OpenAIは、最新の大規模言語モデル「GPT-4.5」をリサーチプレビューとして公開した。GPT-4.5は従来モデルと比較し、推論効率が10倍に向上しつつ、幻覚率を37.1％にまで抑制することに成功したという。特に自己教師あり学習の強化と小規模モデル生成データの活用が精度向上を支え、複数データセンターの分散学習により高度な文脈理解と自然な対話を実現した。

一方で、GPT-4.5はOpenAI史上最も高額なモデルとなり、API利用料金は入力100万トークンあたり75ドル、出力100万トークンあたり180ドルと、GPT-4o比で桁違いに引き上げられた。加えて、急速な需要増加に対しGPU供給が逼迫しており、ChatGPT PlusやTeam向け提供は来週以降へと段階的に実施される見通しである。

研究者や開発者からは定量的な性能向上への疑問も投げかけられているものの、定性的な対話品質や感情知能向上への期待は依然として高い。OpenAIは今後、実際のユーザーインタラクションを通じ未知の課題や可能性を探る方針で、GPT-4.5は未来のAI進化を左右する重要な分岐点となる可能性を秘めている。

OpenAIが発表したGPT-4.5の技術的進化と最新機能の全容

GPT-4.5は、OpenAIがリサーチプレビューとして公開した最新の大規模言語モデルであり、先行モデルからの進化に多くの注目が集まる。最大の特徴は推論効率の劇的な向上であり、GPT-4比で約10倍の効率化を実現したとされる。特に自己教師あり学習を強化したことで、パターン認識や関連情報の紐づけ精度を高め、より直感的な応答が可能になった。

モデル学習には「小規模モデルが生成したデータ」を積極的に活用し、複数のデータセンターで並列処理する分散型手法を導入。これにより、コンテクスト理解や人間らしい会話の再現性が飛躍的に向上した。幻覚率も37.1％まで低下し、特に長文回答や専門分野における信頼性向上が期待される。

さらに、ChatGPT Proの最上位プラン（月額200ドル）に加え、API経由でも提供されるが、音声モードや動画生成、画面共有といったマルチモーダル機能は現時点で搭載されていない。GPT-4.5は、機能面では既存のGPT-4oと一部共通点を持つものの、性能面では全く異なる進化を遂げており、OpenAIが追求する「思慮深いAI」の実現に向けた重要な布石と位置づけられている。

高額API価格がもたらす市場への影響と企業戦略の転換点

GPT-4.5のAPI価格設定は、入力100万トークンあたり75ドル、出力100万トークンあたり180ドルと、GPT-4oの2.50ドルおよび10ドルと比べて格段に高い水準に引き上げられた。この急激な価格上昇は、モデル自体の学習コストやOpenAIが直面するGPU供給の逼迫状況を反映したものとみられる。

特に、企業がカスタマーサポートやコンテンツ生成、自社プロダクトへの組み込みにGPT-4.5を活用する際、コスト負担が一気に高まることは避けられない。業務効率化や高度な対話品質といったメリットを享受しつつも、コスト対効果の精緻な検証が各社に求められる。

一方、OpenAIはプラスやチームプラン（月額20ドルおよび30ドル）への順次展開を予定しており、企業規模や利用用途に応じた柔軟な選択肢も提示する。こうした価格体系は、最先端モデルの恩恵を享受したい企業と、費用対効果を重視する企業との間で明確な選別を促す可能性があり、AI利用戦略そのものを見直す契機になると考えられる。

技術革新と急成長の狭間で問われるOpenAIの運営方針

GPT-4.5の公開に際し、OpenAI共同創業者兼CEOのサム・アルトマン氏は、急速な成長とそれに伴うGPU供給不足に強い懸念を示した。特に、高性能モデルの需要が想定を大きく上回り、結果的に一部ユーザーへのアクセス制限を余儀なくされた事実は、AIインフラ全体の脆弱性を浮き彫りにした。

アルトマン氏が言及した「数万台規模のGPU増強」や「さらに数十万台規模の追加計画」は、需要増への対処であると同時に、成長を加速させるOpenAI自身の競争戦略の一環とも捉えられる。しかし、需要予測の不確実性や先端半導体供給の構造的制約が依然として存在し、これらの計画が必ずしも順調に進む保証はない。

また、GPT-4.5はあくまで「研究プレビュー」として位置づけられており、正式版への移行過程で、性能調整や機能拡張が行われる可能性もある。OpenAIは利用者との対話から得られる知見を技術進化に還元する方針を示しており、このフィードバックループ自体が同社のAI開発モデルの中核を担う。技術革新を先導する存在であり続けるためには、性能向上と安定供給の両立に向けた抜本的な運営方針の見直しが避けられない局面に差し掛かっている。

Source：VentureBeat