の差で劣り、GPUコンピュート性能でも明確な差が見られる。

こうした結果は、アーキテクチャの特性やドライバーの最適化不足が影響している可能性がある。特にサンプル数が限られている現段階では、今後のアップデートにより性能が改善する余地もある。ただし、GDDR7メモリや新世代のRTコアを搭載したにもかかわらず、GPUコンピュートテストでは前世代のRTX 4070 Tiに大幅に劣る結果が出ており、この点は注視する必要がある。

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RTX 5070 Tiの性能評価に揺らぎ PassMarkベンチマークが示す不安定なスコア

RTX 5070 Tiの初期ベンチマーク結果は、世代間の性能向上が期待されたほどではなかった。PassMarkの平均スコアは30,728ポイントを記録したものの、RTX 4070 Tiには約3%及ばず、RTX 4070との差もわずかであった。特に注目すべきは、PassMarkのスコアが一貫性に欠けている点である。

これはBlackwellアーキテクチャのGPU全体に見られる傾向であり、RTX 5090もRTX 4090に劣る場面があったことから、RTX 50シリーズ全体の特性として捉えるべきかもしれない。PassMarkにおけるスコアのばらつきは、サンプル数の少なさが影響している可能性がある。RTX 5070 Tiは現在19件のサンプルしかなく、一方でRTX 4070 Tiは数千件のデータを持つため、統計的な安定性が異なる。

今後、ドライバーの最適化やファームウェアのアップデートによってスコアが改善される余地はあるが、現段階での評価は慎重であるべきだろう。特に、最新のRTコアやTensorコアを搭載しながらも、RTX 4070 Tiを超えるパフォーマンスを示せていない点は、今後のテストでさらに検証が必要である。

また、RTX 5070 Tiはレンダリング性能においても期待値を超えていない。ROP(レンダリング出力ユニット)の数が前世代と同程度であることが影響している可能性があり、レンダリング速度の向上が限定的であることが指摘されている。

これは、高解像度ゲーミングやレイトレーシングを多用する用途では顕著に表れる可能性がある。こうした点を踏まえると、RTX 5070 Tiの市場評価は今後の最適化次第で大きく変動する可能性がある。

GPUコンピュートテストで苦戦 RTX 4070 Tiとの差は約16%

RTX 5070 Tiは、一般的なグラフィックス処理ではRTX 4070をわずかに上回るものの、GPUコンピュート性能ではRTX 4070 Tiに大きく劣る結果が出ている。PassMarkのGPUコンピュートスコアでは、RTX 5070 Tiは15,806 Ops/secを記録し、対するRTX 4070 Tiは18,807 Ops/secと、約16%の差をつけている。

この結果は、計算負荷の高いタスクにおいてRTX 5070 Tiのアーキテクチャ的な課題が浮き彫りになったことを示唆している。GPUコンピュート性能の低下は、AI処理や科学計算、レンダリングワークロードを重視するユーザーにとっては看過できない問題である。

特に、Blackwellアーキテクチャの大きな改良点である新世代のTensorコアが、この結果にどのように影響しているのかは今後の詳細な分析が必要だ。理論上は計算効率が向上しているはずだが、実際のベンチマーク結果がそれを裏付けていないのは不可解である。

一方で、この結果が最終的な評価とは限らない。RTX 50シリーズのドライバーがまだ完全に最適化されていない可能性があり、ファームウェアの更新によってコンピュート性能が改善される可能性もある。過去の世代でも、発売当初とその後のアップデートによって性能が変動するケースは珍しくなかった。

したがって、RTX 5070 Tiのコンピュート性能が今後どのように変化するかは、追加のベンチマーク結果を待つ必要があるだろう。また、RTX 5070 Tiのコンピュート性能がRTX 4070とほぼ同等である点も注目に値する。前世代と比較して目に見える進化が見られないことは、上位モデルとの差別化が難しくなる要因となりうる。

このままの性能推移であれば、価格や消費電力を考慮してRTX 4070 Tiや4070 Ti Superを選択する方が合理的な場合もある。今後、実際のワークロードにおける検証が進めば、この傾向がより明確になるかもしれない。

RTX 5070 Tiの市場評価と今後の展望 最適化が鍵となるか

RTX 5070 Tiの初期ベンチマーク結果が示すのは、前世代との微妙な性能差と、最適化不足による不安定な評価である。RTX 4070 Tiを超えるパフォーマンスを発揮できず、GPUコンピュートスコアではRTX 4070 Tiに大きく劣る結果となったことから、単純な世代交代というよりも、用途に応じた慎重な選択が求められるGPUとなる可能性がある。

市場評価の鍵を握るのは、今後のドライバー最適化とファームウェアの更新である。RTX 50シリーズの初期段階では、RTX 5090ですらRTX 4090に劣る場面が見られたため、今回のRTX 5070 Tiの結果も一時的なものである可能性がある。特に、AI処理やレイトレーシングの最適化が進めば、理論上の性能差がより明確になるだろう。

最適化が進めば、RTX 4070 Tiとの差が縮まり、RTX 5070 Tiが本来のポテンシャルを発揮する可能性がある。一方で、価格や消費電力といった要素も市場評価を左右する重要な要因となる。RTX 5070 Tiが価格面でRTX 4070 TiやRTX 4070と明確な差を示せなければ、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとっての選択肢としては難しくなるだろう。

特に、RTX 4070 Ti Superが存在する以上、RTX 5070 Tiが市場でどのようなポジションを確立するのかは不透明である。総じて、RTX 5070 Tiは今後のアップデート次第で大きく評価が変わる可能性を秘めている。現時点ではRTX 4070 Tiを超える明確な優位性を示せていないが、Blackwellアーキテクチャの真価が発揮されるにはまだ時間が必要かもしれない。

最適化が進めば、競争力のあるミッドレンジGPUとしての地位を確立する可能性は十分に残されている。

Source:PassMark (1)(2)(3)(4)(5)、NotebookCheck