サムスンは最新のユーザーインターフェース「One UI 7」をGalaxy Aシリーズに搭載すると発表した。米国市場では「Galaxy A26 5G」「Galaxy A36 5G」「Galaxy A56 5G」の3機種が登場し、すべてに同OSが適用される。しかし、昨年のフラッグシップモデル「Galaxy S24 Ultra」はいまだに安定版の提供を受けておらず、ユーザーの間で不満の声が広がっている。
Galaxy A36とA56は10ビットHDR動画撮影に対応し、カメラ性能も向上。一方、フラッグシップモデルのアップデートが遅れる背景には、サムスンのソフトウェア戦略の転換がある可能性が指摘される。今後の展開が注目される。
Galaxy AシリーズにOne UI 7を先行適用 サムスンの新たな戦略とは

サムスンは2025年3月、最新のユーザーインターフェース「One UI 7」をGalaxy Aシリーズに先行導入した。米国では「Galaxy A26 5G」「Galaxy A36 5G」「Galaxy A56 5G」の3機種が発表され、すべてにOne UI 7が搭載される。この動きは、2024年のフラッグシップモデル「Galaxy S24 Ultra」が未だに安定版のアップデートを受けていない現状と対照的である。
今回の発表では、インド市場向けの「Galaxy F06」「Galaxy M06」もすでにOne UI 7を搭載していることが確認された。これらの機種は比較的低価格でありながら、最新のOSを採用している点が注目される。一方、フラッグシップモデルへの提供が遅れている理由は明らかにされていない。
サムスンは近年、ミドルレンジ市場における競争力を強化しており、Aシリーズの機能向上が顕著だ。One UI 7の先行導入は、より広範なユーザー層へのアプローチを強める戦略と考えられる。価格を抑えながらもソフトウェアの最新技術を提供することで、競合との差別化を図る意図があるとみられる。
10ビットHDR動画撮影を搭載 Galaxy A36・A56のカメラ性能向上
サムスンはGalaxy A36とA56において、カメラ機能の大幅な強化を実施した。特に注目されるのは、ミドルレンジモデルとしては初となる10ビットHDR動画撮影への対応である。これにより、フロントカメラとリアカメラの両方で、より鮮明な映像の撮影が可能となった。
具体的には、フロントカメラは12MPで、4K@30fpsのHDR 10ビット録画に対応。従来の8ビット動画と比べて、より広い色域を表現でき、映像の品質が向上している。リアカメラは、Galaxy A36が50MPのメインカメラ(OIS搭載)に加え、8MPの超広角カメラと5MPのマクロカメラを搭載。一方、Galaxy A56は超広角カメラが12MPに強化されている。
このカメラ性能の向上は、ミドルレンジ市場においても高品質なコンテンツ制作を可能にする。特に、InstagramやYouTubeなどのプラットフォームでHDR対応のコンテンツが求められる中、サムスンはミドルレンジモデルにおいても映像品質の向上を図ることで、クリエイター層の関心を引き寄せる狙いがあると考えられる。
フラッグシップモデルへのアップデート遅延 背景にある課題とは
Galaxy S24シリーズは「7年間のOSアップデート保証」が約束されているが、One UI 7の安定版の提供は未だ行われていない。2024年12月にはベータテストが開始されていたものの、2025年3月1日時点で正式版のアップデートは提供されていない。この遅れは、一部のユーザーに不満を生じさせている。
サムスンはOne UI 7のベータ版をGalaxy S24シリーズ向けに提供しており、過去数カ月間で4回のアップデートが実施された。しかし、その進捗は遅く、特にフラッグシップモデルのユーザーにとっては期待を裏切る結果となっている。対照的に、ミドルレンジモデルでは最新のOSが標準搭載されており、この対応の違いが疑問を生んでいる。
サムスンがミドルレンジ市場に注力する理由として、競争が激化する中でのシェア拡大が挙げられる。ハイエンドモデルのアップデートを後回しにする戦略は、今後のブランドイメージにも影響を与える可能性がある。フラッグシップモデルのユーザーを軽視しているとの見方が広がれば、サムスンのプレミアム市場における信頼性にも影響を及ぼすだろう。
Source:Sammy Fans