iPhone 16eに搭載されたApple独自開発の「C1モデム」が、初期テストで高い電力効率を示した。中国のレビューサイトGeekerwanが行った検証によれば、通信速度と安定性はiPhone 16に匹敵する一方で、消費電力は最大24%削減されている。

特に強い電波環境下ではiPhone 16の5G接続時に0.88Wを消費したのに対し、iPhone 16eは0.67Wに抑えられた。地下鉄での実地試験でも接続安定性は同等であり、C1モデムの効率の高さが確認された。

バッテリーテストでは、iPhone 16eの持続時間がiPhone 16を約1時間上回る結果となった。ただし、この差がモデムの省電力性に起因するのか、それとも搭載バッテリー容量の増加によるものかは明確でない。Appleの独自モデム開発が進む中、今後のモデルへの影響が注目される。

Apple独自開発のC1モデムが実現した圧倒的な省電力性能

iPhone 16eに搭載されたC1モデムは、Qualcomm製モデムを採用したiPhone 16と比較して、通信速度に遜色ない性能を示しながら、消費電力を大幅に抑えた。Geekerwanのテストによれば、特に電波強度が強い環境では、iPhone 16の5G接続時の消費電力が0.88Wだったのに対し、iPhone 16eは0.67Wと約24%低減された。電波が弱い環境でも、0.81Wから0.67Wと17%の削減が確認されている。

また、実地環境でのテストでは、地下鉄車内での通信安定性もiPhone 16シリーズと同等であり、接続の維持に関する問題は発生しなかった。このことから、C1モデムは高い省電力性能を誇るだけでなく、従来のQualcomm製モデムと同程度の安定した通信品質を提供できることが明らかになった。

Appleはこれまでモデム技術の内製化を進めてきたが、C1モデムが商用化されたことで、その努力が結実しつつある。消費電力の削減はスマートフォンのバッテリー持続時間に直結し、今後のAppleデバイスにおける省電力設計の方向性を示唆するものとなる。

iPhone 16eのバッテリー持続時間向上はモデム性能か、それともバッテリー容量か

Geekerwanのテストでは、iPhone 16eのバッテリー持続時間がiPhone 16と比較して約1時間長かったことが確認された。5G通信を使用した動画ストリーミングのテストでは、iPhone 16eが7時間53分、iPhone 16が7時間、iPhone 16 Proが6時間54分という結果が出ている。

この持続時間の向上がC1モデムの省電力性能によるものか、それともバッテリー容量の増加によるものかは議論の余地がある。iPhone 16eには3961mAhのバッテリーが搭載されており、iPhone 16 Proのバッテリー容量よりも約12%大きい。このため、バッテリーの増加分が持続時間の延長に寄与している可能性もある。

AppleはC1モデムを導入することで、従来よりも電力効率の高い通信環境を実現している。しかし、今回のテスト結果だけでは、バッテリー持続時間の向上がモデムの省電力性能によるものか、バッテリー自体の大型化によるものかを断定するのは難しい。今後、さらなる検証が求められる。

Appleのモデム開発戦略が示すスマートフォン市場の新たな潮流

Appleが独自開発のC1モデムを採用したことで、スマートフォン市場における通信技術のトレンドにも変化が生じる可能性がある。これまでAppleはQualcomm製モデムを使用してきたが、今回のテスト結果が示すように、Apple自社開発のモデムは既存の技術と同等の通信品質を提供しながら、電力消費を削減することに成功している。

これにより、Appleはモデム技術の完全内製化を進め、将来的に外部サプライヤーへの依存を減らす可能性が高い。Qualcommとの関係は2026年まで契約が続くが、C1モデムの開発が加速すれば、その後のiPhoneシリーズではApple独自のモデムが主流になることも考えられる。

また、通信モデムの省電力化はスマートフォン市場全体の重要な課題であり、今後他メーカーも同様の技術革新を進めることが予想される。AppleがC1モデムの技術をさらに進化させれば、モバイルデバイスのバッテリー寿命向上に大きな影響を与え、市場の競争環境を変える可能性もある。

Source:9to5Mac