韓国の半導体大手SK hynixが、次世代HBM4 12-Hiメモリにおいて試作段階で70%の歩留まり率を達成したことが明らかとなった。HBM4は、NVIDIAが2025年後半にも投入を計画する次世代AI GPU「Rubin R100」シリーズ向けの主要メモリ技術として注目されており、AIサーバー分野での高性能化を支える中核コンポーネントとなる。

HBM4は、従来世代のHBM3を大幅に上回る帯域幅とスタック構造を備え、AIモデルの高速処理を可能にする。SK hynixは2024年10月にテープアウトを完了しており、CES 2025ではAIメモリのフルスタック発表も行っている。こうした動きの背景には、NVIDIA CEOがSK hynixに対しHBM4チップの6ヶ月前倒し供給を要請したことがあるとされ、HBM4搭載AI GPUの早期市場投入への期待が高まっている。

試作段階の歩留まり率70%は、業界標準を大きく上回る水準であり、量産時のさらなる向上も視野に入る。TSMCが先端パッケージ技術CoWoSの月産能力を2025年第4四半期までに8万枚に拡大する計画も、HBM4搭載Rubin GPUの大量生産を後押しする可能性がある。

SK hynixがHBM4 12-Hiメモリで歩留まり率70%に到達 次世代AI向け量産に向けた進捗と技術背景

SK hynixは、2024年10月に次世代HBM4 12-Hiメモリのテープアウトを完了し、試作段階で歩留まり率70%を達成した。韓国メディアETNewsの報道によれば、この数値はHBM4の初期試作として非常に良好な結果であり、半導体業界でも高く評価されているという。2023年末時点で60%を超えていた歩留まり率は、その後も急速に向上し、2025年の量産に向けた技術的な土台が固まりつつある。

HBM4 12-Hiは、12層積層構造に加え、従来世代を大幅に上回る帯域幅を実現する先端メモリである。NVIDIAが2025年後半にも投入を計画する次世代AI GPU「Rubin R100」への搭載が見込まれており、AIモデルの演算性能向上には欠かせない要素となる。CES 2025では、SK hynixがHBM4を含むAIメモリのフルスタック構成を披露しており、次世代AIシステム全体の高度化を見据えた技術戦略を示している。

HBM4は高密度化に伴う製造難度の高さが指摘されてきたが、試作段階で70%の歩留まり率に到達した事実は、量産時にも高い生産性を確保できる可能性を示唆している。TSMCが2025年第4四半期までにCoWoS生産能力を月産8万枚に拡大する計画も、HBM4搭載AI GPUの安定供給を支える要因となり得る。

NVIDIA Rubin R100向け供給要請とSK hynixの対応 2025年AI市場を左右するメモリ供給戦略

次世代AI GPU「Rubin R100」を2025年後半に投入する計画を進めるNVIDIAは、SK hynixに対し、HBM4の供給スケジュールを6ヶ月前倒しする要請を行ったとされる。生成AI需要の急拡大に対応するため、メモリ供給体制の早期確立が不可欠と判断したものと見られる。この要請を受け、SK hynixは歩留まり改善と量産体制の前倒し構築に取り組み、2024年10月にはHBM4のテープアウトを完了している。

AI市場における競争が激化する中、HBM4はRubin R100の性能を最大限引き出す鍵となる技術であり、歩留まり70%という成果はNVIDIAにとっても極めて重要な指標となる。AIシステム全体の電力効率や処理速度を左右するHBM4は、従来世代からの性能向上幅が大きく、次世代AIモデルの高速学習やリアルタイム推論に直結する要素となる。

こうした状況を踏まえれば、HBM4の安定供給はNVIDIAのAI戦略を左右する要因となり、SK hynixの製造技術と量産対応力が半導体サプライチェーン全体に及ぼす影響は一層大きくなる可能性がある。TSMCが先端パッケージング技術CoWoSの生産能力拡大を急ぐ背景にも、HBM4搭載Rubin GPUの需要急増への備えがあると考えられる。

HBM4の歩留まり向上と量産フェーズの課題 半導体業界全体への影響と今後の展望

SK hynixが試作段階で到達した70%という歩留まり率は、HBM4という高難度メモリにおいては極めて高い水準と位置付けられる。特に、12層積層構造による製造工程の複雑化や、超微細プロセスによる歩留まり低下リスクを克服した点は、半導体業界でも注目されている。試作段階で高い歩留まりを確保できれば、量産移行後の生産安定性やコスト競争力にも好影響を及ぼす。

一方で、量産フェーズでは安定供給と品質確保が課題となる。特に、AIサーバー向けメモリは極限性能が求められるため、性能ばらつきの最小化や信頼性確保が重要となる。NVIDIA Rubinシリーズの早期投入に向けたスケジュール遵守や、競合メモリメーカーとの技術競争も視野に入れた総合的な戦略が求められる。

半導体業界全体では、HBM4の量産と安定供給が、次世代AIシステムの実現を支える基盤となると見られる。TSMCがCoWoSの生産能力を拡大する動きや、NVIDIAがSK hynixへの早期供給要請を行った事実は、AI市場を取り巻くメモリ需給の逼迫と競争の激化を象徴する事象といえる。

Source:TweakTown