モバイル広告大手のAppLovinの株価が急落した。水曜日、ショートセラー企業Culper ResearchとFuzzy Panda Researchが発表したレポートにより、同社のビジネス手法に対する疑惑が浮上。株価は一時22%の下落を記録し、過去7日間の下落基調が続いた。
Culper Researchは、AppLovinのAIモデル「AXON 2.0」が成長の主因ではなく、実際には危険なアプリ権限の悪用が収益源になっていると指摘。また、Fuzzy Panda Researchは、同社の広告技術がMetaのデータを流用し、プライバシー問題を孕んでいる可能性を警告。
AppLovinは年初来57%以上の上昇を遂げていたが、今回の批判を受け、投資家心理は悪化。AppleやGoogle、Metaが何らかの規制措置を取る可能性も示唆されており、今後の展開が注目される。
AppLovinの株価急落 22%下落の背景に潜む二つのレポート

AppLovinの株価は、水曜日に最大22%下落した。直接の要因となったのは、ショートセラー企業Culper ResearchとFuzzy Panda Researchの2社が公開したレポートである。これらのレポートは、同社のAI技術を活用した広告事業の実態を厳しく批判する内容となっており、不正行為の疑いを指摘している。
Culper Researchの報告によれば、AppLovinの成長は「AXON 2.0」によるAI広告最適化の結果ではなく、Android端末にプリインストールされたアプリを利用し、不正な手法で広告効果を水増ししていることが主要因とされる。また、Fuzzy Panda Researchは、同社がMetaのデータを不正に活用しているとし、プライバシー問題への懸念を提起した。
株価は2024年に700%以上上昇し、Russell 1000指数で最大の上昇率を記録していたが、今回の急落により投資家心理は急速に冷え込んだ。特にAI関連銘柄への過熱感が薄れる中で、AppLovinに対する市場の信頼が試されている。
AI広告最適化の「カモフラージュ」 疑惑の核心とは
Culper Researchの報告は、AppLovinのAI技術が実際には広告効果を水増しするための手段に過ぎないと指摘している。特に問題視されたのは、同社の広告配信ソフトウェアが、ユーザーの許可を得ずに他のアプリを自動ダウンロードさせ、広告のインストール率を意図的に高めている可能性である。
また、AppLovinのソフトウェアは、Android端末にプリインストールされているケースが多く、Google Playストアを経由せずにアプリを配信する仕組みが指摘されている。このため、広告のパフォーマンスが過大評価され、実際の広告効果とは乖離している可能性があると分析されている。
この手法が事実であれば、同社の広告技術に対する透明性が問われることは避けられない。AppleやGoogleが、同社の広告配信プラットフォームに対する規制を強化する可能性があり、AI広告市場全体にも波及するリスクがある。
Metaのデータ流用疑惑とプライバシー問題の行方
Fuzzy Panda Researchが指摘したもう一つの問題は、AppLovinがMetaの広告主データを不正に活用している可能性である。同社のレポートによると、AppLovinはFacebookやInstagram上の広告主データを解析し、広告のターゲティング精度を向上させているとされる。
特に問題となるのは、これがユーザーの同意なく行われている可能性がある点である。報告によれば、同社の広告ソフトウェアは子供を含むユーザーを無許可で追跡している可能性があり、プライバシー規制に違反する恐れがある。FTC(米連邦取引委員会)による制裁や、カリフォルニア州のプライバシー法違反が問われる可能性も指摘されている。
AppLovinに対する規制の行方は、Apple、Google、Metaの対応にかかっている。これらの企業がAppLovinの広告配信プラットフォームを制限する動きを見せれば、同社の成長戦略に大きな影響を与えることは避けられない。
Source:Investopedia