NVIDIA(NVDA)は2月26日に2025会計年度第4四半期の決算を発表する予定であり、ウォール街のアナリストは引き続き強気の姿勢を崩していない。AIチップの需要増を背景に、四半期売上高は前年同期比73%増の383億2000万ドル、純利益は210億8000万ドルに達すると見込まれている。

市場関係者の関心はNVIDIAのデータセンター事業や「Blackwell」アーキテクチャを搭載した新製品ラインアップに向けられている。UBSは新ラインの売上予測を90億ドルに引き上げ、KeyBancは目標株価を190ドルに上方修正した。一方で、供給制約や競争激化を懸念する声もあり、慎重な見方も根強い。

NVIDIAのCFOは、AIの進化が今後10年以上続く成長機会になるとし、クラウド事業やエンタープライズ向け市場の拡大を強調する。決算発表後の市場の反応が、今後の株価の方向性を左右することは間違いない。

AIチップ市場の拡大とNVIDIAの競争優位性

NVIDIAの成長の原動力は、AIチップ市場の急拡大にある。特にデータセンター向けのGPU需要が急増しており、クラウドプロバイダーや大手テクノロジー企業が次世代AIモデルの開発に多額の投資を行っている。NVIDIAのCFOであるコレット・クレス氏は、AIへの移行が今後10年以上続くと述べ、企業のIT予算に占めるAI関連支出の割合が大幅に拡大すると見ている。この傾向が続けば、NVIDIAのデータセンター事業の成長が加速し、売上の主要な柱となる可能性が高い。

また、NVIDIAは単なる半導体メーカーではなく、ソフトウェアとハードウェアを統合したフルスタックソリューションを提供する点が競争優位性を生み出している。同社のCUDAプラットフォームはAI開発において標準的な存在となっており、これが競合他社との差別化要因となっている。一方で、クラウド企業は独自のカスタムAIチップを開発しており、NVIDIAの市場シェアを脅かす可能性もある。この流れの中で、NVIDIAがどのように優位性を維持し、競争環境に適応するかが今後の焦点となるだろう。

新製品ラインアップがもたらす成長機会

NVIDIAは、AI分野にとどまらず、ゲーム、自動車、ロボティクスといった複数の分野で新製品を発表している。2025年に発表された「RTX 50シリーズ」は、Blackwellアーキテクチャを採用し、従来のGPUと比較して2倍の性能を実現するという。これにより、ゲーミング市場におけるNVIDIAの影響力はさらに拡大すると見られる。加えて、開発者向けの小型AIスーパーコンピュータ「Project Digits」も注目されており、5月に予定されている発売が市場に与える影響が期待される。

さらに、同社の自動車事業はトヨタとの提携を通じて大きな進展を遂げている。NVIDIAの新プロセッサ「Thor」は従来の20倍の処理能力を誇り、自動運転技術の発展に寄与するとされている。このように、NVIDIAは多角的な成長戦略を展開し、市場の変化に対応している。今後、AI技術の進化に伴い、これらの新製品がどの程度の成長をもたらすのかが注目される。

株価評価と投資家の期待

市場ではNVIDIAの決算発表に対する期待が高まっており、アナリストの目標株価も引き上げられている。KeyBancのジョン・ヴィンは目標株価を180ドルから190ドルに引き上げ、UBSも「Blackwell」ラインの売上予測を90億ドルに倍増させた。アナリスト43人のうち、「強い買い」推奨を出しているのは37人に上り、投資家の強気な姿勢がうかがえる。一方で、NVIDIAの株価は過去6か月間、市場全体のベンチマークを下回っており、供給能力の問題や競争環境の変化に対する懸念も残っている。

NVIDIAの現在の株価収益率(PER)は30.2倍とされ、将来的な成長を考慮すると依然として適正水準にあると見られる。しかし、半導体市場はサイクル性が強く、短期的な調整局面に入る可能性も否定できない。決算発表後の市場の反応次第では、株価が一段と上昇するか、あるいは利益確定の売りが出る展開となるかが注視される。投資家は、決算内容だけでなく、今後の供給状況や競争環境を見極める必要があるだろう。

Source: Barchart