サムスンは、新たなエントリーモデル「Galaxy A36 5G」と「Galaxy A26 5G」を発表した。価格はそれぞれ400ドルと300ドルに設定され、手頃な価格帯のスマートフォン市場でモトローラやAppleの廉価モデルと競争することになる。

最大の特徴は、6年間のソフトウェアアップデート保証だ。従来の4回のAndroid OSアップデートと5年間のセキュリティサポートをさらに1年間延長し、この価格帯の端末としては異例の長期サポートを実現。高い耐久性を備えたGorilla Glass Victus+やIP67防水防塵対応など、ハードウェア面でも強化が施されている。

Snapdragon 6 Gen 3を搭載するA36と、Exynos 1380を採用するA26は、性能面で明確な差別化が図られている。3月下旬に米国で発売予定のこの2機種は、コストパフォーマンスの高さと長期サポートを武器に、価格重視のユーザー層を取り込む狙いだ。

Galaxy A36・A26がもたらす長期サポートの意義

サムスンが発表した新型スマートフォン「Galaxy A36 5G」と「Galaxy A26 5G」は、6年間のソフトウェアアップデートを提供することが最大の特徴である。これにより、購入後も長期間にわたり最新のAndroid OSを利用できるだけでなく、セキュリティ面の強化も継続的に受けられる。

従来のGalaxy Aシリーズは、4回のOSアップデートと5年間のセキュリティサポートが上限だったが、今回はそれを1年延長し、この価格帯の端末としては異例の長期保証となった。この長期アップデート保証は、低価格帯のスマートフォン市場において重要な意味を持つ。

ハイエンドモデルと比較すると、ミッドレンジやエントリーモデルは買い替え頻度が高く、最新のソフトウェアを維持できないことが問題視されてきた。しかし、今回の延長によって、消費者は端末をより長く安心して使うことができるようになる。

また、スマートフォン市場全体の環境負荷軽減という視点からも、この施策は意義深い。短期間での買い替えが減ることで、電子廃棄物の削減に貢献する可能性がある。すでに欧州では「リペアビリティ(修理可能性)」を重視する法規制が強まりつつあり、長期サポートを提供するメーカーの姿勢が評価される傾向にある。

サムスンの今回の決定も、こうした世界的な流れを意識したものと考えられる。

SnapdragonとExynosの選択 Galaxy A36とA26の性能差

Galaxy A36 5GにはQualcommの「Snapdragon 6 Gen 3」が採用され、A26 5Gにはサムスン独自の「Exynos 1380」が搭載されている。これにより、両モデルの性能には明確な違いが生じている。Snapdragon 6 Gen 3は、昨年発表されたばかりのミッドレンジ向けチップで、処理能力はSnapdragon 7S Gen 2に近い。

一方、Exynos 1380は前世代のA35 5Gと同じチップを採用しており、最新チップと比較すると若干の性能差があると見られる。このプロセッサの違いは、ユーザーの用途によって影響を及ぼす可能性がある。Snapdragon 6 Gen 3は、ゲームや高負荷な処理にも比較的強く、グラフィック処理能力の向上が期待される。

一方、Exynos 1380は日常のタスク処理には十分なパフォーマンスを発揮するが、重いアプリの使用時には若干の遅延を感じることもあるかもしれない。チップセットの選択は、価格設定とも密接に関係している。Galaxy A36は400ドル、A26は300ドルと、100ドルの価格差がある。

サムスンはコストを抑えるためにA26では既存のExynosチップを継続使用したと考えられるが、実際の使用感ではA36の方がパフォーマンス面で優位に立つことが予想される。価格差を考慮した上で、どちらのモデルが適しているかを選ぶことが重要となる。

サムスンの低価格スマホ戦略 iPhone 16eの撤退が追い風に

サムスンのGalaxy Aシリーズは、低価格スマートフォン市場において長年安定した人気を誇る。今回のA36・A26の発表は、Appleの廉価モデル「iPhone 16e」が500ドル以下の価格帯から撤退するという市場環境の変化の中で行われた。この動きは、サムスンにとって有利に働く可能性がある。

Appleはこれまで「iPhone SE」シリーズなどの比較的安価なモデルを投入してきたが、2025年に向けて戦略を見直し、ハイエンドモデルに注力する方針を取ると見られている。これにより、500ドル以下の価格帯においてサムスンがシェアを拡大するチャンスが生まれている。今回のA36とA26は、まさにこの市場をターゲットにした製品といえる。

また、サムスンは低価格帯モデルでありながら、防水防塵性能(IP67)や大型のAMOLEDディスプレイ(120Hz)など、上位モデルに近い仕様を取り入れることで、コストパフォーマンスの高さをアピールしている。

特にA36は、400ドルながらSnapdragon 6 Gen 3を搭載し、より幅広いユーザー層に訴求できる設計となっている。Appleの撤退によって空いた市場を、サムスンがどこまでカバーできるかが今後の焦点となる。

Source:WIRED