スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の株価が約20%上昇し、54.65ドルに達した。これは同セクター内で最も高い値上がり率であり、200日移動平均線の52.75ドルを突破したことが要因の一つとされる。同社は、遅延していた財務報告を提出し、ナスダックの上場基準を満たしたことで、上場廃止の危機を回避した。SEC(米証券取引委員会)への適合が確認され、過去の財務報告の修正も不要であったことが投資家の安心感を生んだ。
CEOのチャールズ・リャン氏は、この報告提出を「転換点」と位置づけ、AI主導の成長を推進する「Supermicro 4.0」戦略に集中すると発言。同社はNvidiaの技術を活用したソリューションにより、市場の需要増に対応し、売上目標達成を目指している。なお、米司法省(DOJ)による会計処理の調査は継続中であり、完全な不確実性解消には至っていない。それでも年初来の株価上昇率は78%を超え、投資家の信頼が回復しつつあることを示唆している。
スーパー・マイクロの株価急騰 財務報告提出が市場の信頼を回復

スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の株価は、前日比約20%上昇し54.65ドルに達した。これは、同社が財務報告を提出し、ナスダックの上場基準を満たしたことが要因となっている。特に、200日移動平均線である52.75ドルを突破したことが市場の注目を集めた。この報告提出により、SEC(米証券取引委員会)の要件に準拠し、上場廃止のリスクを回避したことが確認された。
SMCIは2024年3月の720億ドルのピークから株価が大幅に下落していたが、今回の財務報告提出が投資家の信頼回復につながったと考えられる。また、ナスダックから正式な承認を受けたことで、市場に安定感がもたらされた。一方で、米司法省(DOJ)による会計処理の調査は継続中であり、完全なリスク解消には至っていない。それでも年初来の株価上昇率は78%を超え、スーパー・マイクロは再び成長軌道へ乗る可能性が高まっている。
AI市場への戦略的転換 Nvidia技術との連携で競争力を強化
CEOのチャールズ・リャン氏は、財務報告の提出を「転換点」とし、今後の成長戦略として「Supermicro 4.0」に集中すると明言した。これは、AI主導の需要拡大に対応するため、Nvidiaの技術を活用したソリューションを提供し、競争力を強化する戦略である。AI市場は急成長を遂げており、高性能コンピューティングの需要が拡大する中で、スーパー・マイクロがどのようにシェアを拡大するかが注目される。
同社はこれまでもNvidiaとの連携を強化しており、高性能GPUを搭載したサーバーやAI向けインフラの提供を進めてきた。市場の成長スピードが加速する中で、この技術的優位性が競争環境において重要な意味を持つ。過去の報告遅延や監査法人の撤退といった問題が影を落としていたが、今回の株価回復は、同社がAI市場におけるポジションを固めつつあることを示している。
監査法人撤退や会計不正疑惑の影響 今後のリスクと市場の見通し
スーパー・マイクロは、2024年3月に監査法人アーンスト・アンド・ヤングの契約終了という事態に直面し、市場の信頼が大きく揺らいだ。さらに、ヒンデンブルグ・リサーチが会計処理に関する疑惑を指摘したことで、米司法省(DOJ)の調査が開始された。これらの問題は、同社の株価が720億ドルのピークから急落する要因となり、一時は上場廃止の可能性すら取り沙汰された。
今回の財務報告提出によってSECの基準を満たしたことは、一定の信頼回復につながったものの、DOJの調査は継続しており、市場の不透明感は完全には払拭されていない。過去には2020年に収益認識に関する和解、2018年にはナスダックからの一時的な上場廃止といった経緯もあり、同社のガバナンス体制には依然として課題が残る。しかし、AI市場の急成長という追い風を受け、Nvidiaとの連携を強化する戦略が奏功すれば、同社の成長ポテンシャルは十分に維持される可能性がある。
Source:Wall Street Pit