クラウドソフトウェア大手Salesforceは、今週水曜日の市場終了後に2025年度第4四半期の決算を発表する予定であり、アナリストの間で強気の見方が広がっている。Visible Alphaが追跡する25人のアナリストのうち、20人が「買い」評価を維持し、目標株価の平均は約399ドルと、現在の株価より30%の上昇余地があるとされる。

特に注目されているのが、2024年9月に発表された自律型AIエージェント「Agentforce」の成長ポテンシャルである。AI関連の投資が拡大しつつある中、Salesforceのプラットフォームは市場での競争力を強めていると見られている。また、新たにCFO兼COOとしてギリアド・サイエンシズ出身のロビン・ワシントン氏が3月21日付で就任予定であり、業務効率の向上が期待されている。一方で、2025年のSalesforce株は年初来で約8%下落しており、決算発表後の市場の反応が焦点となる。


AI成長への期待がSalesforceの評価を押し上げる

Salesforceは、AI分野への積極的な投資を背景にアナリストから高い評価を受けている。Visible Alphaのデータによれば、25人のアナリストのうち20人が同社株に「買い」の評価を付与し、目標株価の平均は399ドルに達する。特に、2024年9月に発表されたAgentforceは、市場におけるSalesforceの競争力を大きく高める要因として注目されている。ドイツ銀行も、AIがもたらす「ハロー効果」により、企業のプラットフォーム投資が加速すると指摘している。

AI技術は、顧客関係管理(CRM)市場の競争において重要な差別化要素となりつつある。Salesforceは、競合するMicrosoftやOracleと比較しても、AI技術の導入を積極的に推し進めており、これが評価の追い風となっている。ただし、現時点ではAgentforce関連の収益貢献が限定的である点も考慮すべき要素だ。今後の決算でAI関連の事業成長がどこまで進展しているのかが、さらなる株価上昇の鍵となるだろう。

新CFOの就任と経営戦略の変化に注目

Salesforceは、2025年3月21日付で新たなCFO兼COOとしてロビン・ワシントン氏を迎えることを発表した。彼女はギリアド・サイエンシズでCFOを務めた実績を持ち、財務管理と業務改善に関する豊富な経験がある。オッペンハイマーのアナリストは、ワシントン氏の着任がSalesforceの業務効率をさらに向上させると分析しており、同社に対して「アウトパフォーム」の評価を維持し、目標株価を415ドルに設定した。

Salesforceはここ数年、業務の効率化と利益率の向上を強化しているが、新CFOの下で財務戦略がどのように進化するのかが市場の関心を集めている。一方で、同時に発表されたブライアン・ミルハムCOOの退任は一部のアナリストから「ネガティブサプライズ」と受け止められており、経営の安定性が問われる局面となっている。新たな指導体制の下で、Salesforceがどのような方向性を示すのかが今後の焦点となる。

株価の低迷と決算発表後の市場の動き

Salesforceの株価は2024年にS&P 500を上回るパフォーマンスを記録したが、2025年に入ってからは約8%の下落となっている。現在の株価は307.85ドルで推移しており、多くのアナリストが予測する399ドル~415ドルの目標株価にはまだ大きなギャップがある。水曜日の決算発表が市場にどのような影響を与えるかが、今後の株価動向を占う上で重要なポイントとなる。

Salesforceの予想売上高は100億4000万ドルで前年比8%増、1株当たりの調整後利益は2.62ドルと見込まれている。これが市場予想を上回れば株価の反転材料となる可能性があるが、期待に届かなければ現在の下落傾向が続くことも考えられる。AIへの投資が市場の成長ストーリーとしてどこまで支持されるか、そして新経営陣のもとで業績の安定性が確保されるかが、今後の投資判断に影響を与える要因となる。

Source:Investopedia