米国の石油大手オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)は、四半期ごとの配当を9%引き上げ、1株当たり0.24ドルとした。しかし、同社の株価は過去52週間で約20%下落し、エネルギー市場の逆風に直面している。

現在、ブレント原油は1バレル72ドル、WTIは68ドルと低水準で推移し、EIAは2026年まで価格の下落を予測。さらに、トランプ前大統領の関税政策が石油供給網に影響を与える可能性があり、不透明感が増している。

一方、同社は36億ドルの営業キャッシュフローを生み出し、負債削減も進行中。バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイの追加投資や二酸化炭素回収技術(CCS)事業への展開も注目されるが、市場の見方は依然として「ホールド(保有)」が主流だ。


オキシデンタルの配当増額の背景と財務状況

オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)は四半期配当を9%増額し、1株当たり0.24ドルとした。この決定は、財務状況の安定を示す動きと受け止められるが、同時に株価が低迷する中での実施であることから、市場の評価は分かれている。

第4四半期の決算を見ると、同社の営業キャッシュフローは36億ドルに達し、フリーキャッシュフローは14億ドルとなった。この資金力を活かし、同社は45億ドルの負債を返済しており、配当増額の余地を確保している。しかし、資本支出は18億ドルを計上しており、今後の成長戦略と資金繰りのバランスが課題となる。

一方で、オキシデンタルの株価は過去1年間で約20%下落しており、年初来でも約2%の下落を記録している。エネルギー市場の不安定さや原油価格の低迷が影響しているとみられ、同社の財務健全性を評価する上で、配当増額だけでは十分な要素とは言えない。投資家にとっては、今後の業績回復や市場環境の変化がより重要なポイントとなる。

原油市場の不透明感と今後の見通し

現在、ブレント原油は1バレル72ドル、WTIは68ドルと低水準で推移している。米国エネルギー情報局(EIA)の見通しによれば、2025年のブレント原油の平均価格は74ドル、2026年には66ドルまで下がると予測されている。これは、石油生産企業にとって厳しい状況を意味し、オキシデンタルの収益成長にも影響を及ぼす可能性がある。

さらに、ドナルド・トランプ前大統領が提案する関税政策が石油市場に新たな不確実性をもたらしている。3月4日からカナダやメキシコに対する関税が適用される予定であり、オキシデンタルを含む石油企業のサプライチェーンに影響を及ぼすことが懸念される。特にメキシコとの貿易関係は米国の石油市場にとって重要であり、関税の影響がどの程度のものになるかが注目される。

このような状況の中、オキシデンタルの成長戦略としては、化石燃料事業に依存するのではなく、新たな分野への投資が鍵を握る。原油価格の変動リスクを抑えるためにも、同社が二酸化炭素回収技術(CCS)や代替エネルギー分野での事業を拡大できるかが、今後の評価を左右するだろう。

バフェットの投資判断と市場の評価

オキシデンタルには著名投資家のウォーレン・バフェット氏が注目している。彼の率いるバークシャー・ハサウェイは第4四半期に同社の株式を追加購入し、現在の保有割合は約30%に達している。バフェット氏はオキシデンタルの資産価値とキャッシュフローの強さを評価しているとみられ、この追加投資が市場に与える影響は大きい。

一方で、アナリストの見解は慎重である。現在のオキシデンタルの評価は「ホールド(中立)」が大勢を占めており、1カ月前の「適度な買い(Moderate Buy)」から評価がやや後退している。目標株価の平均は60.08ドルで、現在の株価から約25%の上昇余地があると見られるが、個別の目標値は45ドルから81ドルと幅広く、市場の見方にはばらつきがある。

また、格付け機関のフィッチ・レーティングスはオキシデンタルの見通しを「ポジティブ」に引き上げたが、ゴールドマン・サックスは2025年1月に目標株価を54ドルから45ドルに引き下げた。これは、原油価格の下落傾向が続く可能性があり、オキシデンタルの収益成長に逆風が吹くと判断されたためである。バフェット氏の長期的な視点が正しいのか、市場の懸念が現実化するのか、今後の動向が注視される。

Source:Barchart.com