ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2024年第4四半期に17件の投資を実施。その中でも特筆すべきは、酒類メーカー・コンステレーション・ブランズへの新規投資である。同社の株式を562万株、総額10億ドル超で取得し、バークシャーのポートフォリオにおいて19番目に位置付けられた。
一方で、ウルタ・ビューティ株はすべて売却。これにより、消費者関連株への関心は継続しつつも、選別投資の姿勢が強まっていることが浮き彫りとなった。特にコンステレーション・ブランズは、ビール事業を成長ドライバーとしながらも、ワイン・スピリッツ部門の低迷が課題となっている。
市場は同社の業績に対し慎重な見方を示しており、2025年第3四半期の決算発表後、株価は22%下落した。しかし、過去10年間で配当を年平均42%増加させるなど、安定したキャッシュフローを維持。現在の株価は割安とされ、今後の投資動向に注目が集まる。
バークシャーの投資戦略 消費者関連株への選別投資が鮮明に

バークシャー・ハサウェイは2024年第4四半期、17件の投資を行ったが、その中で消費者関連株に対するアプローチが際立っている。ウルタ・ビューティの全株売却とコンステレーション・ブランズへの新規投資という動きは、単なる銘柄入れ替えではなく、より確実性の高い成長市場への資本再配分を示唆するものである。
ウルタ・ビューティは、2024年第2四半期にバークシャーのポートフォリオに加わったが、第3四半期には大部分を売却し、最終的に第4四半期で完全撤退した。これは短期間での決断であり、バークシャーが同社の将来性に慎重な見方をしていたことを示唆する。対照的に、コンステレーション・ブランズには10億ドル超を投じ、全ポートフォリオの0.47%を占めるまでに至った。この投資先の選定は、消費者市場の成長性を見極めた結果といえる。
消費者関連株への投資は、安定したキャッシュフローとブランド力が重要な要素となる。バークシャーがコンステレーション・ブランズに目を向けた背景には、ビール市場の堅調な成長がある。同社のビール事業は2025年第3四半期に3%の販売増を記録し、業界の成長鈍化の中でもシェア拡大を実現した。一方で、ワイン・スピリッツ部門は苦戦しているが、高価格帯スピリッツの販売が好調であり、事業構造の変革による成長余地も残されている。このような選別投資の方針は、バークシャーの長期的な資本運用戦略を反映している。
コンステレーション・ブランズの課題と成長戦略 ビール市場の強みを活かせるか
コンステレーション・ブランズは、ビール事業の成長を武器に業績を支えているが、課題も多い。2025年第3四半期の決算では、市場予想を下回る結果となり、株価は決算発表後に22%下落した。これは、売上成長の鈍化や利益予想の引き下げに対する市場の反応である。
同社のビールブランド、Modelo Especialは3%の販売増を記録し、業界全体が低成長となる中で善戦している。しかし、ワイン・スピリッツ事業の低迷が全体の足を引っ張っており、特にワイン市場の競争激化が影響を与えている。対策として、コンステレーション・ブランズは高価格帯スピリッツに注力し、販売量を9%増加させるなどの成果を上げているものの、全体の業績改善には至っていない。
こうした状況を踏まえると、同社が今後もビール事業の成長を活かしながら、低迷するワイン部門の改革を進められるかが鍵となる。ビール市場の成長率は過去10年間で年5%以上を維持してきたが、2024年は3.7%にとどまった。今後4年間で年平均6.1%の成長が見込まれるものの、市場環境は依然として不透明である。そのため、コンステレーション・ブランズがビール市場のシェア拡大を続けつつ、ワイン・スピリッツの事業再編に成功できるかが、株価の回復と成長のカギを握ることになる。
バークシャーはコンステレーション・ブランズを買収する可能性があるのか
コンステレーション・ブランズは、バークシャー・ハサウェイにとって有望な投資対象であるが、買収の可能性は低いと考えられる。同社の時価総額は310億ドルに達しており、バークシャーの過去の買収戦略から見ても、単独での買収に動く可能性は限定的である。
しかし、もしバークシャーが買収を検討する場合、最大の焦点となるのは創業家のサンズ家の対応である。サンズ家は現在、11.8%の株式を保有し、経営にも強い影響力を持つ。このため、仮にバークシャーが買収に乗り出すとしても、サンズ家の承認なしに進めることは難しいだろう。その場合、バークシャーが筆頭株主としての影響力を強め、経営の方向性に関与する可能性もある。
また、コンステレーション・ブランズの配当政策はバークシャーにとって魅力的な要素の一つだ。同社は2015年に配当を開始して以来、年平均42%の増配を行っており、現在のバークシャーの持ち株でも年間2000万ドル以上の配当収入を生み出している。この点を考慮すれば、バークシャーは短期的な売却を狙うのではなく、長期的な株主としての関与を続ける可能性が高いとみられる。
市場では、バークシャーが2025年第1四半期にコンステレーション・ブランズ株を追加購入するかどうかに注目が集まっている。次回の投資動向が明らかになる4月中旬の報告により、バフェットがどのような判断を下すのかが見えてくるだろう。
Source: 24/7 Wall St.