Nvidiaは2025年度通期の売上が前年比114%増の1305億ドルに達し、過去最高を更新した。特にデータセンター部門は1152億ドルを記録し、前年比142%増と飛躍的な成長を遂げた。AIおよび高性能コンピューティング(HPC)向けBlackwell GPUの需要が想定を上回り、同部門が全収益の大半を占める構造がさらに強化された。

一方、ゲーミング部門は第4四半期に供給制約の影響を受け、売上は25億4000万ドルと前期比22%減、前年同期比11%減に落ち込んだ。年間では114億ドルと前年比9%増を確保したものの、AI向けGPUを優先する生産体制がゲーミング向け製品の供給を抑制した可能性がある。

2026年度第1四半期はBlackwell Ultraの立ち上げに向け生産能力を強化しつつ、データセンター向け需要の継続を見込む。粗利益率はコスト増を背景に70.6%まで低下する見通しだが、全体収益は430億ドル±2%と引き続き堅調な推移が予想される。


Nvidiaの2025年度決算が示すデータセンター主導の成長構造とBlackwell GPUの位置付け

Nvidiaが発表した2025年度決算は、売上1305億ドル、前年比114%増という歴史的な水準に到達した。中でもデータセンター部門の売上は1152億ドルに達し、前年比142%増と驚異的な成長を記録した。AI需要が世界的に高まる中、HPC向けのBlackwell GPUが圧倒的な存在感を示したことが、データセンター収益の急拡大に大きく寄与したと言える。

2025年度第4四半期だけを見ても、データセンター部門の売上は355億8000万ドルに達し、前期比16%増、前年同期比93%増と、他部門を大きく上回る成長率を記録した。特にBlackwell GPU単体の第4四半期売上が110億ドルに達し、Nvidia自身の予測を超える好調ぶりを見せたことは象徴的である。

この背景には、AIモデルの高度化に伴う演算性能の飛躍的な向上ニーズがある。各国のクラウド事業者や研究機関に加え、生成AIを核とする企業がNvidia製品への依存を一層強めたことで、データセンター市場全体におけるNvidiaの支配力が拡大したと見ることができる。

ゲーミング製品の供給制約が浮き彫りにする生産戦略の転換とその余波

2025年度のNvidiaにとって、ゲーミング部門は供給面の課題が収益に直接影響を与える象徴的な存在となった。第4四半期のゲーミング収益は25億4000万ドルに落ち込み、前期比22%減、前年同期比11%減となったが、その要因としてNvidia自身が供給制約の存在を認めている。

TSMCの製造ラインをAI向けGPUとゲーミング向けGPUで共有している点が、供給構造に深く関係している。AI向けBlackwellプロセッサは高付加価値・高利益率であり、Nvidiaが戦略的にAI製品を優先して生産する状況が、ゲーミング向け製品の生産枠を圧迫している可能性がある。

ゲーミング市場では依然としてGeForceシリーズに対する需要は堅調であり、特にホリデーシーズンには強い引き合いがあったとされる。だが、供給不足による販売機会の逸失は避けられず、Nvidiaの中期的な市場シェアに対する影響を注視する必要がある。

データセンター依存の加速とBlackwell Ultraの展開に伴う2026年度の焦点

Nvidiaは2026年度第1四半期において、売上見通しを430億ドル±2%と発表し、引き続きデータセンター向けAI GPU需要の強さに期待を寄せる。Blackwell Ultra(B300シリーズ)の展開も控えており、新製品投入に伴う生産能力の確保と、初期コスト負担による粗利益率低下が並行して進む可能性が高い。

同社は既に生産キャパシティ確保に向けた前払い金を51億ドルに設定し、2025年度末時点での契約・義務額は308億ドルに上る。これはラックスケール向け部品調達や、新たな製造ライン確保に向けた積極投資を反映するものであり、Blackwell Ultraの早期市場浸透を見据えた布石と考えられる。

こうした巨額の先行投資と、データセンター部門に対する収益依存の高まりは、Nvidiaの事業構造そのものを転換させつつある。AI市場の成長鈍化や競合勢力の台頭が見られた際のリスク許容度にも影響を与える可能性があり、AI依存型経営の持続性が問われる局面に差し掛かる。

Source:Tom’s Hardware