Samsungが7月に開催予定のUnpackedイベントで、同社初となる「マルチフォールド」スマートフォンを発表する可能性が浮上している。報道によれば、この新型デバイスは「トリプルフォールド」構造を採用し、従来の折りたたみスマートフォンとは一線を画す設計となる。生産台数は約20万台に限定され、市場投入も一部地域に限られる見込みだ。
Samsungは同イベントで「Galaxy Z Fold 7」や「Galaxy Z Flip 7」も発表するとされるが、大きな仕様変更はないとみられる。一方、新たな「マルチフォールド」モデルは、折りたたみスマホ市場に新たな競争をもたらす可能性がある。その詳細と市場への影響を探る。
Samsungの「トリプルフォールド」スマートフォンは折りたたみ市場をどう変えるのか

Samsungは2024年7月のUnpackedイベントで、同社初となる「マルチフォールド」スマートフォンを発表する可能性が高い。この新型モデルは、従来の二つ折りではなく、三つ折りのディスプレイ構造を持ち、より大画面の利用を可能にする。
折りたたみスマートフォン市場は、ここ数年でHuaweiやOppoなどの競争が激化しているが、Samsungの新たな試みは市場の流れを変える契機となるかもしれない。現行の折りたたみスマートフォンは、ディスプレイの折り目や耐久性、重量の課題を抱えている。
特に、HuaweiのMate Xシリーズのような外折り型は、ディスプレイが常に外部に露出するため、傷や破損のリスクが高い。一方、Samsungの「トリプルフォールド」モデルは、ディスプレイを内側に折りたたむことで保護性を向上させると考えられる。この構造によって、従来の「Z Fold」シリーズよりも大画面ながら、コンパクトな持ち運びが可能となるだろう。
また、Samsungは既存の折りたたみスマートフォンの設計を進化させながらも、量産とコストのバランスに苦心している。今回の新型モデルが限定生産となる背景には、折りたたみ機構の精度向上や生産コストの問題があると考えられる。今後、この技術が主流化するかどうかは、市場の受け入れと技術の成熟度によるだろう。
限定生産の「Galaxy G Fold」 価格とターゲット市場はどうなるのか
Samsungの「Galaxy G Fold」とされる新型マルチフォールドスマートフォンは、初回生産台数が20万台に限定される見込みである。これは、大量生産が難しい技術的要因と、市場の反応を見極めるための試験的な導入であると考えられる。加えて、このデバイスの販売地域も限定的になる可能性があり、まずはアジア圏を中心に展開される可能性が高い。
折りたたみスマートフォンのコストは依然として高く、特に三つ折りディスプレイを採用するモデルは、従来の「Galaxy Z Fold」シリーズよりもさらに高価格帯になると予測される。現在、Samsungの「Galaxy Z Fold 5」は約25万円前後で販売されているが、今回の新型モデルは30万円を超える可能性がある。
これは、Huaweiの「Mate X」シリーズの価格帯と同等か、それ以上になることを意味する。ターゲット層としては、ビジネス用途での活用を想定したプロフェッショナル層や、最新技術に敏感なアーリーアダプター層が中心となるだろう。大画面での作業やマルチタスクが可能な点を活かし、企業向けのデバイスとしての展開も考えられる。
Samsungが今回の限定生産を成功させた場合、今後のモデルでは価格を抑えつつ、より幅広い市場向けに供給される可能性もある。
Samsungの「トリプルフォールド」はスマートフォンとタブレットの境界を曖昧にするか
今回の新型モデルの最大の特徴は、約10インチ近いディスプレイを持つことである。従来の折りたたみスマートフォンは、開いた状態でも7〜8インチ程度のサイズが一般的であり、それはスマートフォンとしての使いやすさを考慮した結果でもある。しかし、「Galaxy G Fold」は9.96インチのメインディスプレイを採用するとされ、これは小型タブレットとほぼ同じサイズ感となる。
この仕様は、スマートフォンとタブレットの境界をさらに曖昧にする可能性がある。すでにGalaxy Z Foldシリーズは「スマホとタブレットの中間」としての立ち位置を確立していたが、今回のモデルは「タブレット寄りのスマートフォン」として、より一層その傾向を強めることになる。特に、コンテンツ消費やモバイルワークの用途において、既存のタブレット市場にも影響を及ぼす可能性がある。
しかし、現時点ではSペンの対応が見送られる見込みであり、これがタブレットユーザーの移行を妨げる要因となるかもしれない。Samsungがこの新型モデルをどのような用途向けに打ち出すのか、その戦略が市場の反応を左右することになるだろう。
Source:PhoneArena