AMDの次世代プロセッサー「Ryzen 9 9950X3D」のベンチマーク結果がリークされ、その性能が明らかになった。リークされたデータによれば、Intelの最新フラッグシップモデルと同等のマルチコア性能を持ちつつ、ゲーミング用途ではAMD独自のX3D技術による優位性が確認された。
Ryzen 9 9950X3Dは、16コア32スレッドの高性能設計に加え、L3キャッシュを大幅に増強。これにより、CPU負荷の高いゲームにおいて、フレームレートの向上が期待される。特にCinebench R23のベンチマークでは、マルチコア性能で42,000ポイントを超え、同クラスのIntel製CPUと拮抗する結果を示した。
一方、シングルコア性能ではIntelが若干上回るものの、全体的なゲーミングパフォーマンスではRyzen 9 9950X3Dが優位に立つ可能性が高い。AMDは本プロセッサーの正式な発売日を発表していないが、3月12日に市場投入される可能性が高いとされている。今後の公式レビューを待つことで、より詳細な性能評価が明らかになるだろう。
Ryzen 9 9950X3DのX3D技術がもたらす実用性 ゲームに最適な大容量キャッシュの影響

Ryzen 9 9950X3Dの最大の特徴は、AMD独自の3D V-Cache技術による大容量L3キャッシュの搭載である。このプロセッサーは128MBのL3キャッシュを実装し、これは従来のRyzen 7 9800X3Dと比較して32MB増加している。これにより、特にCPU依存の高いゲームにおいて、フレームレートの向上が期待される。
L3キャッシュが拡張されることで、ゲーム内のデータ転送効率が向上し、CPUとメモリ間のボトルネックが軽減される。特にCounter-Strike 2やバトルロイヤル系タイトルでは、キャッシュヒット率の向上がフレームタイムの安定性に寄与し、ゲームプレイの快適性が向上することが予想される。競技性の高いタイトルほど、このキャッシュの影響は顕著に表れる。
一方で、すべてのゲームがこの恩恵を受けるわけではない。CPU負荷が比較的低く、GPU依存度の高いゲームでは、X3Dの効果は限定的となる可能性がある。それでも、AMDがこの技術を継続的に採用し、ゲーミング市場における差別化要因として推進している点は、競争の激化を示唆している。これにより、Intelが今後どのような対抗技術を打ち出すかが注目される。
Intelとの比較で見えるRyzen 9 9950X3Dの強みと課題 マルチコア性能は拮抗するも用途で差別化
リークされたCinebench R23のスコアをもとに比較すると、Ryzen 9 9950X3Dのマルチコア性能は42,413ポイントと、Intel Core Ultra 9 285Kの42,620ポイントにほぼ匹敵している。これは、両者が16コア32スレッドという同等のアーキテクチャを採用しているためと考えられる。一方、シングルコアスコアではIntelが若干のリードを維持しており、高クロック動作が寄与しているとみられる。
この結果から、一般的なクリエイティブ用途やマルチスレッド性能を重視するタスクでは、IntelとAMDの差は極めて小さいことが分かる。しかし、Ryzen 9 9950X3Dが優位に立つのは、ゲーミングやキャッシュ最適化が求められるワークロードにおいてである。
AMDの3D V-Cache技術は、一定のタスクにおいて顕著な性能向上をもたらすため、ゲーマーや特定の計算処理を多用するプロフェッショナルにとって有利な選択肢となる。しかし、Ryzen 9 9950X3Dにも課題はある。まず、X3DモデルのTDPは120Wとされており、Intelの最新モデルと比べて省電力性の面でやや不利である可能性がある。
また、オーバークロック耐性についてはX3Dモデルが制限される傾向があるため、エンスージアスト向けの自由度が低い点は検討すべき要素である。それでも、AMDが高性能ゲーミング市場において独自の地位を築いていることは明らかであり、今後の最適化とともにさらなる競争力を発揮する可能性が高い。
Source:PC Guide