暗号資産市場が重要局面を迎える中、Strategy社の共同創設者マイケル・セイラーが「ビットコインはデジタルエネルギーである」との見解を示し、その価値保存機能と金融システムへの変革可能性を強調した。セイラー率いるStrategy社は2024年10月以降、ほぼ毎週ビットコインを買い増し、2025年2月23日時点で49万9096BTCを保有。総取得コストは約331億ドルに達する。
直近では2月18日から23日にかけ、平均97,514ドルで2万356BTCを追加取得しており、同社の積極戦略は変わらない。現在ビットコイン価格は85,424ドルで、昨年12月に形成された「エアギャップ」ゾーン内で推移。Bybitハッキングや長期保有者の売却が圧力となり、流動性低下による価格変動リスクが高まっている。
さらに、CME週足チャートではギャップ埋めが進行し、ピーター・ブラント氏は77,930ドル割れの可能性に言及。2025年2月は過去最悪の下落率17.39%を記録し、3月の動向にも警戒感が広がる。
マイケル・セイラーが提示する「デジタルエネルギー」の概念とStrategy社の長期的ビットコイン戦略

ビットコインを「デジタルエネルギー」と位置づけるマイケル・セイラーの発言は、暗号資産市場全体に対して強いメッセージ性を持つ。Strategy社(旧マイクロストラテジー)が2024年10月以降、ほぼ毎週のようにビットコインを追加取得し続けている事実は、この思想に基づく企業戦略そのものである。特に2025年2月18日から23日の間に、平均97,514ドルで20,356BTCを新たに取得した点は、ビットコイン市場への強い信念を端的に示す。
2025年2月23日時点での保有量は499,096BTCに達し、取得総額は331億ドルに及ぶ。こうした積極的な買い増し戦略は、単なる投資利益の追求にとどまらず、企業資産そのものをビットコインにシフトさせる前例の少ない取り組みといえる。
企業財務における資産保全策として、従来の法定通貨や債券ではなくビットコインを基軸とする姿勢は、金融市場に対する既存の常識に一石を投じるものである。ただし、価格変動リスクや流動性リスクが常に内在する点を踏まえれば、この戦略が成功モデルとして確立するには、今後の市場環境次第であることも否定できない。
2024年12月の最高値形成が生んだ「エアギャップ」と市場流動性リスクの現状
2024年12月にビットコインが史上最高値を更新した際、70,000ドルから88,000ドルの価格帯において実現供給量が極端に少ない「エアギャップ」と呼ばれる領域が形成された。この領域は過去の取引履歴が乏しく、流動性が低下しやすい特性を持つ。この「エアギャップ」は現在も市場参加者の注目を集めており、相場動向を判断する上で重要な要素となっている。
特に直近では、Bybitのハッキング事件を受けた売却圧力や、長期保有者による利益確定売りが重なり、価格がこのエアギャップに逆戻りする展開となっている。この領域ではわずかな需給変化が価格に与える影響が大きく、短期間でのボラティリティ拡大が懸念される状況である。
このようにエアギャップが生じる背景には、過去の高値圏での売買回数が限定的であることが影響している。これがビットコインの価格形成において、伝統的な金融資産とは異なる特有の価格変動リスクをもたらす要因であることは見逃せない。
過去最悪の2月下落率とCMEチャートギャップが示す2025年相場の不安定要素
2025年2月、ビットコインは月間で17.39%もの大幅下落を記録し、過去10年間で最悪の2月となった。オンチェーン分析プラットフォーム「Spot On Chain」によれば、これほどの下落率は異例であり、過去のデータに基づけば3月も弱含みとなる傾向が確認されている。市場心理が悪化しやすい局面にあることは明らかである。
一方、CME先物の週足チャートにおいても、価格ギャップの埋め戻しが進行中であり、77,930ドルという重要なラインが意識される状況となっている。著名トレーダーのピーター・ブラント氏も、この水準を下回る可能性に言及しており、テクニカル面からも価格下落リスクが無視できない段階に差し掛かっている。
価格調整局面における長期保有者の動向や、新規資金流入の有無は今後のカギを握る。過去最悪の2月が一時的な調整に過ぎないのか、あるいは中期的なトレンド転換の前兆となるのか、市場全体が慎重に見極める必要がある。
Source:Investing.com