半導体大手Nvidia(NVDA)の株価は、中国のAIスタートアップ「DeepSeek」による競争激化への懸念から一時的に急落したものの、再び回復基調にある。こうした中、スイスの大手金融機関UBSは、Nvidiaの2024年第4四半期決算が市場予想を上回る可能性が高いとの見解を示し、同社の株式に対する「買い」評価を維持した。
UBSのアナリスト、ティモシー・アーカリ氏は、データセンター関連の売上が市場予想を超える水準となると予測しており、新型Blackwellコンピュートボードの生産拡大が業績をさらに押し上げる要因になると指摘する。Nvidiaは過去8四半期連続で市場予想を上回る決算を発表しており、強固な財務基盤と圧倒的なAI市場での優位性を背景に、今後も成長を続ける見通しだ。
また、同社の時価総額は3.3兆ドルに達し、AI市場での独占的地位を確立している。Amazon、Microsoft、Googleなどの大手テクノロジー企業がAIインフラへの投資を拡大する中、NvidiaのGPU需要は今後も拡大すると考えられる。
Nvidiaの市場支配力が示す成長の持続性

Nvidiaは、AI向け半導体市場において圧倒的なシェアを誇る。特にデータセンター向けGPUは同社の成長を牽引する主要製品となっており、その販売が業績の安定した拡大を支えている。2025年度第1四半期の売上予測も42.5〜43億ドルと堅調であり、特にデータセンター関連は38.5〜39億ドルに達すると見込まれている。これはAI市場の需要が依然として高まっていることを示しており、企業のAIインフラ投資が加速している証拠でもある。
この成長の要因として、新型Blackwellコンピュートボードの導入が挙げられる。特にB200を搭載した空冷式HGXプラットフォームの需要が高まっており、データセンター事業の売上を押し上げる要因となっている。電力消費の最適化が課題とされていたが、多くの企業はこれを解決する前にでも導入を急いでおり、AI向けGPU市場でのNvidiaの優位性は依然揺るがない状況にある。
また、Nvidiaの時価総額は3.3兆ドルに達しており、これは同業他社を大きく引き離す規模である。過去10年間にわたり売上高が年平均37.84%、利益が年平均59.72%の成長率で推移している点も、同社の競争力の強さを示している。今後もAI市場の発展が続く限り、Nvidiaの成長は持続的なものとなる可能性が高い。
AI市場の競争環境とNvidiaの優位性
Nvidiaが圧倒的な市場シェアを維持する中、競争環境も激化している。特に中国のDeepSeekは低コストのAIモデルを発表し、市場への影響が懸念された。実際に、Nvidiaの株価はこのニュースを受けて一時的に急落し、時価総額が5890億ドルも減少する事態となった。しかし、Nvidiaの技術力と市場での支配力は依然として強固であり、その後株価は回復基調にある。
Nvidiaの強みは、単に高性能な半導体を提供するだけでなく、ソフトウェアとの統合が進んでいる点にある。CUDAプラットフォームの普及により、AI開発者はNvidiaのハードウェアを選択する利点が大きく、競合他社が容易に代替品を提供することは難しい状況にある。さらに、MicrosoftやGoogleといった大手テクノロジー企業がNvidiaのGPUを採用しており、クラウドサービスとの連携も進んでいる。
市場全体としてもAI向け投資は拡大傾向にあり、2025年までに3200億ドルがAI関連技術に投じられる見込みである。これはNvidiaのチップ需要をさらに押し上げる要因となり、データセンターを中心とした事業成長の継続を後押しする形となるだろう。
今後の成長を支える財務基盤の強さ
Nvidiaの成長を支える大きな要因の一つに、盤石な財務基盤がある。最新の四半期決算では、営業キャッシュフローが前年同期の73億ドルから176億ドルへと大幅に増加しており、短期負債もゼロという状況だ。これにより、同社は新たな技術開発や事業拡大に向けた積極的な投資を継続できる立場にある。
また、同社の収益性は業界内でも突出している。売上成長率は93.64%、利益成長率は189.37%と予測されており、これは同業界の平均である6.38%および11.19%を大きく上回る水準である。こうした高成長を維持できる背景には、AI向け市場の需要増加に加え、Nvidiaの高付加価値製品戦略がある。
さらに、アナリストの評価も総じて強気である。43人のアナリストのうち37人が「強い買い」と評価しており、目標株価の平均は176.95ドルとされている。これは現在の株価水準から約30%の上昇余地があることを意味し、投資家の期待が依然として高いことを示している。Nvidiaが今後も持続的な成長を遂げるかどうかは、AI市場の進展と技術革新のスピードに大きく依存するが、現状の財務体質を見る限り、同社の競争優位は当面揺るがないと考えられる。
Source: Barchart.com