米国の電子取引プラットフォーム大手ロビンフッド(HOOD)が、仮想通貨事業の拡大と堅調な業績を背景に、2025年の「トランプトレード」の有力候補として注目されている。2024年の仮想通貨取引収益は前年比700%増となり、総収益の3分の1を占めるまでに成長した。さらに、第4四半期決算では純収益が前年同期比115%増の10億1000万ドル、EPSは1.01ドルと市場予想を大幅に上回る結果を記録した。
ロビンフッドは、仮想通貨サービスの拡充を進める中、トークン化やステーブルコイン分野への参入も示唆している。また、米大統領選に関連した取引契約を40億件以上成立させるなど、新たな収益機会を模索している。トランプ氏が再び政権を握れば、仮想通貨に寛容な政策が追い風となる可能性があり、アナリストの目標株価は現在水準から32%の上昇余地があるとされている。
ロビンフッドの仮想通貨市場戦略 トークン化と成長ドライバー

ロビンフッド(HOOD)は、仮想通貨市場での競争力強化を図るべく、トークン化技術の導入や新規デジタル資産の取扱拡大を進めている。同社は、従来の株式やプライベート投資をブロックチェーン技術を用いてトークン化し、新たな投資機会を提供する方針を示している。これは、金融市場のデジタル化が進む中で、分散型金融(DeFi)分野との接点を強める動きといえる。
また、ロビンフッドは既存の仮想通貨取引の拡充にも積極的だ。ソラナ(SOL)、XRP(XRP)、カルダノ(ADA)といった取引量の多い通貨を新たに導入し、プラットフォームの魅力を向上させている。加えて、ステーブルコインの収益化に関心を示しており、CFOのジェイソン・ウォーニック氏は、今後の大きな成長分野になり得ると語っている。
これらの取り組みは、ロビンフッドがコインベース(COIN)などの競合と戦う上で重要な戦略となる。現時点では市場シェアで劣勢にあるが、同社は200億ドル規模のビットスタンプ買収を計画しており、これが実現すれば仮想通貨市場での影響力を一気に高める可能性がある。急成長するデジタル資産市場において、ロビンフッドがどのようにシェアを拡大していくかが注目される。
好調な決算と株価の動向 業績拡大が投資家心理を押し上げる
ロビンフッドの2024年第4四半期決算は、収益・利益の両面で市場予想を大幅に上回る結果となった。純収益は前年同期比115%増の10億1000万ドル、コア取引収益は200%増の6億7200万ドル、仮想通貨取引収益は700%増の3億5800万ドルと、各指標が急成長を遂げた。特に仮想通貨取引収益が全体の3分の1を占めたことは、同社の事業ポートフォリオが変化しつつあることを示している。
また、1株当たり利益(EPS)は0.03ドルから1.01ドルへと急増し、資金提供顧客数は前年比8%増の2520万人に達した。さらに、ユーザー1人当たりの平均収益は前年比102%増の164ドル、カストディ資産総額は前年比88%増の1930億ドルと、複数の指標で成長が確認されている。一方で、営業活動によるキャッシュフローは前年の9億6000万ドルの流入から14億ドルの流出へと転じたが、同社は負債ゼロの状態を維持し、手元資金は43億ドルと財務基盤は安定している。
この決算を受けて、アナリストの目標株価は63.59ドルとされ、現在の水準から約32%の上昇余地があるとされている。11人が「強い買い」、2人が「中程度の買い」と評価しており、市場は同社の成長力を高く評価している。投資家心理が改善すれば、株価のさらなる上昇につながる可能性がある。
トランプ政権と仮想通貨政策 ロビンフッドへの影響は
ロビンフッドのCFOであるウォーニック氏は、トランプ氏が再び政権を握った場合、仮想通貨に対する規制が緩和され、同社にとって追い風になる可能性があると見ている。トランプ氏は過去に仮想通貨に否定的な見解を示していたが、近年は政策の方向性を変え、デジタル資産をより受け入れる姿勢を見せている。これは、仮想通貨を利用した資金調達や、米国内でのブロックチェーン技術の発展を促す狙いがあると考えられる。
こうした環境変化の中で、ロビンフッドは仮想通貨関連の事業拡大を加速させる可能性がある。例えば、仮想通貨取引の手数料無料戦略を維持しつつ、ステーブルコインを活用した金融サービスの提供や、トークン化商品の導入を進めることで、より多くの投資家を引きつける狙いがあると考えられる。また、同社が米大統領選に関連する取引契約を40億件以上成立させたことは、政治と金融市場の関係性が深まりつつあることを示唆している。
ただし、政治情勢の変化は市場に予測不可能な影響を与えることが多く、仮想通貨に関する政策がどのように推移するかは不透明である。現時点ではロビンフッドが積極的に仮想通貨分野での地位向上を図っていることは明白だが、その成否は規制の方向性と市場の反応に大きく左右されるだろう。
Source:Barchart