米住宅リフォーム大手ホーム・デポが発表した2024会計年度第4四半期決算では、売上が397億ドルに達し、市場予想を上回った。一方で、1株当たり利益(EPS)は3.02ドルと予想の3.04ドルを下回り、純利益も前年同期比で減少した。追加の第14週が売上に25億ドルの押し上げ効果をもたらしたが、既存店売上は全体で0.8%の伸びにとどまった。

通期では総売上が1,595億ドルと4.5%増加したものの、既存店売上は前年比1.8%の減少。高金利環境が大規模リフォーム需要に影を落とす中、小規模なDIY需要の回復が下支えした。デッカーCEOは、戦略的投資と従業員の貢献が企業の回復力につながったと評価しつつ、マクロ経済の不確実性を引き続き注視する考えを示した。決算発表後、同社株価はプレマーケットで0.72%上昇した。

売上増加の背景と第14週の影響

ホーム・デポの第4四半期の売上は前年同期比14.1%増の397億ドルに達し、市場予想を上回る結果となった。この増収には、通常より1週間長い第14週の影響が大きく、25億ドルの追加売上をもたらした。これを差し引いた場合、売上成長率は6.7%にとどまり、同社の本来の事業成長を評価する上で重要な視点となる。

また、米国内の既存店売上は1.3%増と堅調だったものの、全体では0.8%の増加にとどまり、成長は限定的であった。消費者の支出が慎重になっていることが背景にあると考えられる。特に、高金利環境が住宅ローンやリフォームローンのコストを押し上げ、大規模改修プロジェクトの抑制につながっていると指摘されている。

一方で、小規模なDIY需要は依然として根強く、住宅の補修や省エネ対策といった日常的な改修需要が売上を支えたとみられる。ホーム・デポの強みであるサプライチェーンの効率化や、在庫管理の最適化が、こうした市場環境の変化に対応する要因となった。第14週の影響を差し引いても、市場予想を上回る結果を残したことは、同社の基盤の強さを示している。

既存店売上の減少とリフォーム市場の変化

年間の既存店売上は前年比1.8%減となり、ホーム・デポにとって課題の一つとなった。米国市場でも同様に1.8%の減少が見られ、住宅リフォーム市場全体の変化が影響を及ぼしたと考えられる。特に、金利の上昇が住宅ローンの借り換えを難しくし、新築や大規模改修の需要が低下したことが要因として挙げられる。

しかしながら、DIY需要や小規模なリフォーム需要は底堅く、特に住宅の断熱材やエネルギー効率の改善を目的とした商品が安定した売上を記録したとみられる。これにより、一定の顧客層が引き続きホーム・デポを利用しており、同社の販売戦略が市場の変化に対応していることを示唆している。

加えて、プロ向けの売上にも変化が見られた。大規模な請負業者による案件の減少が影響を与えた一方で、小規模業者向けの販売は比較的安定していた。これは、個人事業主や中小規模のリフォーム業者が引き続き住宅改修に取り組んでいることを示している。市場全体としては成長の鈍化が見られるが、一部のセグメントは依然として堅調であり、同社が今後どのように市場の変化に適応していくかが注目される。

今後の成長戦略と市場環境の見通し

ホーム・デポのテッド・デッカーCEOは、決算発表の中で同社の長期的な成長戦略について言及した。戦略的な投資と従業員の貢献により、困難な市場環境の中でも回復力を示したことを強調しつつ、今後の経済環境を慎重に見極める姿勢を示した。

2024会計年度の売上は前年度比4.5%増の1,595億ドルとなったものの、既存店売上の減少や純利益の縮小が見られた。特に、マクロ経済の影響が今後も続く可能性がある中で、消費者の支出動向を注視する必要がある。高金利環境の継続により、大規模リフォームの需要が抑制される一方で、省エネリフォームや小規模修繕の需要が拡大する可能性がある。

また、同社の成長戦略の一環として、デジタル販売の強化や物流拠点の最適化が引き続き進められている。オンライン販売の拡大や、より迅速な商品提供体制の整備が、今後の業績にどのように寄与するかが注目される。市場環境の変化に柔軟に対応するため、ホーム・デポがどのような施策を打ち出すかが、今後の業績を左右する要素となるだろう。

Source: Wall Street Pit