スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)は、2月25日までに未提出の財務報告書を提出できなければ、上場廃止のリスクに直面する可能性がある。この懸念が市場に影響を及ぼし、同社の株価は本日の取引で約10%の下落を記録した。
加えて、ゴールドマン・サックスのアナリスト、マイケル・ン氏が発表した慎重な分析レポートも市場の動揺を招いた。同氏はSMCIの目標株価を36ドルに引き上げたものの、現在の水準から20%の下落余地があると指摘している。同社の暫定決算が市場予想を下回ったこと、配当がなくボラティリティの中での投資妙味に欠けることが、その理由として挙げられている。
さらに、スーパー・マイクロは米司法省とSECの調査対象となっており、2023年には財務不正や輸出管理違反の疑惑も浮上した。競合のデル・テクノロジーズやHPエンタープライズが市場シェアを拡大する中、同社の将来は依然として不透明な状況が続く。一方で、CEOのチャールズ・リャン氏は2026年度の売上高が400億ドルに達すると強気の見通しを示しており、成長への期待も根強い。
SECの期限が迫る中で高まるスーパー・マイクロの財務リスク

スーパー・マイクロ・コンピュータ(SMCI)が直面する最大の課題は、2月25日までに未提出の財務報告書を提出しなければならないという点にある。財務報告書の未提出が続く場合、証券取引所から上場廃止のリスクを指摘される可能性がある。この期限は市場において重要な焦点となっており、投資家の不安心理を強める要因となっている。
特に、同社は米国司法省(DOJ)および証券取引委員会(SEC)の調査対象となっており、その詳細や進捗状況は明らかにされていないが、捜査の行方次第では今後の事業運営に影響を及ぼす可能性がある。このような状況下での財務報告書の提出遅延は、監査手続きの問題や過去の財務情報に何らかの問題があるのではないかとの憶測を生む要因にもなっている。
さらに、スーパー・マイクロは2023年8月にヒンデンブルク・リサーチから財務不正や輸出管理違反の疑いを指摘されており、これが同社の企業ガバナンスや財務の健全性に対する市場の疑念を深めている。仮に財務報告書の提出が間に合ったとしても、SECやDOJの調査結果次第では新たな課題が浮上する可能性があり、株価の安定には依然として不透明な要素が多い。
ゴールドマン・サックスの慎重な評価が示す市場の警戒感
スーパー・マイクロ株に対する市場の評価は大きく分かれているが、ゴールドマン・サックスのアナリスト、マイケル・ン氏による分析レポートは、慎重な見方を反映した内容となった。同氏は同社の目標株価を36ドルに引き上げたが、現在の株価水準から20%の下落余地があるとの指摘を行い、市場の警戒感を強める要因となった。
特に、同社の第2四半期の暫定決算が市場予想を下回った点は、株価に対する圧力を増大させた。具体的には、1株当たりの収益見通しは0.54ドルで、市場予想の0.65ドルを下回った。また、売上高は55億ドルと発表されたが、予測されていた59億ドルには届かず、成長鈍化への懸念が浮上した。
加えて、スーパー・マイクロは配当を支払っておらず、株価の下落リスクに対する防御策が乏しい点も指摘されている。市場のボラティリティが高まる中、安定的なキャッシュフローや収益性を示す指標が求められるが、同社はこれらの点で十分な評価を得られていない。ゴールドマン・サックスの慎重なスタンスは、こうしたリスクを反映したものといえる。
成長への期待と市場の懸念が交錯するスーパー・マイクロの今後
一方で、スーパー・マイクロの将来に対して楽観的な見方も存在する。同社のCEO、チャールズ・リャン氏は、2026年度の売上高が400億ドルに達する可能性があるとの強気の予測を示している。これはアナリストの平均予想である290億ドルを大きく上回る数字であり、企業としての成長戦略には一定の期待が寄せられている。
市場の一部では、現在の株価の下落が過剰反応ではないかとの声もある。実際、アナリストの平均目標株価は52.68ドルとされており、現在の水準から13%の上昇余地があると見込まれている。特に、AIやクラウドコンピューティングの成長に伴い、高性能サーバーの需要が拡大する中、スーパー・マイクロがこの分野で競争力を維持できるかが今後の焦点となる。
しかし、短期的には財務報告書の提出期限や政府機関の調査結果が株価を左右する要因となる可能性が高い。また、競合のデル・テクノロジーズやHPエンタープライズが市場シェアを拡大する中で、スーパー・マイクロがどのように対抗策を講じるかが問われることになる。成長への期待と市場の懸念が交錯する中、同社の今後の動向に注目が集まる。
Source:Barchart.com