『金持ち父さん 貧乏父さん』で名を馳せたロバート・キヨサキ氏が、米ドルに対する強烈な批判を再び展開している。SNSを通じ、米ドルを「詐欺」と断じ、従来の銀行システムが人々の資産を危険にさらしていると警告した。
同氏は、通貨供給を握るFRBと金融界を「銀行ギャング」と揶揄し、誤った資金管理と政府救済によって一般市民に負担がのしかかる現状を痛烈に批判する。特に膨張する米国債務とインフレに強い懸念を示し、価値を維持できる資産としてビットコイン・金・銀への分散投資を推奨する。
さらに、ビットコイン上場投資信託(ETF)には否定的な立場を貫き、金融機関が介在する商品ではなく、投資家自身が現物を直接保有する重要性を強調した。85,222ドルの市場価格に触れつつ、金融システム不信が広がる中で、キヨサキ氏の警鐘に共鳴する投資家も少なくない。
ロバート・キヨサキが語る米ドルの構造的欠陥と中央銀行への強い警戒

ロバート・キヨサキ氏は、米ドルに対する厳しい批判を繰り返し発信し続けている。SNSを通じ、米ドルを「詐欺」と断じ、その背景には米国の通貨供給を担う連邦準備制度(FRB)が関与する構造的な問題があると指摘した。FRBによる金融政策の歪みが経済全体に波及し、一般市民の資産が目減りする仕組みこそが真のリスクであると警告する。
さらに、キヨサキ氏は中央銀行と金融機関を「銀行ギャング(banksters)」と呼び、過去の金融危機における政府の救済措置が、結果として金融機関を甘やかす構図を生んできたと批判した。危機時に救済を受ける金融機関と、インフレや通貨価値下落の影響を直に受ける一般市民という対比が浮き彫りになっている。
こうした現状が生じる背景には、政府債務の増大や無秩序な財政政策があるとされる。キヨサキ氏は、政府の信用に依存した米ドルは、持続的に価値を失い続ける可能性があると考えている。通貨としての信認が損なわれれば、資産を守る手段としてドル以外の選択肢が現実味を帯びる状況となる。
現物ビットコインを選ぶべき理由とETFへの根強い不信感
キヨサキ氏が提唱する資産防衛策の中心に位置付けられるのがビットコインである。2025年3月時点でビットコインは85,222ドルと高値を維持しており、法定通貨への信頼低下と連動する形で価格も注目を集めている。米ドルの購買力が低下する局面において、ビットコインの希少性と分散的な仕組みが資産保全において重要な役割を果たす可能性があるとする。
特にキヨサキ氏が強調するのは、ビットコイン上場投資信託(ETF)ではなく、現物ビットコインを直接保有するという姿勢である。金融機関が間に入るETFは、管理主体のトラブルや制度変更の影響を避けられず、最終的に投資家の資産保護にはつながらない可能性があるという見解を示す。
その根底には、既存の金融システムへの根深い不信感がある。伝統的な金融機関が仲介することで、ビットコイン本来の分散性や透明性が損なわれる可能性にも言及する。価値保存手段としてのビットコインを追求するためには、管理主体のリスクから切り離された「自分自身による保有」が不可欠であるという考えがある。
債務膨張とインフレリスクが加速する中で問われる通貨の信頼性
米国の財政状況を巡る問題は、キヨサキ氏の警告の核心に位置する。過去数十年にわたる累積債務は増加の一途をたどり、債務上限問題が何度も浮上してきた。債務増大は通貨供給の膨張と直結し、結果として購買力の低下とインフレ加速を引き起こしている。
キヨサキ氏は、こうした財政と金融の負の連鎖が、米ドルの価値低下を一層深刻化させると見ている。特に政府支出拡大による財政赤字の拡大は、信用を基盤とする法定通貨の安定性に直接影響を与える構図となっている。現行の金融システムを維持するための措置が、逆に通貨への信頼を揺るがすという皮肉な状況を生んでいる。
こうした背景から、価値保存手段として金・銀・ビットコインへの資産シフトを推奨する動きには一定の合理性が見える。中央集権的な管理から解放された資産が持つ価値保存力に対する期待は、単なる投機ではなく、制度への根本的な疑問と将来への備えという意味合いを強めている。
Source:Bitcoinist.com