MicrosoftはWindows 11の最新プレビュー版をInsider向けにリリースした。今回のアップデートでは、OpenSSHの不具合修正、Recall AI機能の再開、バッテリーアイコンの視認性向上といった重要な変更が加えられている。

特に、タスクバーのバッテリーアイコンが色で残量を示す新機能は、利便性向上の観点から注目に値する。また、物議を醸したRecall AI機能が復活するが、これまでのスナップショットは削除される点には注意が必要だ。

さらに、Snipping Toolの録画機能にトリミング機能が追加され、動画編集の自由度が向上した。Copilot+ PC向けには、クラウド上のファイルを検索する新機能も実装され、Windows 11の利便性が着実に強化されている。

OpenSSHの不具合が解消 Windowsのリモート接続環境が安定化へ

Windows 11の最新プレビュー版では、OpenSSHサービスに関する問題が修正された。これまでのビルドでは、SSHサーバーが正しく起動せず、手動で「sshd.exe」を実行しなければならない状況が続いていた。この問題により、リモート環境からの接続が不安定になり、企業や開発者にとって大きな負担となっていたが、今回の修正により正常な動作が保証される見込みである。

OpenSSHは、Windows環境においてLinuxサーバーやクラウドサービスへのリモートアクセスを可能にする重要なコンポーネントである。特に、開発者やシステム管理者にとっては、セキュアなリモート操作の要となるため、この修正は実務的な影響が大きい。

従来の不具合は、詳細なログが記録されない点も問題視されていたが、今回のアップデートではこれらの問題が解決され、管理の効率が向上すると考えられる。一方で、OpenSSHの修正により、企業のセキュリティポリシーの見直しも求められる可能性がある。

新しいバージョンでは、従来のバグを悪用した回避策が不要となるため、運用ルールの変更やアクセス管理の強化が求められる場面もあるだろう。Microsoftが今後もこのような不具合の迅速な修正を継続することで、Windows環境の信頼性がさらに向上することが期待される。

Recall AI機能の再開とプライバシー問題 ユーザーの懸念は解消されるか

Windows 11のプレビュー版では、「Recall AI」機能が再び有効化された。この機能は、ユーザーの画面操作を定期的にキャプチャし、後から検索できるようにするものだ。しかし、過去のビルドではプライバシーの観点から批判を受け、一時的に停止されていた。

今回の再開に伴い、過去に保存されたスナップショットはすべて削除される仕様となっており、新たに保存が開始される仕組みになっている。Recall AIの復活は、利便性の向上とプライバシーのバランスを再考する契機となる。例えば、業務効率の向上を目的に導入する場合、作業履歴を可視化することで生産性を高める効果が期待できる。

しかし、個人利用では、機密情報や個人的なデータが記録されるリスクがあり、管理が求められる。企業環境では、情報管理ポリシーと照らし合わせ、Recall AIの導入可否を慎重に検討する必要がある。Microsoftはこの機能の改善点について詳細を明かしていないが、「ユーザーエクスペリエンスの向上」を強調している。

今後の正式リリースまでに、どのようなプライバシー保護策が講じられるのかが注目される。Recall AIの利用には明確な設定オプションや制御機能が必要であり、ユーザーが安心して活用できる環境整備が不可欠である。

Copilot+ PCの新機能 クラウド検索の強化で業務効率が向上

今回のWindows 11プレビュー版では、Copilot+ PC向けにクラウド上のファイル検索機能が追加された。この新機能により、ローカルストレージだけでなく、OneDriveや他のクラウドサービス内に保存されたファイルも迅速に検索できるようになった。特に、画像ファイルについては、ファイル名ではなく内容の説明で検索できるため、視覚的なデータ管理の効率が向上する。

この機能は、MicrosoftのAI技術を活用したものであり、テキスト検索だけでなく、音声認識や画像解析といった高度な検索手法が統合されていると考えられる。これにより、大量のデータを扱う業務環境において、必要な情報に素早くアクセスできるようになり、作業の生産性が向上するだろう。

特に、リモートワークが普及する中で、複数のデバイス間でデータを共有・管理する場面が増えており、クラウド検索の強化は実用性の高い改良といえる。しかし、クラウド検索機能の強化は、セキュリティ面での課題も伴う。企業や組織においては、アクセス権限の管理やデータ保護の強化が求められる可能性がある。

また、AIを活用した検索アルゴリズムがどの程度の精度で動作するのか、実際の利用シーンでの検証が必要だ。Copilot+ PCの導入による業務効率の向上は期待されるが、同時に、データ管理の最適化やセキュリティ対策の強化も求められるだろう。

Source:heise online