AMDは、新たなプロモーションとして、特定のCPU、GPU、ラップトップの購入者向けに「Monster Hunter Wilds」を無料で提供するバンドルを発表した。これまでにも同様のキャンペーンは実施されてきたが、今回のバンドルでは対象製品の選定や市場価格の動向にいくつかの注意点がある。
対象となるのは、Ryzen 9やRyzen 7などのハイエンドCPUに加え、Radeon RX 7900 XTXなどのGPUが含まれるが、X3Dシリーズなど一部の人気モデルは除外されている。また、近年のGPU価格の高騰により、バンドルの実質的な価値が不透明になっている点も指摘されている。
特に、次世代GPUの発表が遅れている影響で、現行モデルの価格が上昇し、購入のタイミングが難しくなっているのが現状である。一方で、Ryzen AIを搭載したノートPCの購入者には比較的有利な内容となる可能性がある。ゲームの動作環境に関しても、要求スペックが高いため、適切なハードウェア選びが重要となる。
AMDの今回のバンドルは、単なる特典ではなく、市場全体の動向を見極めた上での慎重な判断が求められる内容となっている。
対象製品の選定と市場価格の影響

AMDの今回のバンドルキャンペーンは、対象製品の選定が大きな焦点となっている。Ryzen 9 9950XやRyzen 7 9700Xといった最新世代のCPUに加え、Radeon RX 7900 XTXなどのハイエンドGPUが含まれているが、特にゲーミング向けとして評価の高いX3Dシリーズは対象から外れている。この点は、ゲームパフォーマンスを重視するユーザーにとって大きな判断材料となるだろう。
一方で、GPU市場では価格の高騰が続いている。Radeon RX 7700 XTは2023年の発売時には$399であったが、現在は$531まで上昇しており、Radeon RX 7800 XTも$642と、年末のセール時よりも$200高くなっている。特にRX 7900シリーズは$1,000を超える価格帯となっており、バンドルによる付加価値があったとしても、純粋なコストパフォーマンスが最適とは言い難い状況にある。
さらに、バンドルの対象となるノートPCの選択肢については評価が分かれる。Ryzen AI 9 300シリーズやRyzen 8000シリーズを搭載したモデルは高性能であり、ゲームの要求スペックを満たす可能性は高い。ただし、ノートPCの場合は冷却性能や電力管理の影響を受けやすいため、デスクトップ向けCPU・GPUほどの安定した動作は期待しにくい。
次世代GPUの発表遅延と市場への影響
AMDとNVIDIAの次世代GPUの発表スケジュールが遅延していることも、今回のバンドルの評価を左右する要因となっている。通常であれば、次世代GPUの発表を前に現行モデルの価格は下落する傾向にあるが、今回は新製品の登場が延期されたことで、逆に価格が上昇する事態となっている。
NVIDIAのBlackwell RTX 50シリーズは、当初2023年10月~11月の発表が予想されていたが、データセンター向けB200チップの問題により延期された。一方で、AMDのRDNA4世代となるRX 9000シリーズも、当初1月発表と見られていたが、3月まで延期されたとされる。その結果、現行のRDNA3世代(RX 7000シリーズ)は市場在庫が減少し、価格が上昇する状況となっている。
特に、AMDのRadeon RX 9070 XTやRX 9070といった新型モデルが登場するという情報もあり、今後の価格動向が不透明な中で現行モデルを購入する判断は慎重に行う必要がある。バンドルの価値を考慮する場合でも、短期間の市場の変化を見極めることが重要となる。
「Monster Hunter Wilds」の要求スペックと実用性
「Monster Hunter Wilds」は、PCおよびコンソールの両方で高い処理能力を求めるタイトルとなっている。特に、安定した60FPSでのプレイを想定する場合、相応のハードウェアが必要になる。
推奨スペックとしてRyzen 5 3600XとRadeon RX 6700 XTが挙げられているが、この構成ではグラフィック設定を調整しなければスムーズなゲームプレイは難しいとされる。高品質設定でのプレイを目指す場合、RX 7800 XT以上のGPUが推奨される。
また、ノートPCでは統合型GPU(iGPU)を使用するモデルもあるが、iGPUでは満足のいくパフォーマンスが得られない可能性が高い。そのため、事前にSteam上で無料提供されている「Monster Hunter Wilds」のベンチマークツールを活用し、自身の環境での動作確認を行うことが推奨される。
AMDのバンドルによって「Monster Hunter Wilds」を無料で入手できることは魅力的ではあるが、対象製品の性能とゲームの要求スペックを慎重に照らし合わせることが必要である。特に、既存のPC環境ではスペック不足に陥る可能性があるため、追加のハードウェア投資を伴う選択肢も考慮すべきだろう。
Source:Tom’s Hardware