Nvidiaの最新GPU「GeForce RTX 5090」および「RTX 5070 Ti」の一部モデルにおいて、仕様上搭載されるべきROPs(レンダー出力ユニット)が不足している事例が判明した。これを受け、システム情報ツール「CPU-Z」は最新バージョンでROPs数の不一致を警告する機能を新たに搭載し、ユーザーによる不良カードの特定を支援する仕組みを整えた。

RTX 5090には176基、RTX 5070 Tiには96基のROPsが仕様として定められているが、一部の実機では8基不足するケースが確認されている。ROPsは描画性能を左右する重要な要素であり、予定数より少ない場合、描画速度やフレームレートの低下に直結する。Nvidiaはこの問題を製造段階の不具合と認め、該当製品の交換対応を実施しているが、初期出荷分の0.5%に影響を与えるとしており、潜在的な対象ユーザーは数千人規模に及ぶ可能性がある。

CPU-Zでは「Validate」機能を活用し、ユーザーのGPU構成をオンライン検証ページに送信することでROPs数のチェックが可能となる。仕様と実機の不一致が確認された場合、紫色の警告が表示される仕組みだ。ツールによる検知とメーカーの迅速な対応により、高額な最新GPUを安心して使用できる環境整備が求められる。


RTX 5090と5070 TiにおけるROPs不足の実態とCPU-Zによる検知プロセス

Nvidiaが誇る最新世代GPU「GeForce RTX 5090」と「RTX 5070 Ti」において、設計上搭載されるべきROPs(レンダー出力ユニット)が一部製品で不足している事例が明らかになっている。具体的には、RTX 5090は176基、RTX 5070 Tiは96基が仕様として定められているが、実際の製品では最大8基のROPsが欠落している個体が確認されている。このROPs不足により、本来発揮されるはずの描画性能が阻害され、フレームレートが10%程度低下する事態が報告されている。

この問題を特定するため、システム情報ツール「CPU-Z」は最新バージョンにおいて新機能を実装した。CPU-Zは従来からGPUのROPs数を表示する機能を備えていたが、最新アップデートでは、実際のROPs数がメーカー仕様と一致しない場合に、Web上の検証ページで紫色の警告を表示する仕組みを加えた。

ユーザーは「Validate」機能を通じてハードウェア構成を送信し、ウェブ上で詳細なスペック確認が可能となる。ROPs数の食い違いが一目で判別できる仕組みは、GPUの信頼性を可視化する上で重要な役割を果たすものと考えられる。

Nvidiaによる不具合認識と初期ロットへの影響範囲

Nvidia自身もこのROPs不足問題を製造段階における不具合として認識している。公式には、RTX 5090およびRTX 5070 Tiの初期ロットにおいて、全体の0.5%の製品に何らかのROPs不足が発生したことを明らかにしている。0.5%という比率は一見すると無視できる水準に見えるが、高額な最上位GPUが対象であることを踏まえると、少なくとも数百人規模、場合によっては数千人に及ぶ影響が想定される。

Nvidiaはこの不具合を認めた上で、該当する製品については返品・交換に応じる方針を示しており、メーカーとして一定の対応を行っている。ただ、既に購入済みのユーザーにとっては、正常品との性能差を見極めるための技術的なハードルが高く、自らの製品が該当するかどうか判断する手段が限られていた点が課題であった。この状況においてCPU-Zが提供するROPs検知機能は、エンドユーザーによる自主的な不具合判定を可能とする重要な役割を担っている。

最新GPUの購入層は、単なる性能向上を求めるにとどまらず、最高水準の品質と信頼性を重視する傾向が強い。特に高額な製品群においては、微細な仕様差や製造上のブレも許容しない厳しい目が向けられる。Nvidiaによる公式対応に加え、ユーザー自身が客観的に性能確認できる仕組みが整うことで、今後のGPU市場における品質管理や製品信頼性に対する意識にも一定の影響を与える可能性がある。

高額GPUにおける品質管理とユーザー側の自衛策

RTX 5090やRTX 5070 Tiは、単なるグラフィックカードではなく、数十万円規模の投資対象として位置づけられる製品である。このクラスの製品を購入するユーザー層は、性能だけでなく信頼性や製品の完全性を極めて重視する傾向にある。ROPs不足は性能低下を招くだけでなく、高額な対価に見合わない製品品質への不信感を抱かせる要因となり得る。

今回の事例を受け、ユーザー自身が製品の仕様を逐一チェックし、不具合の有無を自主的に確認する動きが今後強まる可能性がある。CPU-Zのように、市販ツールを活用して実際の仕様と設計仕様を照合できる仕組みは、自己防衛手段として重要性を増していくと考えられる。

一方、メーカー側にも、単なる不具合対応にとどまらず、設計段階から製造品質管理まで一貫した信頼性確保策の強化が求められる。特にRTX 5000シリーズのように、AI処理やクリエイティブ用途などプロフェッショナル領域でも採用が進む製品群においては、僅かな仕様逸脱もブランド価値を損なうリスクにつながる。高価格帯製品における品質管理と透明性の確保は、単なる技術的課題にとどまらず、企業戦略として今後より重要な要素となっていく。

Source:PCWorld