米国のドナルド・トランプ大統領が「米国暗号資産準備(U.S. Crypto Reserve)」の設立を正式に発表し、仮想通貨市場が一斉に急騰した。XRPやソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)を含む複数の暗号資産を対象としたこの準備資産は、大統領選挙期間中に掲げられた政策公約の一環であり、バイデン政権下で冷遇されてきたデジタル資産産業の再生を掲げる内容となっている。

トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)も準備資産の中心的存在であると明言。発表を受け、ビットコインは8%高の92,000ドル超、イーサリアムは10%上昇、XRPは23%、ソラナは19%、カルダノは50%の上昇を記録した。

暗号資産の保有拡大と政策転換が実現すれば、米国がデジタル資産の新たな国際拠点となる可能性が高まり、今後の政策動向と市場への影響が注目される。



トランプ大統領が掲げる米国暗号資産準備の概要と対象銘柄

ドナルド・トランプ大統領が発表した「米国暗号資産準備(U.S. Crypto Reserve)」は、2024年の大統領選挙期間中から公約として示されてきた新たな政策構想であり、今回その具体的な内容が明らかになった。この準備資産は、XRP、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)といった主要アルトコインに加え、ビットコイン(BTC)およびイーサリアム(ETH)も中核資産として組み入れられる方針である。

特にXRPやソラナ、カルダノは、米国証券取引委員会(SEC)による規制の対象とされる機会も多く、バイデン政権下では厳しい対応が目立っていた。トランプ大統領は、これらの暗号資産を米国経済の一部として認めることで、冷遇されてきた産業全体に対する姿勢を大きく転換させる狙いがうかがえる。

さらに、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」において「米国を世界の暗号資産の中心地とする」と宣言し、選挙スローガンである「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」と結び付ける形で、国家戦略レベルでの暗号資産振興を強調している。この発表は、従来の米国政府の政策スタンスからの大きな方向転換として、国内外で大きな注目を集めている。

トランプ政権による暗号資産政策の狙いと市場への波及効果

トランプ大統領が打ち出した米国暗号資産準備は、単なる資産保有策にとどまらず、米国経済全体にデジタル資産を取り込み、新たな産業基盤を築く狙いが込められていると考えられる。バイデン政権下では、暗号資産産業への規制強化が続き、特に証券認定を巡る法的リスクが米国市場の成長を阻害する要因となっていたが、今回の政策はその流れを大きく転換させる可能性がある。

ビットコインやイーサリアムといった基盤資産に加え、XRP、ソラナ、カルダノといった先端技術を持つ銘柄を国家準備資産として組み込む姿勢は、米国がデジタル資産を新興産業の柱に位置付ける意思表示とも受け取れる。特に、XRPは長期にわたりSECとの係争を抱えてきた背景もあり、政権交代による政策転換の象徴的な存在となる可能性もある。

市場ではトランプ政権による暗号資産への積極的な関与が明らかになるにつれ、投資家心理が大きく改善している。発表直後にビットコインが92,000ドルを超える急騰を見せ、アルトコインにも広範な資金流入が確認されたことは、政策転換のインパクトを如実に示すものといえる。今後の政権運営や関連法制度の具体化に伴い、価格変動の激化や機関投資家の参入拡大など、さらなる市場構造の変化が引き起こされる可能性がある。

マイケル・セイラー氏の発言が示唆するビットコインの役割と国家戦略

暗号資産業界を代表する存在であり、マイクロストラテジーの会長でもあるマイケル・セイラー氏は、トランプ政権による「米国暗号資産準備」の発表を受け、「ビットコインは暗号経済の基盤だ」と強調した。この発言は、単なる価格上昇への期待感を超え、デジタル資産全体におけるビットコインの存在感を再確認するものとなっている。

セイラー氏はこれまでも企業財務にビットコインを積極的に組み入れる戦略を推進してきたが、今回の政策は国家レベルで同様の考えを取り入れる動きに他ならない。ビットコインが単なる投資対象を超え、国家資産として組み込まれることで、ドル基軸体制の補完や分散化された価値保存手段としての役割を拡大させる可能性がある。

一方で、ビットコインが国家戦略に組み込まれることで、従来の「非中央集権的な資産」としての価値観や理念と、国家管理との間に緊張関係が生じる点も無視できない。国家による積極的な保有と市場への関与が進めば、価格の安定化や信頼性向上にはつながるものの、規制強化や政策による市場操作リスクも高まる。国家戦略としてのビットコインの位置付けは、今後の政策動向次第でその真価が問われる局面に入るといえる。

Source: Investing.com