Nvidiaが発表した2025会計年度第4四半期決算は、売上高393億ドルと前年同期比78%増を記録し、市場予想を大きく上回った。純利益は220億ドル、1株当たり利益も予測を超える好調な結果となった。
成長の原動力は新型AIチップ「Blackwell」の成功にあり、CEOのジェンスン・ファン氏は「驚異的な需要」と表現。データセンター事業も前年同期比93%増の356億ドルに達し、過去最高を更新した。一方、中国向け販売は規制の影響で低調だった。
市場では、中国のAI企業DeepSeekによる影響が懸念されたが、Nvidiaは依然として技術の主導権を握るとの見方が優勢。今後はBlackwellの本格展開が利益率の向上を後押しすると期待されている。
Nvidiaの決算が示すAI市場の拡大と企業の成長戦略

Nvidiaの2025会計年度第4四半期決算は、売上高が393億ドルと前年同期比78%増の過去最高を記録した。純利益は220億ドルに達し、1株当たり利益(EPS)は0.89ドルとなり、市場予想を上回る結果となった。さらに、2026会計年度第1四半期の売上予想は430億ドル(±2%)とされ、ウォール街の予測を超える見通しを示している。
この好調な業績を支えるのがAIチップ「Blackwell」の成功である。CEOのジェンスン・ファン氏は「Blackwell AIスーパーコンピュータの生産を成功裏に立ち上げ、初四半期で数十億ドル規模の売上を達成した」と強調した。AI推論型モデルの展開が進む中、企業の技術投資がNvidiaの業績を押し上げる構造となっている。
データセンター事業も大きく成長し、売上は前年同期比93%増の356億ドルと過去最高を更新した。特にクラウドプロバイダーやテクノロジー企業がNvidiaの製品を活用し、AIインフラの強化を図る動きが加速している。しかし、中国市場では輸出規制の影響を受け、データセンター向け販売が低迷した。
Blackwellの戦略的重要性と半導体市場の変化
NvidiaのBlackwellは、前世代のHopperチップを超える性能を持つ次世代AIチップとして市場の注目を集めている。企業のAI活用が高度化する中、Blackwellは推論型AIモデルの運用において圧倒的な計算能力を提供し、競争力の強化に貢献する存在となっている。
また、CFOのコレット・クレス氏は「Blackwellの本格展開が進むことで、当初70%台前半の粗利益率は年度後半に75%台まで回復する」との見通しを示した。これは、Nvidiaが価格設定と供給戦略を調整しながら収益性を最大化していることを意味する。
一方で、半導体市場の競争環境も変化している。中国のAI企業DeepSeekは、NvidiaのH800チップを活用し、わずか560万ドルで高性能AIモデルを開発したと発表。これにより、低コストでのAI開発が可能であることが示され、Nvidiaの市場支配力に対する警戒感が広がった。しかし、Nvidiaは「企業が必要とする技術スタックを支配しており、次の技術変革にも対応する」との強気な姿勢を崩していない。
AI市場の成長とNvidiaの今後の展望
AI市場の拡大に伴い、Nvidiaはさらなる成長機会を迎えている。Blackwellの市場投入により、企業やクラウドプロバイダーが新たなAI基盤の構築を進め、Nvidiaの技術優位性が維持される可能性が高い。
一方で、決算発表前には、一部のアナリストが「Hopperチップの出荷が急減し、Blackwellの供給が四半期単位で十分に反映されない可能性がある」と指摘していた。短期的な成長鈍化のリスクは依然として存在するものの、長期的にはBlackwellの普及が進むことで業績の安定化が期待される。
また、投資家の視点では、Nvidiaの四半期ごとの成長が市場センチメントを左右する要素となる。ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、クンジャン・ソブハニ氏は「決算内容や企業の発言が投資家の心理に影響を与え、株価のボラティリティを引き起こす可能性がある」と分析している。今後の成長戦略と市場動向が、Nvidiaの評価にどのように影響を与えるかが注目される。
Source:Quartz