Nvidiaは、最新GPU「RTX 5090 Founders Edition」の購入機会を提供するプライオリティアクセスプログラムを開始した。対象となるのは2024年1月30日以前に作成されたNvidiaアカウントを持つメンバーで、選ばれたユーザーには招待メールが送付される。
このプログラムは、RTX 50シリーズが発売以来直面している供給不足に対応する試みの一環である。GPU市場では在庫不足が続き、従来の販売方法ではMSRP価格での購入が困難な状況が続いていた。Nvidiaはこの問題を解決するために、特定のユーザーに限った先行販売制度を導入した形だ。
しかし、このプログラムは先着順であるため、招待を受け取ったすべてのユーザーが確実に購入できるわけではない。市場では引き続きRTX 5090の供給が不安定な状態が続くと見られ、一般販売における価格の高騰も懸念されている。
Nvidiaが導入したプライオリティアクセスプログラムとは

Nvidiaは、RTX 5090 Founders Editionの供給不足に対応するため、新たな販売方法として「プライオリティアクセスプログラム」を開始した。このプログラムでは、2024年1月30日以前に作成されたNvidiaアカウントを持つユーザーの中から選ばれた者に招待が送られ、専用の購入リンクを通じてMSRP価格で購入する機会が与えられる。
この取り組みは、特定のユーザーを優遇しつつ、市場の混乱を抑制する狙いがあるとみられる。従来の一般販売では転売目的の買い占めが問題視されており、実際に使用を希望するユーザーが正規価格で購入できない状況が続いていた。Nvidiaは、過去の製品で発生した価格高騰や供給の不安定さを踏まえ、販売方法の見直しを進めているようだ。
一方で、このプログラムは全ての希望者に恩恵をもたらすものではなく、先着順のため購入の保証がない点には留意すべきである。対象ユーザーの範囲も限定されているため、招待を受け取れなかった多くの購入希望者にとっては依然として入手困難な状況が続く可能性が高い。
RTX 50シリーズの供給問題とその背景
RTX 50シリーズは、発売当初から深刻な供給不足に直面している。RTX 5090やRTX 5080をはじめとするハイエンドモデルは、発売後すぐに市場から消え去り、定価での入手が極めて困難な状態が続いている。これは、Nvidiaの生産計画だけでなく、半導体供給の逼迫や流通の制約とも関係していると考えられる。
さらに、RTX 50シリーズの一部モデルにはROP(レンダリング・アウトプット・ユニット)の欠陥が報告されており、完全なパフォーマンスを発揮できない個体が市場に流通している。購入者の間では、RMA(返品交換)を求める声も上がっており、品質管理の面でも課題が残る状況だ。
供給不足を受け、Nvidia以外の販売ルートでも対策が取られている。例えば、Neweggは独自の「Shuffleプログラム」を導入し、抽選制での販売を実施している。これはパンデミック期に導入された手法の再来であり、市場全体が需要に対して供給を適切に分配するための試行錯誤を続けていることがうかがえる。
供給不足の中で今後の市場動向はどうなるのか
Nvidiaのプライオリティアクセスプログラムは、供給問題の完全な解決策ではないが、市場の混乱を抑える一定の効果が期待される。しかし、選ばれたユーザーのみが購入機会を得る仕組みは、対象外となった一般ユーザーにとっては不公平感を生む可能性がある。また、在庫が限られている以上、この販売方式が継続的に実施されるかどうかも不透明だ。
一方で、Nvidiaのこの試みが成功すれば、今後も同様のプログラムが拡張される可能性がある。過去の経験からも、需要が高まる新世代GPUの販売方法は慎重に設計されるべきであり、転売対策を兼ねた優先販売方式は一定の支持を得るかもしれない。
市場全体としては、RTX 50シリーズの供給が安定するまで時間を要すると見られる。Nvidiaの販売戦略が今後どのように進化していくかは、半導体市場の動向や競合メーカーの動きとも密接に関わっており、業界全体のトレンドを左右する重要な要素となるだろう。
Source:Tom’s Hardware