テスラ株が今年に入り約17%下落している。投資家の間では、CEOイーロン・マスク氏がEV事業よりも米国政府のコスト削減部門「DOGE」への関与を深めていることへの懸念が高まっている。これにより、同社の経営に影響が及ぶのではないかとの見方が広がる。

しかし、ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は、テスラの中長期的な成長に期待を寄せ、目標株価を550ドルに据え置いた。特に、自動運転技術の進展やロボタクシー事業、そして改良版「モデルY」の発売が株価の上昇要因になると分析している。

加えて、ヒューマノイドロボット「オプティマス」の進捗報告や新型量産車の発表も控えており、これらの要素が市場の不安を払拭する可能性がある。マスク氏のDOGE関与や政治的動向が短期的なリスクとして認識される一方、テスラの技術革新が長期的な成長ドライバーとなるかが焦点となる。

テスラ株の下落と市場の懸念 マスクのDOGE関与が影響か

テスラの株価は2025年に入り約17%下落し、市場ではCEOイーロン・マスク氏の動向が注目されている。その背景には、同氏がEVメーカーとしての事業運営よりも米国政府のコスト削減プログラム「DOGE」に多くの時間を費やしているとの見方がある。これにより、テスラの成長戦略や経営の優先順位が揺らいでいるのではないかとの懸念が高まっている。

ウェドブッシュ証券のレポートでは、マスク氏の政治的な関与が特定の市場におけるテスラのブランドイメージに影響を与えている可能性を指摘する。特に欧州市場では、マスク氏の行動を警戒する動きがあり、需要の減退につながるリスクがあると見られる。ただし、この影響は限定的であり、テスラの製品力が引き続き市場の関心を引きつけると分析されている。

一方で、マスク氏の多方面にわたる事業活動は、テスラにとって短期的なリスクであるものの、長期的には競争優位を維持する要因ともなり得る。自動運転技術やロボティクスへの投資は、他の自動車メーカーとの差別化につながる可能性があり、株価の反発を促す要因となるかが注目される。

目標株価550ドル維持 ウェドブッシュ証券の強気姿勢

市場の懸念が強まる中、ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・アイブス氏はテスラ株に対して引き続き強気の姿勢を貫いている。同氏は、テスラの自動運転技術やロボティクス分野での成長を評価し、目標株価を550ドルに据え置いた。これは、Visible Alphaが追跡するアナリストの中で最も高い目標株価である。

特に、テスラの今後の成長要因として、自動運転技術の進展やロボタクシー事業が挙げられる。2025年6月には、テキサス州オースティンでロボタクシーサービスの開始が予定されており、これが市場の注目を集めている。また、テスラは自動運転システム「FSD(完全自動運転)」の改良を進めており、これが新たな収益源となる可能性も指摘されている。

しかし、テスラの成長を楽観視する見方には慎重な意見もある。完全自動運転の実用化には規制の壁があり、各国の法整備が進まなければ事業の拡大は難しい。また、競争環境も激化しており、既存の自動車メーカーや新興EV企業との技術競争は一層激しさを増している。ウェドブッシュの強気予測が実現するかは、これらの課題を克服できるかにかかっている。

新型モデルとロボタクシーが株価回復の鍵に

テスラが進める新型モデルの投入とロボタクシー事業の拡大は、同社の株価を押し上げる重要な要因となる可能性がある。直近では、改良版「モデルY(開発コード:ジュニパー)」の発売が予定されており、これが短期的な株価上昇の契機となると見られる。

また、テスラはヒューマノイドロボット「オプティマス」の開発を進めており、今後の進捗報告が市場に与える影響も注目される。自動車以外の分野での技術革新は、テスラの事業ポートフォリオを拡大し、長期的な成長の原動力となる可能性がある。

ただし、これらの計画が市場の期待に応える形で進展するかどうかは未知数である。特にロボタクシー事業は、技術的なハードルだけでなく、規制やインフラの整備も必要となる。市場はテスラの技術力を評価する一方で、事業の実現性や収益化のスピードを冷静に見極めようとしている。テスラがこれらの課題を乗り越えられるかが、今後の株価動向を左右する鍵となる。

Source: Investopedia