AMDの次世代GPU「RX 9070 XT」が699ドルで登場する可能性が高い。NvidiaのRTX 5070 Tiよりも低価格となることで、ミドルレンジ市場における競争が激化する見通しだ。AMDのプレス資料では、「85%のゲーマーが700ドル未満のビデオカードを購入している」としており、新製品はこの市場に適した選択肢となることを示唆している。
また、RX 9070 XTは4Kゲーミングにも対応し、特にレイトレーシング性能が大幅に向上しているとされる。これにより、ミドルレンジ帯でありながら、従来よりも高品質なグラフィックス表現が期待される。価格については、著名なテックリーカーであるデビッド・ホアンも「699ドルが妥当な水準」との見解を示しているが、税金やオーバークロックモデルの影響で実際の市場価格は変動する可能性がある。
AMDは2月28日にYouTubeイベントを開催し、RX 9000シリーズの価格を正式発表する予定だ。しかし、NvidiaのRTX 5000シリーズが供給不足に陥っている中で、AMDが十分な数のGPUを供給できるかが注目される。価格競争に加え、安定供給が実現すれば、AMDはNvidiaの市場シェアを奪う可能性を秘めている。
AMDが狙うミドルレンジ市場 GPU戦略の転換点

AMDは、これまでハイエンドGPU市場でNvidiaに挑戦してきたが、RX 9070 XTでは明確にミドルレンジ市場に焦点を当てている。同社のプレス資料によると、現在のゲーマーの85%が700ドル未満のGPUを選択しており、この市場こそが最も大きな需要を持つと判断したようだ。この戦略の背景には、高性能GPUの価格高騰による購買層の縮小と、コストパフォーマンスを重視するユーザーの増加があると考えられる。
一方で、AMDがRTX 5090のようなハイエンドモデルを投入しないのは、NvidiaがBlackwell世代で独自技術を進化させる中で、競争の土俵を変えようとしている可能性がある。特に、DLSSのような高度なAI技術を活用したフレーム生成はNvidiaの強みであり、AMDが対抗するのは容易ではない。そのため、よりコスト競争力のあるミドルレンジ市場に注力し、性能と価格のバランスで優位に立とうとしているのだろう。
この戦略が成功すれば、RX 9070 XTを皮切りに、AMDはゲーマーの実需を的確に捉えた製品展開を進めることになる。ただし、NvidiaもRTX 5000シリーズを拡充して対抗する可能性があり、市場競争はより激化することが予想される。
レイトレーシング性能の進化 4Kゲーミングの現実味
RX 9070 XTは、従来のAMD製GPUと比較してレイトレーシング性能が大幅に向上していると報じられている。これまでのAMD製GPUは、NvidiaのRTXシリーズに比べてレイトレーシング処理で劣るとされてきたが、最新のアーキテクチャではその弱点が克服されつつある。4Kゲーミングにも適した性能を持つとされ、従来はハイエンドGPUでしか実現できなかったビジュアル体験が、より手の届く価格帯で可能になるかもしれない。
しかし、レイトレーシング性能の向上は、フレームレートとのトレードオフとなる場合が多い。NvidiaのDLSSに相当するFSR(FidelityFX Super Resolution)の最適化が鍵を握るが、FSRはDLSSに比べるとAI処理の面で遅れをとっているとの指摘もある。そのため、AMDがこの技術をどこまで進化させ、実際のゲーム環境でどの程度の性能を発揮できるのかが重要になる。
また、4Kゲーミングの需要は高まっているものの、それに見合うだけのGPUパワーが求められる。RX 9070 XTが本当にこの市場に適した製品となるかは、発売後の実際のベンチマーク結果次第と言える。価格と性能のバランスが鍵となり、特に競争相手となるRTX 5070 Tiとの比較が注目される。
価格競争の行方 RTX 5070 Tiとの対決はどうなるか
AMDがRX 9070 XTを699ドルで投入することで、RTX 5070 Tiとの価格競争が激化する可能性が高い。現在、RTX 5070 Tiの予想価格は749ドル以上とされており、仮にRX 9070 XTが649ドルで登場すれば、より手頃な選択肢となるだろう。価格差が50~100ドルにもなる場合、コストパフォーマンスを重視するゲーマーにとってはAMDの製品が魅力的に映るはずだ。
ただし、価格競争だけでなく、供給量も重要な要素となる。NvidiaのRTX 5000シリーズは供給不足が懸念されており、在庫状況が不安定な可能性がある。一方、AMDが十分な数のRX 9070 XTを市場に投入できるかは不透明であり、発売直後の在庫不足が起こる可能性も否定できない。過去の事例を考慮すると、需要に対して供給が追いつかない場合、市場価格はメーカーの想定よりも高騰する恐れがある。
また、オーバークロックモデルや特定のカスタムモデルでは、メーカーによって価格設定が変動するため、一部のRX 9070 XTはNvidiaのRTX 5070 Tiと同等、あるいはそれ以上の価格となる可能性もある。最終的には、性能と価格のバランスだけでなく、在庫状況や流通戦略が勝敗を分ける要因となるだろう。
Source:NotebookCheck