Nvidiaが開発中とされるArm CPU「N1X」がGeekbenchのデータベースに登場し、その性能が明らかになった。Windows 11上で動作するこのプロセッサは、4つのArm Cortex-A725コアを搭載し、シングルコア1,169、マルチコア2,417のスコアを記録した。
本チップは、NvidiaとMediaTekが共同開発するプロジェクト「DIGITS」の一環として設計され、最終的には10基のCortex-A725と10基のCortex-X925コアを備えた高性能CPUへと発展する可能性が指摘されている。また、QualcommのSnapdragon X Eliteと競合することが予想されるが、現時点での設計はArmの標準コアを採用している点が特徴だ。
台湾メディアの報道によれば、Nvidiaは2025年5月開催のComputex Taipeiで正式発表し、2024年第4四半期から出荷を開始するとされる。AI処理能力を強化したBlackwell GPUやTensorコアの搭載も噂されており、今後の詳細発表が注目される。
NvidiaのN1Xが記録したGeekbenchスコアと判明した仕様

NvidiaのN1Xは、Geekbench 6.4.0のデータベースに登場し、その性能が明らかになった。Windows 11上で動作する本チップは、4基のArm Cortex-A725コアを搭載し、シングルコア1,169、マルチコア2,417のスコアを記録した。動作クロックは3.20GHzで、テスト環境のRAMは16GBとされる。
これらの結果は、初期段階の評価であることを考慮する必要があるが、Armアーキテクチャを採用するCPUとして興味深いデータとなった。さらに、Nvidiaの「Project DIGITS」に関するリーク情報では、最終的な構成としてCortex-A725を10基、Cortex-X925を10基搭載する可能性が示唆されている。
現在のベンチマークに登場したN1Xは、これらの仕様と異なり、4コア構成のみが確認されているため、テストモデルの段階である可能性が高い。また、電力管理機能が未搭載の状態での測定結果であるため、最終製品ではパフォーマンスが大きく変動することも予想される。
このスコアを基に他のプロセッサと比較すると、現状ではIntelのCore i5-1135G7やAMDのRyzen 3 5300Uと同等のシングルコア性能を示している。しかし、Armアーキテクチャを採用しながらもWindows 11で動作する点は、NvidiaのCPU戦略の方向性を示すものとなる。今後、より多くの情報が明らかになれば、競合製品との位置付けがより明確になっていくだろう。
NvidiaのArm CPU戦略とQualcommとの競争
Nvidiaが開発を進めるN1Xは、Armアーキテクチャを採用するWindows向けCPU市場に新たな選択肢を提供する可能性がある。この市場では、QualcommのSnapdragon X EliteがカスタムArmコア「Oryon」を搭載し、競争をリードしている。一方、NvidiaのN1Xは現時点でカスタム設計ではなく、Armの標準コア(バニラArmコア)を使用する方針とされている。
この違いが、最終的な性能や市場での評価にどのように影響するかが注目される。Nvidiaは従来、GPU市場での圧倒的な地位を築いてきたが、今回のArm CPU開発は新たな分野への進出を意味する。特に、AI処理性能を向上させる可能性のあるBlackwell GPUや第5世代Tensorコアとの統合が実現すれば、既存のx86プロセッサとは異なる強みを持つことになる。
これは、Armベースのプロセッサが従来のWindows環境に適応する上で重要な要素となるだろう。また、Qualcommは独自アーキテクチャの開発に注力しており、既にPC向けArmチップ市場で一定の実績を持つ。一方、Nvidiaは長年にわたりGPUとデータセンター向け製品に注力してきた企業であり、Arm CPUの開発は未知の領域とも言える。
しかし、MediaTekとの協業による技術共有や、独自のGPU技術を活かすことで、Nvidiaは競争力を持つ可能性がある。2025年の正式発表とされるN1Xの最終仕様が、市場での競争構図をどのように変えるかが注目される。
発表時期と市場への影響
台湾メディアの報道によれば、NvidiaはN1Xを2025年5月に開催されるComputex Taipeiで正式発表し、2024年第4四半期(10〜12月)には出荷を開始するとされている。これは、IntelやAMDの次世代x86プロセッサが市場に投入されるタイミングと重なり、業界の競争が一層激化することが予想される。
特に、Windows向けArm CPU市場は、従来のx86アーキテクチャに対抗する形で徐々に拡大している。AppleのMシリーズチップがMac市場で成功を収めたことにより、ArmアーキテクチャのPC市場での可能性が再評価されている。NvidiaのN1Xがこの流れに乗ることができれば、今後数年でPC市場の勢力図が大きく変わる可能性もある。
さらに、Nvidiaは自社のAI技術を強みに持つ企業であり、そのノウハウを活かしたプロセッサ設計が期待される。特に、AI処理に適したGPUやTensorコアの搭載が実現すれば、PC市場における新たな需要を生み出す可能性がある。一方で、Windows向けのArm CPUは依然としてソフトウェアの最適化が課題とされており、互換性の問題が市場の普及を妨げる要因となるかもしれない。
NvidiaのArm CPU参入が、従来のx86市場にどのような影響を与えるのか。Computex Taipeiでの正式発表後、実際の製品レビューや業界の反応が注目されることは間違いない。
Source:Beebom